8、ジャムとバター論争(ちなみに料理人はマーガリン派)
「2人が出会えてよかったな」
ウニはあの後食堂に来ていた。
今日の昼食はトマトスープにパン、きのこのソテーだ。
パンを口いっぱいに詰め込みながら、午後はどうしよう、と思案する。
そして午前中の出来事を反射的に思い返した。ウニはあの親子の姿を思い浮かべ、ほっこりすると同時に、ランリートが落ちたときの頭が真っ白になった感覚を思い出し、ゾッとする。
「いやぁ、ほんとびっくりした。間に合ってよかったな」
「そうだな」
ギェェ!?と奇声を上げたウニに、いつの間にか向かいに座っているノアは呆れた声を出す。
「、、、、、ついに退化したか」
「ついにってなんですか、ついにって」
さあ、とノアはとぼけるように言い、スープを啜る。
ノアをジトリと睨みながら、ウニはおかわりしたソテーをつまむ。
「そして本題だが、、、、、まぁ、今朝はよくやった。褒めてやる」
なんと愛想のない!とウニは思ったが、、、、、それ以前に、、、、、
「へ?見てたんですか?」
「まあ」
「まあ、って、、、、、助けてくれたって良かったじゃないですか」
「あれをどう助けろと」
「うっ、、、、、そのぅ、魔術でチョチョイっと?」
「、、、、、詠唱が間に合わない」
「そーですかぁ、、、、、じゃあ無理っすね」
、、、、、会話が終わってしまった。
なーんか調子でないなぁ、、、、、とウニはこれまたおかわりしたスープを飲む。
それを見ていたノアは若干引いた様子で言う。
「、、、、、お前はどれだけ食べるんだ」
「へ?あと、3、4杯ですかね」
「魔術師でもそんなに食べないぞ、、、、、」
「え、嘘です」
「現実を見ろ。絶対に嘘じゃない。お前の食欲がバケモノ級なだけだ」
「うわっ、、、、、レディになんてこと言うんですか」
「これまでの経験から、お前はレディじゃない。もしそうだったら世界はとっくに終わってる」
「、、、、、そんなこと言ってるとモテないですよ」
「別に、、、、、」
「あ、今ビクってしましたよね。肩が1、56mmくらい。やっぱノアもまだ10代ですね〜」
「してない」
「しました」
「してない」
「しました」
「してない」
「しまし、、、、、」
「し、て、な、い」
その調子で食事を進める様子から、ついに料理人から注意が入った。
「そこのお二人さん、食堂では極力黙食を、、、、、」
「いや、違うな。パンにはバターだ」
「何言ってるんですか。パンにはジャムですよ。ジャーム」
「そっちこそ何言ってるんだ。パンは主食だ。つまりはれっきとした食事、なのに甘くしてどうする」
「うるさいです。パンにはスイーツという分類もあります。じゃあジャムに決まってるじゃないですか」
「静かに、、、、、」
「いいや、ジャムは論外だ」
「そっちこそ論外です」
「そろそろ静かに、、、、、」
「「黙ってろ、おっさん!!」」
最近老けてきたことを気にしていた料理人は、ションボリと肩を落とし戻っていった。
対してウニとノアは、今度は食パンかロールパンかで揉めていた。




