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74、すべてがひっくり返る。


「ふ、ふふ、、、、面白いこと言うのね、ウニ」

 ミーアはそのまましばらく笑っていたが、スッと姿勢を正した。

 そして、微笑む。

「じゃあ、仮にわたくしが、舞踏会襲撃事件の黒幕だったとして、“天候を操る一族”の関係者だなんて、なぜ言えるのかしら?」

「それです」

 ミーアは目を瞬かせた。

「、、、、、それって?」

「なぜ、あなたは“天候を操る一族”のことを知っているのですか?」

 ミーアはおかしそうに、えぇ?と笑った。

「だって、ウニが言ったんじゃない。“天候を操る――」

「私が言っているのは、“名前”じゃありません。“天候を操る一族そのもの”のことです」

 ミーアはこてんと首を傾げた。

 それはとてもかわいらしい仕草であったが、ウニの心は、さざ波の1つもなく凪いでいた。


「わたしが()()の関係者だと言ったとき、普通の人は、“天候を操る一族そのもの”に疑問を持ちます。当たり前ですよね。だって、知らないんですから。この情報は、あの事件に関わった人しか知らないものです。私はたまたま師が書いた本を見つけたために知りましたが、きっとあの本を世に出した師は、ものすごい勇気を振り絞ったことでしょう」


 ウニは思ったのだ。ユウマが、国王が禁忌としたまでの情報を世に出して、なぜ罰せられなかったのだろうと。

 きっとそれは、()()()()()()()()()からだ。一切情報を漏らさないことの難しさなど、この国一番の責任者である国王が、きっと一番わかっている。

 だから、“天候を操る一族”の名前は漏れはすれど、その詳細までは絶対に死守した。きっとユウマのあの本に少ししか情報がなかったのも、あれがギリギリの許容範囲だったからだろう。

 きっとそれなりに箝口令は敷かれたとは思うが、やはりそれでも少しずつは漏れる。だから、最初から罪とはしなかった。

 だからといって、民から王族の耳に入るのもありえないことではないと思うが、、、、、まあ、王もその可能性は考えていたのだろう。現時点で、王子たちに知られていないのだから。ウニには知らないことである。


 ではなぜ、王の子供に知られてはいけなかったのか。これはおそらくだが、国王は脱獄したマシーラを追わなかったのではないだろうか?きっと、その力が未知数な存在のマシーラを捕らえるのが、どれだけ無謀なことかを彼は察していたのだろう。


 もし、それを知った王の子供は、きっとマシーラを捕まえようとする。部下の戦闘経験がある者や、騎士団を使って、未来の敵となる可能性がある一族を、全力で滅ぼそうとする。

 だが、何もしないほうが吉なのだ。何をされるかわからない者達をそっとしておく、それが得策だと、王は考えたのだろう。ウニもそれに賛成だ、争いは少ないほうが良い。

 あのメモには王族に伝えないことしか書かれていなかったが、おそらく他の貴族にも伝えなかったのだろう、とウニは考える。それは前の理由と同じ。何をされるかたまったもんじゃないからだ。


 以上のことから、国王は権力のあるものには一切伝えなかった。そうウニは思った、のだが、、、、、。


「では、どうしてミーア様は一族そのものを知っているのですか?わたしが一族の名を出したとき、ミーア様はなんのつっかえもなく言葉を飲み込まれました。その一族の意味を、理解していたのです。そして、私はずっと不思議だったのです。貴方様が――“国王の知識棚”を知っていたことを」


 これが一番の謎だ。あの存在は、国王とその後継者しか知り得ない場所。今は王位継承者問題真っ只中。あそこは王しか知らないはずである。ではなぜ、ミーアが知っているのか?

 

 ミーアは、ふふっ、と微笑んだ。


「この前、偶然見つけたのよ。階段のところ。なんだか違和感があるなぁって」

「そうですか。仮にも一国の王女様が、あんな変哲のない階段を、ペタペタ触ったなどとは考えにくいのですが」

「、、、、、何が言いたいの」


 ミーアの目が剣呑なものに代わった。ウニはひとつ頷いて臆さず続ける。


「そもそも、こんなに事件が立て続けに続く中、すべての事件が個々として起きたなど、考えにくいにもほどがあるというものです」

「だから、わたくしが“天候を操る一族”の関係者だと?」


 ウニはコクリと頷いた。

 そう、、、、とミーアは頷くと、ふふふ、ふふ、と笑い始めた。



「ふふ、ふ、ふふふ、、、、、ふはっ、はは、はははっ!」



 それは大笑いに変わっていく。

 ウニはそれを静かに見つめていた。


 ミーアのことは大好きだった。優しくて、可愛くて、自慢のご主人様だった。

 だけど、残念だ。ミーアが、黒幕だったなんて、と思ったその時――



「そう!そうよ!わたくし、私はあの一族の関係者!でも、惜しいわね――私は、母さんの娘なのよ!

――ミエラ・マシーラの、娘!!」



 ウニは凍った。

(え?嘘?意味がわからない。そんなわけない。だって、ミーア様は王族の、国王陛下の――)



 ウニの思考はそこで止まった。

 ウニが小さい頃、まだ隣国にいたとき、個々の王家の子供は4人だと聞いていた。

 だがそのあと、ミーアが生まれたのだと、そう思っていた。

 しかし、それがそもそもの間違いだとすれば?


 ミーア姫は、ミーアは、、、、、



 ウニはふと思う。




(あれ?ミーアなんて名前の王族、いたっけ?)


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