72、推理
なんだか『ハイファンタジー』じゃなくなってきました。少しどころか、だいぶシリアスですね。大変申し訳ございません。
「まず、ミーア様の性格です」
これは先程も言ったとおりだ。20年近くも部屋に籠もって人を寄せ付けないというのは、それぐらい人間不信だったということ。これは“極度の恥ずかしがり屋”とも言えるが、それにしては度が過ぎている。
――まるで、絶対に知られたくない、隠し事があるかのように。
だが、まだここまではわかる。とても珍しいとはいえ、ウニにはとやかく言えることではない。人間は十人十色だからだ。幼い頃に、人になにか嫌なことをされたのかもしれない。トラウマがあるのかもしれない。だったら、こうなってしまった状況も、飲み込めるというものだ。
しかし、問題はここではない。
「ミーア様は、、、、、その、とても長く、人を拒絶していましたよね。王族の身でありながら、侍女さえもつけないという徹底ぶりで、、、、、」
「ええ、だって、貴方だって知っているでしょう?挨拶をしたときの、わたくしの慌てぶりを」
たしかにそうだ。失礼ながら、とても噛んでいたな、とウニは思い出す。
ミーアは毛先をいじりながら、恥ずかしそうに目を伏せた。
しかし、その瞳には、光が宿っていないように見える。ウニの気のせいかもしれないが、それにしては、とても不気味に写った。
「わたくしは、自分で言うのもなんですが、とても恥ずかしがりやなのです。だから、ウニに『感心した』と言われたとき、とてもうれしかったのですよ。認められたような気がして」
これは嘘ではないのだろう、とウニは直感した。しかし、彼女の心が動くことはない。
だって、別におかしなことではないのだ。考えても見て欲しい。もし、シャイでもなんでもなくて、他の理由があって部屋に籠もっていたのなら、それは想像もつかないほどの苦痛だろう。人肌恋しくなるに違いない。
そんなときに、“自分を肯定するような言葉”をかけられたら、どうだろう。それまでの努力が報われたような気がして、安心しないだろうか?嬉しくならないだろうか?ほんの数日でも気が滅入るのだから、何年も籠もっていたミーアには、まるでウニが天の使いのように見えるだろう。
まあ、それが大げさだったとしても、同じような存在にはなったはずだ。そして、ウニは図らずとも、ミーアに受け入れられた。理由は簡単、人間だから。人間である限り、“寂しい”という感情は、小さくなろうとも無くならないのだ。
そんな冷めた感情で、ウニは推理を続ける。
「私は、貴女様が人見知りではないと、確信しています。それはあとから話しますが、もしミーア様の性格が違うとしたら、、、、、人を寄せ付けないのには、別の訳があると思うのです」
ミーアは相変わらずの顔だ。こちらのことを、その大きな瞳で見つめている。
ウニはその目をじっと見返して、伝える。
「ミーア様は、、、、、“天候を操る一族”の、関係者なんじゃないですか?」




