66、別に、な、なんともないわ!そんな事言われたって私の冒険心は止まらないんだから!(以下略)
そういえば、ウニにはさっきから気になっていることがある。
それが、入ったときから目の前にある、読書台のようなものだ。
それは足が長いタイプで、立っていても読めるくらいの高さがあった。
いろいろなところに凝った装飾が施され、その佇まいたるや、とても堂々としていた。まるでこの知識棚の主であるかのように。
ウニは少しその読書台に気圧されながら、恐る恐るといったふうにトコトコとそれに近づいた。どうやら、なにか本がおいてある。
その本もまたあちこちに宝石が散りばめられ、この本一冊で王都に豪邸が建てられるのではないかと思ったウニは、あながち間違っていないはずだ。
開かれたページには、ただ一言。
『汝は、まさしく王、それともその直属の子であるか』
「、、、、、ちょっと何言ってるかわからない」
ポロッと漏れたウニの感想に、いつの間にかそばにいたサラスも、ウンウン、と頷いている。
そして少し考える素振りをしてから、口を開いた。
「多分ですけど、、、、、『直属の子』っていうのは、その名の通り、王の子供のことを示しているんだと思います。それも、正式な王位継承者を」
「な、なるほど」
そういう表し方(?)に疎いウニは、首をひねりざるを得ない。
ほぼ直角に首をひねるウニをよそに、サラスはカリカリと頭をかく。
「こうやっていちいち確認しているってことは、、、、、ここには、国王とその後継者である、ただ1人の子供しか入られない。それに、多分その存在も知らされないってことだと、思います」
意外と言っては何だが、案外頭の回るサラスを横目にウニは考える。
(なるほどなるほど、つまりここの在り方も場所も、王が決めたものしか入れないし知れないっていう、、、、、ん?)
そこでウニはあることに気づき、隣のサラスをそーっと見上げる。
そして、バックステップで距離を取った。
ウニはビシッと指を指しながら、声を荒げる。
「じゃ、じゃじゃじゃあ、なんでサラスは、ここのことを知っているんです、かっ!?」
そう、彼が今言ったとおりなら、王の子でもなんでもないサラスが知っているわけがないのだ。
若干上ずった声でこちらを指差すウニに、サラスは困ったように言った。
「姉貴、混乱しているのか何なのかわかりませんが、、、、、俺が知ったのは事故です」
「あっ」
そこでウニは気がついた。
サラスは言っていたではないか、仕事中、それらしいもの見つけました、と。
おそらく階段を通っていたときかいつかに。
――つまりは、彼は本当に運でここを見つけたのだ。その仕事中とやらで。
はぁー、をウニは肩から力を抜く。
「そういえばそうでした、、、、、」
なんだか疲れたウニは、読書台を改めてチラリと見る。
そこには相変わらず堂々と進路を阻んだ足の長い読書台。
そこに置かれた本に書かれた一言に一瞬(?)取り乱したが、ウニはこれくらいなら断じてびくともしない。
機密情報?国王と正式な後継者しか知ってはいけない?それがなんだ、それくらい覚悟している、とウニは若干胸を張って読書台に近づく。
そして、その横をズンズンと通り過ぎる。
「別に、これくらい言われたって、わたしなんてびくともしませんよ!!ぜっっっったい、“天候を操る一族”の情報を見つけ出してやるんだからっ!」
そうでかい宣言付きで。




