6、泣いた不審者(とウニ)
ミーア姫への第一印象は、“懐かしい”だ。
なぜなのかはわからないが、ウミに、、、、、妹に、似てる気がしたのだ。
ウミは、わたしより1歳年下で、同じ黒髪の朱色の目をした女の子だった。
わたし達姉妹は幼い頃両親を亡くしていたので、二人で力を合わせて生きてきた。だから、絆は人一倍強かった。
だけどウミは、、、、、当時流行していた病気で寝たきりになって、そのまま死んだ。
それが去年の話だ。
わたしが家族をなくした絶望で街をさまよっていたとき、拾ってくれたのがユウマ姉さんだ。
ユウマ姉さんは元戦士で、とても強かった。姉さんに手ほどきを受け、私は戦士になった。
姉さんが教えてくれたのは主に魔術だったけど、、、、、あまり合わなかったみたいで、体術は独学で覚えた。だけど、姉さんは褒めてくれた。
それが嬉しくて、たくさん勉強して、、、、、まぁ、、、、、今ではバリバリの武闘派だ。
そして今回、、、、、今まではずーっと建物の守りとか、犯罪者の拘束とかだったのに、やっと護衛任務が回ってきて、それを引き受けたのだ。
目の前にいる護衛対象のミーア姫が、わたしにはウミに見える。
金髪フワフワのロングヘア。朱色の瞳、、、、、その目が、妹とそっくりなのだ。
年齢は17歳。もしも生きてたら、ウミと同い年。
だから、つい妹の姿と重なってしまったのだ。
いつか仲良くなれたら良いな、、、、、と思いながら、目の前でベッドに座る少女に話しかける。
「よろしくお願いします。ミーア様」
***
今日は部屋を出る予定がない日らしい。そこでウニは部屋の前にいる見張りに声をかけ、ここ、西の塔の三階の警備にあたった。
「警備って何をすれば良いのかな?」
隊長に怒られそうなことをつぶやきながら、ウニは廊下を歩く。
塔といっても、渡り廊下でつながっているだけの同じ建物なので、造りは他の塔と似ている。
ひとまず歩いてればいっか、とぼんやり考えていたそのとき、通路の角をなにかが横切った。
敵!?と思ったウニは、そこに向かって走る。
「かーくほぉ!!」
叫びながら曲がり、ウニは――目を見開いた。
そこには、、、、、小さい男の子がいたのだ。
「うっ、うっ」
しかも泣く寸前。
「え!?ええ、えー、、、、、ど、どっどどうしよう、、、、、」
ウニには確かに妹がいた。だが年子だ。あやした経験などない。
ウニがうろたえていた数秒間。ついに男の子が泣き出した。
「うぅぇ、、、、、うぅ、ぅっ、、、、、うわあぁぁぁぁんっ!」
誰なのか、何なのか、何故泣き出したのか。いろんな疑問が頭をパンクさせ、ウニも泣き出したくなった。






