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58、国王の知識棚

「『天候を操る一族』?」

 次の日、ウニはミーアの警備の合間にそのことについて聞いてみた。

 王族である彼女なら、なにか知っているかもしれないと思ったからだ。

「はい。“ヒレイア”っていうらしいんですけど、、、、、」

 そこまで言ったとき、ミーアは考える素振りを見せたあと、ポンっと手を打った。

「ああ、確かにいたわね。そんな一族」

「本当ですか!?」

 食らいつくウニに、ミーアは驚きつつも教えてくれた。


「え、ええ。えーっと、たしか天気を操る魔術を使っていたのよね」

「はい!それで、その一族のことについて知りたくて、、、、、」

 ウニは王宮で起こった事件にほとんど関わってきたのだ。後に引くどころか、もっと知りたい、この奇妙な事件の真相を明かしたいと思っていた。



 そこで、気になったのは師匠が書いた本にも載っていた『天候を操る一族』のことであった。そして、回想の中で浮かび上がった“マシーラ”の名前。それは連合軍が来たときに聞いた言葉と同じだった。この2つにはなにか関係があるのではないか、とウニは密かに考えていた。

 そんな思惑も知らず、ミーアは美しい顔を歪めて、記憶の海から何かをすくい上げるように目を瞑る。



「ウニは、、、、、どうして、その一族を知りたくなったの?」



 まさかの言葉に、ウニは喉をつまらせる。



「うぇ、えーっと、、、、、そのぉ、いつかどこかで天気を操る的な魔術があったと聞いたような、、、、、聞いたような、、、、、えと、そんな、感じです、、、、、」

 我ながら苦しいと思う、とウニは思った。だが、ミーアは少し残念そうに眉を寄せただけだった。

「そう、、、、、まあ、いいわ。そうね、その一族のことなんだけど、、、、、実は、その中の一人が捕まっていたみたいなの。それ以外は、わたくしもわからないのです。少し聞いたくらいで、何も、、、、、」

 ミーアは声を潜めてそう言うと、無念そうに悲しげな表情を作った。


 そして、ポロリと呟く。



「、、、、、もしかしたら、“国王の知識棚”だったらあるかもしれないわね、、、、、」

 え?とウニは言葉を漏らす。

 そんなウニを見て、ミーアは、なんでもないわ、と言って首を振った。



 その言葉が、妙に引っかかった。

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