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54、ウニのマジギレ

***



「で、状況を説明してくれますか?」

 そう言ってウニは全く目の笑っていない笑みを顔に浮かべる。

 足元には、正座したノアと謎のダサ男がいた。

 先程までは絶好調だった男だが、今ではウニの鬼の形相にプルプルと震えている。

――早朝におきた事件。その争いで勝ったのは紛れもなくウニであった。

 ウニはこう見えて圧倒的な武力派。2人が彼女の逆鱗に触れたときには、もう遅かったといえよう。

 なお、そのあとどのようにウニが暴れたのかはあえて言わないでおく。


 さすがのノアも、ウニのただならぬオーラと殺気に若干焦った様子で、両手を意味もなく動かす。

「いや、ウニ落ちつ、、、、、」

「ノア。わたしは、今、説明をお願いしているんです」

「、、、、、はい」

 般若のような顔をチラつかせるウニに、他の食堂にいる者たちも何も言えない。

――ウニが起こっている理由は2つ。ノアに“馬鹿娘”呼ばわりされたことと、朝の優雅な食事を邪魔されたことだ。

 そんなのことで?と思うかもしれないが、ウニは、朝は普段より怒りっぽいタイプなのだ。

 さらに、最近起こっている妙な事件が重なり、ウニの精神状態はここのところ不安定だった。

――つまりは、少々テンションがおかしいまま怒っているということになる。

 そんな状態なので、ウニは度を知らないその恐ろしい顔のまま口を開いた。

「で、あなたはどちら様ですか」

 それまで沈黙を貫いてきた“夜露死苦男”は、恐る恐るといった感じで言葉を絞り出す。

「さ、サラスです、、、、、姉貴」

「姉貴は結構」

 ピシャリと言い放つウニに、男――サラスは肩を竦める。

 ウニはその様子にため息を付き、言葉を続けた。

「そのダッッッッッサイ服装で2人して寮を走り回って、食堂に乗り込んできて、、、、、」

 ウニの言葉に、ダサい!?とサラスが小さく声を上げたが、すぐにノアに口を塞がれた。

 一方、ウニはそれに気づくこともなく話を続ける。

「はぁ、、、、、今日はせっかくの買い物だったのに、、、、、朝から気分が台無しです」

 その一言にサラスは反応した。

「そうです!姉貴!!今日は、楽しい楽しいショッピングなんですよねぇ!?」

 待ってましたと言わんばかりに話すサラスに、ウニは勢いを削がれた様子で、う、うん、と頷く。

「たしかに、そうですけども、、、、、」

「だから俺様、ノアくんがかっこよくなれるように手を尽くしましてぇ、、、、、」

 身振り手振りをつけながら話すサラスに、ウニは、ふんふん、と頷いたあと、ニッコリ笑う。

 それに安心したのか、釣られるようにサラスもニッコリ笑う。

「わかってくださいましたか、あね、、、、、」

「うんうん、わかりましたよ、あなたの頑張りは。でも先程も言った通り単刀直入に言うと、あなたのセンスはそう、壊滅的にダサイです。はい、それはもう」

 その言葉にサラスは怖いのと傷ついたので涙目になる。はたから見ればそれはまるで、ちょっと生意気なチワワとそれを躾けるピットブルだ。

「なので、ノア」

 急に呼ばれたノアはビクッと肩を竦ませ、はい、と返事をする。

「あなたには着替えてもらいます。今すぐ、いつものローブに着替えてらっしゃい」

 そしてその言葉を合図に、ノアは駆け出していった。

「サラス」

 次に呼ばれたサラスは、鼻声で返事をする。

「ばい、、、、、」

「あなたももっとマシな服に着替えてきてください。な、る、べ、く、シンプルなもので」

「、、、、、は、はひ――っ!」

 それを幸とばかりに、ズダダダダッ、とサラスは逃げていった。

 

 そしてウニは一人、はぁっ、とため息をつくのだった。

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