52、関係性
その翌月、ウニは戦士の寮へ引っ越すことになった。
ユウマは決戦に負けたことより、ウニが僅か数ヶ月単位で出ていくことに落ち込んでいた。
「うう、、、、、成長が早すぎる、、、、、弟子ってもうちょっといるんじゃないの?」
「はい。普通は年単位でお世話になるそうです」
「ほら!じゃあもうちょっと。もうちょっといようよ?」
「わがまま言わないでください。わたしは姉さんに迷惑をかけたくなくて出ていくんですから」
「迷惑とかじゃない!寂しいのよ、姉さんは〜」
「はぁ、、、、、」
「冷たい!ひどい!」
***
そんなこんなで日はあっという間に過ぎていき、ウニが旅立つ前日。
ウニは物音で目が覚めた。
リビングに続く扉をそっと開くと、ユウマが一人で酌を注いでいた。
「はぁ、子供っていうのは、成長が早いのね」
それは独り言というよりかは、誰かと会話しているかのようだった。
「ねぇ、マシーラ。あなたもそうだったのかしら?」
聞いたことのない名前を発するユウマに、ウニは無意識に眉間を寄せた。
(マシーラ?誰ですか?そんな名前、姉さんから1度も聞いたことないです、、、、、)
「思えば、あの時だったわね。あなたがおかしくなったのは、、、、、まあ、それもこれも、あの忌々しい一族のせいなんでしょうけれども、、、、、」
(何の話?姉さんどうしてしまったのですか?)
ウニが内心怯えているのもお構いなしに、彼女の独り言は続く。
「だけど、あなたは、戦士から出ていってしまったのよね。それは変わりようもない事実だわ、、、、、」
ユウマは勢いよく酒を喉に流し込み、ほうっ、とため息をつく。
「やめましょ、やめましょ、こんな暗い話。明日はウニが行くのだから、お祝いしてあげないと」
そして彼女は酒と一緒に部屋の奥へと去っていった。きっと寝室へ行ったのだろう。
ウニは釈然としない気持ちで部屋に戻り、眠りについた。浅い眠りだった。
そして翌日。ウニは“戦場の基地”へと旅立った。




