47、師匠はちょっとあれだった。
それからは激動の日々だった。
ウニは隣国出身。更にそこからこの国へやってきたので、平たく言えば不法入国である。
だがまだ子供だったこともあり、ユウマが色々と手を打ってくれたおかげで、ウニは厳重注意だけで免れた。
そういうところが、この国の緩さを物語っている。
そして次に、ウニとユウマの引越の手続きをして、ウニが元々住んでいた家は売った。
ユウマは何回も止めたが、ウニはあえて売る決意をした。
確かに家族と過ごした家は大切なものだったけど、、、、、いつまでもそのままだったら、ずっと過去を引きずって前に進めない気がしたのだ。
ずっと心に病んでいるよりかは、売ってしまって未来への糧にした方が良い。
それで入ってきたお金は、いざというときのために蓄えた。
――だけど、思い出の品は絶対に手放さなかった。見るたびに元気をつけてもらえる。促進力につながると思ったから。
すべてが落ち着いたあと、ウニの魔術の勉強が始まった。
「いい?ウニ。魔術っていうのは、想像力と理解力が必要なものです。もちろん生まれ持った魔力量などの才能も必要だけれど、そういうのをぶち抜いて上級魔術師になった者もいます」
ユウマは杖を腕にバンバンと当てながら言う。
対してウニは、ふんふん、と頷いた。
「よろしい。では、まず簡単なものからやってみましょう」
その魔術というのが、『風を操って的に当てる』というものだった。
、、、、、当然、初心者がやるようなものではない。
だが、ユウマは、、、、、ちょっと基準がおかしかったため、ウニはド素人なままそれを行使することになった。
「やぁっ」
――結果、ウニは成功した。
、、、、、ただし、物理的な方で。
「、、、、、お、おー?」
それを見ていたユウマは、どこか微妙な声を出してウニを褒めた。
ウニは目をキラキラさせて、どこか自慢げな顔をしていた。そのため、ユウマは「それは魔術なの?」と言いそうになりながらも、罪悪感に駆られ褒めずにいられなかったのだ。
――その視線の先には、まるでそこだけ台風に巻き込まれたかのように、ボッコボコになった的があった。
ウニはまず、最初はちゃんと魔術を使おうとしたのだ。だけど、うまくいかなかった。そのため、物理で風を起こそうとして、足を蹴って風を作った。
普通はそれで的を倒せるはずがない。
――だがウニは出来てしまった。出来てしまったのだ。
足で駆り出した風はそのまま矢のように的を狙い、的確に倒した。
しかし、それで終わらない。
ウニが後から生み出した風が、今度は銅器のようになってすでに倒した的をボッコボコに叩きのめした。
こんなこと、普通はあり得ない。完全に自然の法則を無視した攻撃だ。それでこそ魔術を使わない限り。
でもウニは詠唱をしていないのだ。
たしかに頑張れば無詠唱で操れるかもしれない。だがウニは初心者である。熟練の魔術師で無い限り無詠唱魔術なんて使えないだろう。
まあつまりは、ウニは体術の才能がバケモノ級にあったというわけなのだが、、、、、
(ちょっと規格外だけど、、、、、きっとそういう魔術が得意なだけよね)
“そういう魔術”とはなんなのか、、、、、答えは誰も知らない。
ユウマはすこしあれだったので、ウニが魔術師に向いていないことなど本気で気が付かなかった。
――そしてそのまま、約半年が過ぎることになる。




