41、(一方的な)約束
ウニは食堂に戻った後、ずっと考え込んでいた。もちろんノアも一緒である。
ノアはいつの間にかコーヒーを飲んでおり、ミルクをドボドボと入れ、砂糖をトポントポン入れた。
その光景を横目で見ながら、ウニはポツリと言葉をこぼす。
「、、、、、ノア。さっき、メアリー様、『光が』って言ってましたよね?」
「、、、、、ああ」
ノアはすっかりミルクティー色になったコーヒーをすすり、雑に返事をする。
「、、、、、それに、シェミル山って、ナイラさんが言っていた未確認発光物体と一致しますよね?」
「まぁな」
ノアは渾身のミルクティーの味に満足しなかったのか、シュガーポットから角砂糖を追加する。
もう糖度が明らかにやばいコーヒーを見ながら、ウニは己の両腕に顔を沈めた。
「最近、色々ありすぎて、頭がパンクしそうです、、、、、」
「そうか」
「、、、、、」
「、、、、、」
ウニは身を乗り出し、ずっと思っていたことを口にする。
「なんか、冷たくありません!?」
「、、、、、別に」
「絶対気のせいじゃないです!だって、いつもより返事が素っ気なさすぎるんですもん!!」
「なんでもない。少し、機嫌が悪いだけだ」
「、、、、、はっ、もしかして」
ノアの機嫌が悪くなったのは、メアリーの事件の後だ。つまり、、、、、
「メアリー様が好きだったんですね!?」
その声を聞いた料理人たちが、ギョッとこちらを振り向いた。
「なんでそうなる!?」
その反応を見たノアが、慌てたように怒鳴る。
しかしウニはキョトンとした。
「へ?だって、さっきはそんなことなかったんですもん、、、、、」
「違う、、、、、えっと、それは、、、、、」
気まずげに言いながら、ノアはローブの裾をチラリと見せてきた。
ウニはそこを見て、ハッとする。
ローブは、裾から下半身にかけて、大きく破れていた。切り口からは糸が飛び出している。
「あのときの混乱で、見回りの兵士が持っていた護身用の剣に引っかかってしまったらしい」
そして、ノアはどこかションボリとした様子で言う。
「、、、、、結構気に入っていたのに」
その言葉に、ウニは衝撃を受けた。
そして、その思いをそのまま口にする。
「ノアにも、物を大切にするっていう概念があったんだぁ、、、、、」
ものすごい失礼な言い分に、ノアは半眼で呻く。
「それはどういう意味だ?」
「いいえ!別に!何もっ、ありません!!」
だが、困ったものだ。ノアはローブを一着しか持っていないという。
ウニは裁縫が得意だが、流石に厚い布を糸でつなぎ合わせたら不自然に目立つだろう。
だったら買うしかない、と思ったウニは、ノアに宣言する。
「わたし、来週休日があるので、そのとき、買いに行きましょう!わたしも用があるので!!」
こうして、ウニからの(一方的な)約束は結ばれたのであった。




