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40、あの女

「はぁ〜よかったぁ」

 その知らせを聞いたウニは、胸を撫で下ろした。

 戦士の基地が襲撃されたと聞いたときは、結構心配したのだ。


――、、、、、襲撃犯のことを。


「いやぁ、隊長にメッタメタにされたって聞いたら、そりゃもう犯人のことが気の毒になりました」

「、、、、、」

「でも、戦士と並ぶくらい強いって言われたときは、さすがに仲間のことも少しは心配しましたよ?」

「、、、、、」

「まあでも、それ以上に犯人のことを心配したんですけ、、、、、」

「なんで俺に話すんだ?」

 ウニは、へ?と目を丸くした。

 ここはおなじみ、東の塔の食堂である。ミーアの警護が終わった夜、そこでウニは、夕食後にとある少年と会話をしていた。会話というよりかは、ただ一方的に話しているだけだが。

 その様子に、彼女の正面に座る少年――ノアはジトリとした目線を向ける。

「な、ん、で、お、れ、に、は、な、す、ん、だ?」

「そんないちいち区切らなくてもいいじゃないですか。わかりますって、言ってることぐらい、、、、、だって、他に話す人いないんですもん」

「はぁ?隣室のやつとか、いるだろ」

その言葉に、ウニは目を泳がせて、言いにくそうに呟く。

「そ、それは、ですねぇ、、、、、わたし、結構な綺麗好きなんですけど、、、、、」

「は!?お、お前が!?」

「なんでそんな驚くんですか。そこまでびっくりします?、、、、、まぁいいです。で、この前、掃除用の魔導具を使って綺麗にしようと思ってですね、スイッチ押したら、、、、、」

「わかった、展開が読めたぞ。壊れて、轟音とともに暴れ出したんだろう」

「ぐっ、なんでわかるんですかッ!」

「大体そうだろうと思ったからだ、、、、、そして、近くの部屋の者から苦情が来たというところか」

「、、、、、うぅ、図星です」

「はん、当たり前だな。自業自得だ」

「ノアひどい」

「ひどくない。事実だ」


――そんなくだらないことを話す中、突如女の悲鳴が響いた。

「うぇ!?なになに!」

「!、この声は」

 それから、ドタドタという複数人の足音と「メアリー様!」という使用人たちの声、、、、、

「へ!?メアリー様!?」

「なにやってる、ウニ!俺達も行くぞ!」

「はっ、あ!はいぃ!」



***



 急いで西の塔へ向かうと、2つの塔を繋ぐ通路に、侍女に支えられたメアリーが腰を抜かして、窓の方を見て騒いでいた。

 そこにはウニたちの他にも、護衛や召使いなど、たくさんの人が集まっていた。

 注目されていることにも気づいていないのか、当の本人メアリーは、大きいガラス窓の向こうにあるシェミル山をしきりに指さしていた。


「ああっ、あそこ、あそこよ!!あの大きい木に、恐ろしい顔をした女がいたわ!!本当よ!!」


 黒炭のように黒い髪を振り乱して叫ぶメアリーに、侍女たちは戸惑った顔を向ける。

 その中で、1番歳を食った乳母が、メアリーに穏やかな口調で問いた。

「メアリー様、一体、貴女(あなた)様は何を見たんですか?詳しくお話くださいな」

「、、、、、あの木よ。あの木に隠れるようにして、女が私を睨んできたわ!!」

「はて、女はどのような姿でしたか?」

「黒いローブを着て、中年の女だったわ!!、、、、、そう、きっと魔女よ!わたくしを、、、、、わたくしを呪おうと、狙っているのよ!そうよ!そうに違いないわ!!」

 ウニはその言葉を聞いて、引っ掛かりを覚えた。黒いローブ、、、、、たしか、戦場の基地襲撃犯も、そういう格好ではなかっただろうか?

 ウニが考え込んでいると、乳母が「おかしいですね」と首を傾げた。

「どうして、夜なのにそんなに詳しくわかるのでしょうか」

 それを聞いて、確かに、、、、、と思った者はウニの他にもいただろう。そういえばそうだ。黒いローブならなおのこと、なぜ鮮明に姿形がわかるのか。

 問いかけられたメアリーは、顔を伏せて長い髪を前に垂らす。



「、、、、、光よ」



「光?」

 反芻する乳母に、メアリーはバッと顔を上げて、震える声で続ける。

「ひ、光が、、、、、急に、、、、、あの、あの女が、わたくしのことを、、、、、!うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁあああああっっ!!!」

 突然絶叫し始めたメアリーは、髪とドレスをなびかせ、廊下を走っていった。

 後々から「メアリー様ぁ!」と連呼しながら侍女たちが追いかけていく。


 そこに残されたわたしたちは、ただ呆然とその姿を見送ることしか出来なかった。

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