37、手紙
その日のうちに、ウニは自室に戻って、ある人へ手紙を書いた。
書き出しは『ユウマ姉さんへ』。そう、命の恩人でもある師匠への手紙だ。
「まず何から書こうかなー、、、、、色々ありすぎて、どうすればいいのかわからない」
結局、時系列にそって綴ることにしたウニは、スラスラと書き進めた。
『ユウマ姉さんへ
姉さんお元気ですか。わたしは元気です。だけど、毎日が忙しすぎてちょっと大変です。
わたしは今、初めての護衛任務をしています。仕えているのはミーア様という王族のお姫様で、とっても可愛くて美人で優しいです。でも恥ずかしがり屋で、私以外とお話するのはまだ少し難しいようです。
姉さんはもう知っているでしょうか。最近王宮で行われた舞踏会で、襲撃事件がありました。
あまり言いふらさないほうがいいと思いますが、姉さんはたぶん大丈夫だと思うので、書いちゃいますね。
犯人は平民の男の単独犯でした。王族に恨みを持っていたそうです。でも、ノア――同僚が、こんなたいそれたことを1平民が出来るわけがない。必ず黒幕がいると言っていて、その真犯人が高い確率で大貴族であることがわかりました。
最終的に男はわたしがちょっとグキッてやって捕まえましたが、まだ少し不安です。
あ、それと、王様がクイルにかかったけど治りました。国に混乱が走ると思って、公表してませんが、まあそういうことなのでお願いしまーす。』
それで書き終わろうとしたウニだったが、いちばん重要なことが抜けていることに気づき再びペンを取った。
『――最後に、聞きたいことがあります。先日ナイラさんが任務の途中で、シェミル山に光が見えたと言っていました。それでわたしはたまたま見つけた姉さんの本“珍しき魔術について”を読み、興味深い項目を見つけました。“天候を操る一族”についてです。
彼ら彼女らは“天気を変える魔術”を一族の秘術として使っていたとありましたが、詳しいことがわからなかったので、ノアに聞きました。そしたらノアは、その一族は王族に仕えていたが、その中から魔術を悪用する者が出て、一族は追放されたと言っていました。
もしかしたら、シェミル山の謎の発光体に関係あるかもしれません。だけどまだあまりわからないので、姉さんが他になにか知っていたら教えてください。
ウニより』
そこまで書いたところで、ウニは伸びをする。
久しぶりに手紙を書いたからか、少し言葉選びに苦戦した。
次の休日に出しに行こうと決めて、ウニはその日を終えた。
――その半年後、ノアの“嫌な予感”が当たることも知らずに。




