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36、ギランギラン

 少し長めです。

 その後、ウニは順調に回復し、自室に帰ることを許可された。



***



「ぅえっほっ!、、、、、ゴホッゴッホ、、、、、おぇ」

 そして今は、数十日間ほったらかしにされ、ホコリまみれになった部屋を掃除しているところだった。

 本当はミーアの護衛をしないといけないのだが、ミーアから「わたくしは療養後の者に仕事をさせるなどという酷なことはしません」と笑顔で言われ、引き下がるしかなかったのだ。

「うぇぇ、、、、、気持ち悪い。さっさと綺麗にしないとわたし死んじゃう」

 本当に死にそうな顔でボソボソ言いながら、ウニは24回目の拭き掃除をする。

 ウニは掃除用魔導具を持っているので、本来ならばもっと楽をできるのだが、ぶっ壊れたので、手作業でやるしかなくなったのだ。

 そして25回目のまた掃き掃除をし、、、、、これを30回繰り返したとき、ようやくウニの許容範囲になった。

 みんなには、なぜ本のホコリ臭い匂いは好きなのに、部屋のホコリは嫌なんだ?と何回も聞かれた。ウニにもわからない。だが、それぞれの汚れに何かしらの違いがあると信じている。種類とか?元素とか?

 「、、、、、こんなものかな」 

 掃除が終わったとき、すでに部屋はキラキラどころかギランギランに輝いていた。誰が見てもやり過ぎである。

 つまりウニは(自室に限定の)ド潔癖なのだが、当の本人は“極度の掃除好き”と評している。

 理由を聞けば、忙しいときはやらないし、人様の家には干渉しないし、、、、、と言い訳するのだが、前者はまだしも後者は当たり前のことである。

 32回同じことをしていれば、当然腹が減る。そこでウニは遅めの昼食をとりに、食堂に行くことにした。



***



 食堂には、なぜかまたノアがいた。

 なのでウニも当たり前のように同じテーブルに座った。

「ノアって、食堂も警備しているんですか、大変ですね」

という余計な一言も合わせて。

「、、、、、俺がなにかしたか?」

「へ?いえ別に、、、、、ただ、いつも食堂にいるなーって、、、、、」

するとノアは気まずげに頷いた。

「まぁな、少し、隣がうるさくて」

「うえー、そうなんですね」

「、、、、、そういえば、体調は大丈夫なのか?」

 ウニはギョッとした。そして恐る恐る聞く。

「ノアはわたしに心配なんてしません。『よく生きてたな』ぐらい言います、、、、、あなたは誰ですか?」

色々失礼な物言いに、ノアはその端正な顔を歪めて問う。

「もう1度聞く。俺がなにかしたか?」

「まっ、まさか、双子のブラザーですか?」

 全く話を聞かないウニに、呆れた様子でノアはため息をついた。

「まぁいい、、、、、それで?なんでお前がここにいるんだ?護衛は?」

「待ってください。ノアもどうしたんですか?」

質問に質問で返したウニに、ノアは気を悪くしたのか少し尖った口調で答えた。

「俺は単に休みをもらっただけだ。戦が終わったからな」

それに乗っかるようにウニも言葉を返す。

「わたしも同じです。というか、いいんでしょうか」

「なぜだ」

ウニは気も漫ろな雰囲気で言う。

「だ、だって、、、、、後始末とか、あるじゃないですか、、、、、」

 舞踏会のときもそうだったではないかと問うと、ノアは、それとこれとは立場が違う、と答えた。

「俺達は戦うことが仕事だ。それは文官や救護隊の仕事であって、戦士がやることではない」

 ノアいわく、舞踏会襲撃のときは当事者だったから事情聴取などが必須だったが、今回の連合軍はただ戦士として戦っただけで、自分達の今の仕事は『次の戦に備えること』だそう。

「下手に突っ込むより、大人しくしていたほうがいい」

そう言って優雅に紅茶を飲むノアに、ウニはほうほうと相槌を打つ。

「でも、1日で終わった戦争なんて、初めてじゃないですか?」

「1日じゃない」

はへ?と間抜け声を放つウニに、ノアは淡々と述べる。

「ただ認識が遅かっただけだ。言っただろう、何者か情報伝達の仮定で邪魔したと。実際にはもっと前に戦争が始まっていて、応援の要請もあったそうだ」

そこでノアは区切り、緑の目を細めてウニを見る。

「そして、戦が本格的に始まったのが、ちょうど国王がクイルにかかった少し後だ」

「え!じゃあ、犯人は、、、、、」

「ああ、他国にその情報を流し、混乱に乗じて戦争をそそのかしたのだろう」

「でも舞踏会では、、、、、」

「今年の参加者は例年に比べて少なかったそうだ。それはそうだろう。指揮する人手が足りなかっただろうな」

 ウニは己の背中に悪寒が走るのを感じた。

「ってことは、、、、、犯人はストオーム王国や東の大国と、グル?」

「まぁそうだろう」

余裕しゃくしゃくで答えるノアに、ウニは不思議に思って問う。

「なんで、そんななんでもないように、、、、、」

「不可能だからだ。犯人がいくら尽力しようが、この国が転覆する可能性は低い。まぁ、今回の連合軍は正直ヒヤッとしたが、、、、、そんなポンポン戦争ができるわけがないだろう。それこそ、内部抗争でもおきないと、、、、、」

 そこで不自然に言葉を切ったノアは、ふと窓の外に目を向ける。

 それにつられてウニも外を見る。別に、なにもない。いつもの食堂からの風景だ。

 だがノアは目を細めて、静かに呟く。

「、、、、、胸騒ぎがする」

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