35、雷
「へ、、、、、?」
ウニはその光景を、雨に打たれながら見ることしかできなかった。
擦り傷があちらこちらにあり、それに雨はひどく滲みた。いつの間にか髪はほどかれ、濡れてベタついていた。だが、全く気にならなかった。気にできなかった。
――敵が退軍していく。
雷で軍は全滅状態。
さすがにもう無理だと思ったのだろう。どんどんと自国へ下がっていく。
「打たれたものは急いで救護班に!」
「武器は出来る限り拾え!!」
「うわぁ!?なんでこっちにばかり雷が!?」
「クソ、、、、、クソぉッ!全部、全部マシーラのせいだ!!」
頭がぼんやりする。
しかし、なんだか勝ったようだ。
それだけが頭を巡りながら、ウニの意識は途絶えた。
***
気づくと、そこは医務室だった。
横を向けば、同じくベッドに横たわった兵士?たちが見える。
頭に包帯を巻いた者、点滴で繋がれている者、眼帯をつけている者――
「おお、気づいたかね?」
ぼんやりと考えていると、しわがれた声が聞こえてきた。
「、、、、、?」
ゆっくりそちらを向くと、シワで刻まれた、優しげな顔があった。ここの医者だろうか。
「安心すると良い。ここは東の塔の医務室だ。戦には勝利したよ。君は頭を打っていたようで、しばらく目を覚まさなかったんだ、、、、、よかった、意識が戻って」
自分は頭を打ったっけ、、、、、?ああ、倒れたときかな、、、、、と働かない頭で考える。
柔らかい声に、眠くなりそうだ。
事実、さっきから目がトロンとしている。
もう寝てしまいたい――それがわかったのかわからなかったのか、医者は、もう少し寝てなさい、と言ってウニに背を向けた。
では甘えさせていただきます、、、、、と、ウニは意識を手放した。




