34、大雨の中で
いつもより少し長めです。
※今回の話も流血表現があります。苦手な方はご注意ください。
――そこは、まさに地獄絵図だった。
遅れて到着したウニ達は、その悲惨さに思わず息を呑んだ。
街の面影は一切なく、瓦礫の山があちらこちらに出来ていた。
そして、悲鳴、怒鳴り声、叫び声、、、、、数々の人々が、必死に血を流しながら戦っている。
魔術が飛び交う。剣が振り下ろされる。武器がぶつかり合う。
――もう、すべてがごちゃまぜになり、ひどい惨状だった。
(、、、、、なに、これ?)
こんなの、どうしたらいいの?わからない――ウニは心のなかで呟く。
ウニは戦士だ。だが生まれてから1度も本物の戦場など見たことがない。行ったこともない。
本で読んだが、まさかこんなにも凄惨なこととは、、、、、。
何人かが倒れている。何人かが叫んでいる。何人かが泣いている。何人かが――
「うわぁ!?助けてくれぇッ!」
ウニとノアが唖然としていると、どこからともなく助けを呼ぶ声が聞こえてきた。
見れば、味方の魔術師が敵に剣で押し倒されているところではないか。その傍らには、杖が落ちている。どうやら彼のもののようだ。
「ノアっ」
「わかっているッ」
ノアが詠唱をし、拘束の魔術を放つ。
「、、、、、!?クソッ」
すると、敵兵は金の縄で締め上げられ、身動きが取れなくなった。
ウニとノアは魔術師に駆け寄る。
「大丈夫か!」
「おお!ありがとう。危ないところだった」
助け起こされた彼は、真っ青な顔で礼を言った。
ウニもまた、血の気の引いた顔で問う。
「なにが、起こっているんですか、、、、、?」
「わからない、、、、、わからない、、、、、急に向こうから軍が来て、仲間と戦って、それで、、、、、」
そこで魔術師は震えだし、何も答えられなくなった。
ウニは絶望した。
みるみるうちに青白くなり、手と足が震え、唇は乾燥する。
呼吸を忘れそうになりながら、ウニは二の腕をさすった。
(だめ、だめ、、、、、わたしは“無血の戦士”。みんなを守らなきゃいけない)
「ウニ、大丈夫か」
ノアが心配そうに顔を覗き込んでくる。
ウニは揺れる手を無理矢理握り、顔を上げる。
「大丈夫です。わたしは、闘う」
***
ウニは体術を使い、敵を次々と追い込んで行った。
あるときは気絶させ、あるときは絞め技を使い、あるときは背負投げをした。
彼女の周りには、敵がいなかった。
それは同じく戦士である、ノアも変わらない。
――だが、いくら倒しても、状況は覆らなかった。
あちこちに血が滲み、頭がボーっとする。自分はあとどれくらい戦えるだろうか。
だが、もうすぐそこに、王都は迫っている。
「もう駄目だ、、、、、魔力がない」
ノアは魔力切れ。
「はぁ、はぁ、、、、、」
ウニは疲労困憊。
だが、2つの国の連合軍は無限に湧いてくる。
「今だー!」
「やれぇ!」
「討てッ!」
ウニとノアを狙う者は尽きなかった。
敵をなぎ倒しながら、ウニは心のなかで呟く。
(もう、、、、、だめ、、、、、)
その細い体がぐらりと揺らぎ、倒れ――
――そのとき。
ゴロゴロ、、、、、ドォォォォォンッッッ!!!!
天気が、味方をしたのだろうか。
――先程まで晴れ渡っていた天気はどす黒い雲で覆われ。
――大洪水が起きそうなほどの大雨がふり。
――――――雷の大群が、敵軍を襲った。




