28、なんだとゴラァ
朝、ウニはいつもより早く起き、食堂へ向かった。
そこには案の定、ノアが優雅に食前のコーヒーを飲んでいた。液体はひどく薄い色になっていて、元の味にまったく配慮していないことがわかった。
「うわぁ、コーヒーに砂糖ドボドボ、ミルクドッバーッてしてる、、、、、」
「、、、、、なにか用か」
「いやー、意外と甘党なんだなーって思いまして、、、、、ちなみに砂糖いくつ入れました?」
「23個」
「いや入れすぎ。糖尿病になっても知らないですよ?」
「、、、、、」
ノアは忌々しそうにカップをソーサーに置き、睨んできた。
「用はなんだと言っている」
「うっわ、めっちゃ機嫌悪いじゃないですか、、、、、怖い怖い、いちいち睨まないでくださいよ。わかりましたから」
一呼吸おいて、ウニは自らの目的を話す。
「あのですね、、、、、この記述を見てほしいんですけど」
そう言って、ずっと背中に隠していた本をノアに見せた。そう、ウニは身近にいる魔術師――つまりはノアに、『天候を操る一族』について何かわからないか聞こうと思ったのだ。
悪趣味なデザインに、彼は不気味なものを見る目でウニを見る。
「、、、、、さらに頭がおかしくなったか」
「なんだとゴラァ」
ウニは咳払いをしてからもう一度口を開く。
「ヴッウン。失礼しました、、、、、えっとですね、ちゃんと題名を見てくれますか?」
ノアは目を細くして表紙に刻まれた言葉をそのまま読む。
「『珍しき魔術について』、、、、、ただのオカルト本じゃないか」
「いやだから違いますって。これ、実は私の師匠が書いたものなんです」
「、、、、、なるほど、それがこの結果か」
そう言ってジロジロ見てくるので、ウニはニッコリ笑ってノアの脇を殴った。
「ぐっ、、、、、最近お前、遠慮がなくなってきてないか、、、、、?」
「ふん。どうでしょうね、、、、、それで、話を戻すんですけど。ここ、気になる記述があるんです」
ペラペラとページをめくり、『天候を操る一族』についてのところを見せる。
「『天候を操る一族』、、、、、?」
「はい。知っていますか?」
「いや、聞いたこともない。存在自体も、、、、、やっぱオカルトしかありえないだろ、その本」
「うるさいですね。いいから黙ってください」
それを最後に、ウニは考え込む。
(魔術師のノアでも知らないって、、、、、やっぱ、これは嘘?でも、決めつけられないし、、、、、王宮で起こった事件とは関係ないのかな?でも、発光体とはどうだろう、、、、、)
すると、ノアが立ち上がった。
「お前まさか、、、、、調べてるのか?」
何を、と聞かなくてもわかった。
「はい」
当たり前のように返事をするウニに、ノアは露骨に顔をしかめため息を吐く。
「、、、、、厄介事に巻き込まれても知らんぞ」
「しょうがないですって。人は駄目って言われたことをやっちゃうタチなんですよ」
何故か胸を張って答えるウニに、ノアはもう1度ため息をつき、そのまま食事を取らずに出ていった。
「え?おーい、ご飯はー?」
「いらない」
それだけ言って、行ってしまった。
相変わらずそっけないなぁ、と思いながら、ウニは食事を取りにカウンターへ向かった。




