27、天候を操る一族
ウニが東の塔に帰ったときには、すでに夜の帳が下りるころだった。
ハーブの香りがする自室に買った本をドサッと置き、その中から一冊を抜く。
題名『珍しき魔術について』。著者『ユウマ・カミア』。
ウニは紫色の表紙をじっと見つめ、本を抱いたままベッドに寝転んだ。
「なにか、わかんなかったりしないかな、、、、、?」
ウニが個人で興味を惹かれたからというわけもあったが、それ以上に、現在王宮または国を騒がせている問題を1つでも解決できないかという考えもあって、ウニはこの本を買ったのだ。
解決とまではいかなくても、なにか糸口がないか。師匠ならなにか知っていないか。藁にも縋る思いで表紙を開く。
そのとき、ノアの言葉が頭をよぎった。
――自分たちはあくまで護衛で、これからのことに首を突っ込むことはできない。調査をする権利もない――
ウニは頭をブンブンと振った。
(別に、私はなにか手がかりがないか調べるだけ。なにも悪いことなんてしてない)
無理やり自分に言い聞かせ、もくじに目を通す。
その中に、気になる項目があった。
「『天候を操る一族』、、、、、?」
文字をそのまま読み、ウニは自分で言ったにも関わらず困惑した。
「へ?天候って、、、、、つまりは天気を自由自在に調節できるってこと、、、、、?」
そんなこと、本当にありうるのだろうか。
不可解に思いながらウニは指定されたページを開く。
その内容をまとめるとこうだ。
『この世には、天候を操る一族“ヒレイア”がいる。今現在もいるかはわからないが、その一族は代々秘術とも言える魔術を子孫に継承しており、その内部と仕組みは今でも謎に満ちている』
またもやウニは混乱した。
「え?え?そんな話聞いたことがない。姉さんからも隊長からも、、、、、。おかしいよ。信じられない」
ベッドで無意味に寝返りをうちながら、考える。
(天気、、、、、それは自然の一部。法律でも魔術などの神秘の力で操ることは禁じられてるし、自然を思いのまま動かすなんて出来るわけがないと言われてきた、、、、、。でも、その常識が通用しない?)
ますますドッタンバッタンと勢いをつけて体を布に打ち付けていると、だんだん脇が痛くなってきた。
「あー、、、、、もうどうなってんの?ユウマ姉さんに聞けばなにかわかるかな」
最近全く会っていない師匠の顔を思い浮かべ、ウニは嘆息する。
その後も頭を抱え思考を開始しようとしたが、睡魔に襲われ、そのまま翌朝になるまでウニが目覚めることはなかった。




