22、ナイラ・スクワイア
ウニとヘンリーが言い争っていると、2人の後ろから懐かしい声がした。
「やぁ。相変わらず元気っすねータイチョー」
バッと同時に振り向くと、そこには肩まで伸ばした赤毛を1つにまとめた女がいた。息ぴったりな二人の行動に、声の主はケラケラ笑う。
「いやほんと、そっくりだねーおふたりさん」
ヘンリーはバツが悪そうに言う。
「おお、おつかれ。ナイラ」
応じるように片手を上げたこのローブ姿の女性こそが、ウニの先輩であるナイラ・スクワイアである。
ナイラは今年24歳の若手で、たった今任務から帰ってきたところのようだった。
「今回のやつ、ほんと大変だったわ。もう疲れたー。家に帰っていい?」
「いやまて、帰る前に報告書を作ってもらわないといかん」
「ちぇ、だるいなー。サボりたーい」
「駄目だ」
成人をとっくに過ぎているはずなのに、唇を尖らせ拗ねるという幼い行動に、ずっと脇で見ていたノアは本日何回目かもわからないため息を吐いた。
「ナイラさん、ウニもそうなってしまったら俺が大変なんで。きちんとしてください」
「おっ、ノア少年。きゃー、いよいよイケメンに拍車がかかってきたんじゃなぁい?」
「ちょっとノアどういう意味ですか」
ウニの講義に目も向けず、ノアは言葉を淡々と続ける。
「それにしても、今回の任務はいつもに増して長かったですね」
「そう!ほんとそうなのー。戦士使いが悪いよね、困っちゃう」
ナイラは我が意を得たとばかりに身を乗り出し、聞いてほしい、と全力でアピールする。
そのとき、黙っていたヘンリーが口を挟んだ。
「おい、詳しい話は中でするぞ、、、、、ウニの話も聞かなきゃならんしな」
そう言ってギロリと睨んでくる隊長に、ウニは身をすくませた。
そんなウニにナイラは、どんまい、と苦笑しながら肩をポンポン叩く。
そして一同は基地の中に入っていった。
***
ウニとナイラは拠点に入るなり、たっだいまー!と大声で叫んだ。
そして関白入れず、ノアとヘンリーが、うるさい、とそれぞれの頭に拳骨を叩き込んだ。
「「いった!」」
「「黙れ」」
声までもが揃った。
一同が扉の並ぶ廊下をしばらく歩いていると、ヘンリーがそのうちの1つに入った。
扉を開けると、そこは小さい談話室になっていて、ウニも任務が終わったときはよくここで隊長に報告し、叱られていたものだ。
「ではナイラ、さっそく聞かせてもらおうか」
開口一番ヘンリーが口を開く。
「俺も変だと思っていた、、、、、長期間とはいえ、終了の日から1週間以上過ぎているからな」
その言葉にナイラはブーブーと頬を膨らませ、賛同する。
「ほんとそうだよね。こっちの事情にも耳を傾けろっつーの」
そう言ってナイラはいきなり声を小さくし、内緒話でもするかのように身を低くする。
「おかしいんだよね。急に山に光が見えたとか言って、謀反者の可能性があるとか言ってさ。これまた急に駆り出されるんだから」




