15、ノエル・ゲリース
舞踏会では、この国のお偉いさんや他国の大使、貴族がやってくる。会の目的は“気の知れた相手と踊り、社交をし、友人と仲を深める”だが、真の目的と言えるのは“コネを使ったり腹を探り合ったりして利益を設ける”ことだろう。つまりは、ウニにとってものすごく居心地の悪い会ということになる。
ウニは前を歩くミーアの顔をチラチラと覗き込みながら、今日のことについて考えていた。
(わたしはあくまでミーア様の護衛。だから話しかけるような物好きはいないはず)
自分が優れた容姿をしていることも知らずに、ウニは自分に言い聞かせる。
一応ダンスの教育はユウマ姉さんから受けているし、もし誘われたとしても問題なく踊れるだろう。問題なのは、ウニの精神的なものだ。
だって、今日集まるのはウニにとって天よりも高い存在ばかりなのだ。そんな方と一緒に“手を繋いで”踊るなんてことをしたら、、、、、そこから先は考えたくもない。
つまりは、以外にウニは立場を気にする性格だということだ。隊長に対してあんなにも態度が乱雑なのは、そもそもどれだけ偉いのかわからないからである。
うわぁ、、、、、確か学んだ限りでは偉い人、、、、、だけどどれだけすごいのかなぁ、というのが初対面での感想であった。
ウニは教えられたことはすぐ覚えるしあまり忘れない。なので頭は良いのだが、考える方の“賢さ”は兼ね備えていなかった。
***
そうこうしているうちに舞踏会会場についてしまった。そこは王宮でも一番広くて豪華絢爛なホールで、自分たちの他にもう数十名来ていた。
全員が綺羅びやかな衣装を身にまとい、目に痛い。チカチカする。会場にはお酒や香水、化粧の匂いが充満しており、ウニはクラクラした。
「や、ややっぱりこの空気感に、は、、、、、な、慣れませんわ、ね」
ミーアの口調がたどたどしくなっている。人が多いせいだろうか。
ウニは小声で話しかける。
「ミーア様は、舞踏会は何歳頃から行かれていたんですか?」
「15歳からかしら、、、、、」
舞踏会は年に2回行われる。つまりは5、6回経験があるということだ。
「やっぱり何回行っても緊張するものなんですね、、、、、」
「ええ、わたくしは特に」
そのとき、ミーアに声をかけてくる者がいた。
ミーアの清楚な雰囲気とは真逆の、カラフルで派手なドレスを着た濃い金髪の女性だ。
「あらぁ?お久しぶりねぇ。ミーア様ぁ」
「ご、ご機嫌よう。ウルフカリス様」
しっかりと話せているミーアを見ながら、ウニは壁に寄った。
(ノアは正式な王位継承者が決まるのは時間の問題だって言ってたけど、、、、、)
ぼーっと突っ立ちながら、ウニはノアの言ってた王位継承者問題について考える。
――近づいてくる者に気づかずに。
「やぁ、そこのかわいいお嬢さん。僕と一緒に1曲どうかい?」
ウニが驚いて顔を上げたそこには、黒髪の美男子――ブライスト侯爵令息ノエル・ゲリースがいた。




