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12、舞踏会準備

 舞踏会が近くなってくると、宮殿の中もだんだんと緊張の空気で満ちてくる。

 それはそうだろう。他国から来る者に国王の療養を悟られてはいけないのだから。

「ミーア様は、舞踏会当日どのような衣装を着るのですか?」

「舞踏会には、、、、、これを着ようと思いますの」

 そう言って、ミーアは薄い紅色のドレスを広げてみせた。

 フワリとドレスの裾が舞う。胸元にはバラをかたどった飾りをつけており、全体的に華やかだ。だが、裾はストンと落ちるタイプのもので、それが落ち着いた印象を与えていた。

「うわぁ、、、、、すっごく素敵です!きっと似合います」

「ふふっありがとう。わたくしがデザインしたものなの」

その言葉に、なんと、と目を丸くする。ドレスのデザインなんてウニには一生できないだろう。

「そのドレスも、、、、、ご自分ですべて?」

「ええ、ドレスを纏うぐらい、大したことではありませんわ」

 そう言ってミーアはうれしそうに微笑む。やっぱり女の子はおしゃれが好きなのかなぁ、とファッションに全く興味のないウニは思った。

が、ミーアの顔はすぐに陰る。

「でも、、、、、やっぱり、不安ですわ。ウニの前では自然に喋られるようになったものの、他の人には、、、、、喋られる自信がないの」

「ぁ、、、、、」

 ウニは考える。どうにか自信を持ってもらえないだろうか。

「あの、ミーア様。私も当日は護衛としてご一緒するのですか?」

「え、ええ、、、、、もしかして、嫌ですの?」

「いいえ!違います、、、、、あの、舞踏会当日は、わたしミーア様のこと必ず見守っているので、その、、、、、安心して、楽しんでほしいです」

恥ずかしくなって思わずうつむく。すると、ふふっという声が聞こえた。

頭を上げると、ミーアが笑っていた。

「ありがとう、、、、、なんだか少し、元気が出てきましたわ」

 その笑顔を見て、ウニは安心した。もし不敬と取られたらどうしようかと思っていたのだ。

「わたくし、、、、、あなたのことを友人のように思っていますの。だから、これからも、よろしくお願いします」

「、、、、、!はいっ」




 あ、そうそう、とミーアが思いついたような顔をする。

「あなたも舞踏会に行くでしょう?だから、一緒にドレスを仕立てましたの」

ええ!?とウニはたじろぐ。ドレスなんて来たことがない。

「だって、、、、、ウニ、いつもその格好でしょう?シャツとスカートは、、、、、」

「あ」

 そうだ、護衛といえども舞踏会に制服姿で行ったらさすがにおかしい。ここはミーアのほうが正しいだろう。

「そうですね、、、、、わたし、ドレス一着も持っていないです」

「でしょう?だから、、、、、これ。どう?」

クローゼットから一着のドレスを取りだす。それは淡い青のワンピースドレスだった。

 襟の高い、控えめにレースで飾ったドレス。主のミーアを隠さないほどの華やかさだが、歩くたびにフワリと舞うデザインは、ウニにはもったいないほどの素晴らしさだった。

「えええ!?これを、わたしが、、、、、?そんなっもったいないです!」

「これはご褒美よ。あなたのためだけのドレスなんだから。受け取って?」

 そんな圧で言われたら、もらうほかないだろう。ウニは粛々と受け取った。

 手に乗る布は柔らかくて、高級なものだとすぐにわかる。

これから大切にしなくては、とウニが決心していると、ミーアが穏やかな口調で言う。

「お父様のことを隠すというのは大変だけれど、、、、、ウニの言うように、まずは楽しんでみるわ」

 ウニは、はい!と元気よく返事をした。

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