11、王位継承者問題
「王位、継承者問題、、、、、」
ここシェラール王国は、ほとんどの場合男性が王になる。
だが、歴史上に女王がいたこともあるようで、性別はあまり関係ない。
また、第一王子が有利になるなどというものも無く、王位継承者になるには完全力比べである。
「え、今まで決まってなかったんですか?」
「ああ、、、、、第一王子のロバート殿下は32歳。さらに国王は60近いときた。そろそろ誰が正式な継承者か噂が流れるはずだが、、、、、不思議なことにほとんどない」
「うわぁ。なんか面倒くさそう」
ノアは深々と頷く。
「そうだ、権力と権力が複雑に絡まり合っている。これほど面倒なことがあるか?、、、、、、俺が護衛しているポール殿下も後ろ盾にブライスト侯爵がいるからな」
ブライスト侯爵はポール王子の母親であるユリア妃の父親だ。彼もそれなりに名のつく貴族なので、可能性がないわけでもない。
だが、他の王子王女も同じような貴族が後ろにいる。
この国の妃は3人いて、先程のユリア妃とカーリエ妃、オレーティア妃がいる。それぞれ名家の令嬢で、その子供達も少なからず支援を受けている、というわけだ。
「今のところはどの王子や姫も、誰が王になるかはわからないほど差がほとんどない、、、、、というのは表向きの話だろう」
ウニもコクリと頷いた。馬鹿じゃないのだ。それくらいはわかる。
「たぶん、そうしているのは、、、、、無駄な争いを無くすため、ですよね?」
「ああ。どの子どもが有利だと下手に流せば、中立派の奴らが動く可能性がある。そうすれば、他の貴族が自分の支持する王子達を王にしようと争いに発展することもある、、、、、そこで死者が出てしまえば、後々大変なことになるからな」
そうだ。この国は人を傷つけることを禁じている。それを破ってしまえば、本末転倒になる。
「まぁ、憶測ばかり口にしても、俺達戦士のやることは“国を守ること”だ。今から出来ることはなにもない」
それだけ言って、ノアは帰ってしまった。
***
ミーア姫の部屋に向かうと、案の定、彼女は思い詰めた顔をしていた。
「大丈夫ですか、ミーア様。具合が悪いのですか?」
「ウニ、、、、、もし、国民が国王がクイルにかかって重体だと知れば、きっと、これから国中が大混乱になります。もしかしたら隣国が攻めてくるかも、、、、、王位継承者問題が片付いていない今、誰がこの国を支えなければいけないのでしょう。わたくしに、そんな大役は務まるのでしょうか、、、、、」
ノアが言った通りのようだ。やはり国王が不安定だと、国中も不安定になるらしい。
「ミーア様、少し落ち着きましょう。まだ他国が攻めてくると決まったわけではありません。その前に、舞踏会があります。陛下はお医者様がきっと治してくれますから、今はそのことを考えましょう。」
そう、国王と王位継承者問題も大変だが、その前に舞踏会がある。この国の重臣はもちろん、他国の貴族や大使が来るのだ。そこで悟られないよう動くのも大事だろう。「全然大したことありませんよ」という雰囲気を保たなくてはならない。
「そうですわね、、、、、ええ、そうだわ。ありがとう、ウニ。私はただでさえ人見知りなのに、今は挨拶の練習でもしなければいけませんわね」
ミーアの顔色が幾分か良くなったのを確認したウニは、安心して任務を行えた。




