目覚め
――燃えるような熱が 体の内側を食い破る。
皮膚が裂ける感覚 、 肉がぶちぶちと引き裂かれる ような痛み。
目を開けようとしても 視界は真っ暗 。
叫ぼうとしても 声すら出ない 。
自分が気絶しているのかさえも分からない。
痛みは 容赦なく続く 。
――どれほど時間が経ったのか。
何分? 何時間? それとも 何日 ?
やがて、その激痛がスッと静まる。
(……生きてる……?)
感覚が ゆっくりと戻ってくる。
手のひらが冷たい地面に触れる。
草の感触。
肌を撫でる風。
ゆっくりと 目を開けた――。
視界に広がるのは――
青々と茂る木々。
揺れる草花。
鳥のさえずり。
そよぐ風の音。
「……森?」
俺は ゆっくりと上半身を起こす 。
異世界――かと思ったが、そうでもなさそうだ。
空は青いし、草木も見慣れた形をしている。
(でも、俺は確か……)
ここに来る前、アリスに“呪い”を押し付けられたはずだ。
「……あの女、俺をどこに……」
――ぐぅぅぅぅ。
鳴り響く 腹の音。
「……最悪だ」
腹が減りすぎて 力が入らない。
どこかが傷んでいるわけじゃないが、体がやけに重い。
飢え死にするかもしれない。
詰んだ。