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わたしが死んだ日  作者: 実話
1/1

人間の闇

これは全て実話を元にした物語フィクション


「「人間とは、地球上で最も愚かで醜い生物である。持つ者に持たざる者の想いを一切、理解することは出来ず、無い者は持つ者を妬む。なんと不平等でザンコクな世界なのだろう。」」


いっそ電車にでも飛び込んで楽になろうか?あの世のほうが、よほどいい国に見えた。


身分や貧富の差、生まれた国に人種、身体的な容姿などの差別は一切ない。


「あの世ほど住みやすい国や場所はなかった。

少なくとも今の汚職まみれの政治や差別で溢れている現代社会よりは、ずっとましだ!」




Z市に住む私は、働きながら主夫をしている傍らサークルを運営して二次創作の音声を制作している。

今日は週末ということもあり youtuber をしている無名の声優さんにアポイントメントを事前に取って依頼してみようという話しになった。


これが後に大事件を引き起こす原因になるとも知らずに…………


「はじめまして しくつサナさんでしょうか?」


「ご依頼ですね!!公式サイトからメールアドレス宛てに連絡もらえますか」


自己紹介もそこそこにボイスの依頼をする。

依頼内容としては私が小説家になろうに投稿した作品の、ヒロインの1人であるミユをメインにした物をお願いする事にした。


理由は勿論、私の立ち上げた音声サークルが作った商品 シチュエーションボイス作品、「僕の義姉はロシア人のクォーターで僕は毎日その姉にイジられている!」という名前の作品の知名度を上げるためである。


しくつ桜菜。彼女は自分の声を世間に知ってもらうために、ネット上で私達の活動以外にも積極的に配信やSNSで活動をしてくれているのだ。

そんな努力が実を結びついに!なんと!僅か1週間でフォロワー数10万人。


ピコン! サークルのメールアドレス宛てに返信の通知が届いた。


「声優の桜菜です!


ご相談ありがとうございます


ではさっそくですが、以下の項目をお伺いしたく思います。


・サークル名

・依頼したい媒体(音声作品やゲーム等)

・だいたいの予定文字数かワード数(基本音声作品は文字数、ゲームはワード数で価格計算します)

・あらすじやキャラクター設定など作品について決まっているもの

・希望声質(ボイスサンプルか作品、又は既存のキャラクターでしたら作品とキャラ名 YouTube等の参考URL)

・いつ頃、台本完成予定でいつ頃に納品希望か


お手数おかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします」


いざメールで声優さんとやり取りしてみると、実に丁寧かつ分かりやすい文章だった。


「初めまして、音声サークル【青春は不敗】代表の水瀬です。いまテンプレートを送りました。こちらこそ、ぜひご依頼お願い致します!」


「私、正式な案件をもらうのは初めてなので嬉しいです!水瀬さん、ありがとうございます」


私はサナさんに台本の大まかな流れをメールで送る。


「主人公のミユちゃんは、私のイメージと合っていて可愛いです。ぜひやらせてもらえませんか!?お願い致します」


とりあえず、台本は彼女へ渡したのでサンプルの録音が終わるまで待っていることにした。


「数日も待っているのは酷なのでSNSサービス、青い鳥で繋がりませんか?」


「いいですよ。水瀬さんのこと知りたいです!お互いの理解を深めれば、より良い作品に仕上がると思いますよ!!」



彼女からテンションの高めなメールが届く、とても嬉しそうな顔をしているのが画面越しに伝わってくるようだ。


お互いの理解を深めるため、SNSでの繋がりは必須と言ってもいいだろう。

サナさんからすると、私のイメージと合っていて可愛いとの事だ。これはとても嬉しい言葉。

私は青い鳥のアカウントを彼女に教える。彼女は私のアカウントをフォローしてくれたようだ。私も彼女のアカウントをフォローしたのだった……

ピコン! 青い鳥でサナさんのアカウントが更新された通知が届く。

早速、私は彼女の投稿を見ることにしたのだ。


「今日は、 ファンの方からお祝いのコメントや、初の有償依頼を頂きまして……!! 本当にありがとうございます。これからも応援よろしくお願い致します」


ファンの方?お、私のことについて投稿しているぞ。


お互いに趣味や仕事のこと、好きな音楽にお気に入りの映画などのことをダイレクトメッセージで共有して桜菜さんとの距離を縮めていった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


サークルで販売する音声の作品が完成間近という頃。


しばらくお互いに楽しく交流していたある日、こんな文面のメールが届く、


「申し訳ございませんが、お取引に不安があるため今回のご依頼は承れることが出来ません。もう連絡してこないで!」


しくつサナさんの急な態度の豹変。

彼女を怒らせるようなことは、もちろんやっていない。丁寧な対応を心がけるようにしていた、なのに何故?


青い鳥の公開ツイートにて、その理由が明かされた。


必要事項以外は喋ったりしたくはないらしく、ストレスになっていたと後に語った。しかし、公開ツイートでは他のフォロワーとは楽しく雑談したりしているし、お喋りもしていたのも確認済み。他の人と会話している時はストレスに感じている様子もなかったのに。


「なら何故わたしにだけあんな酷いメッセージを?」


桜菜さんになぜ冷たくされたか、理由を尋ねるべく私は彼女にメッセージを送ったのだった。

この対応の真相は? そのことについて聞こうとした時、私は目を疑う投稿を目にする。


「名乗りもせず絡んで来る、水瀬とかいう…………おかしな変態からの嫌がらせ連絡が何件も着ていて困っているんですぅ!?助けて下さいフォロワーさん達!」



すると1人の声優アカウントのフォロワーからリプが届いたのでそれをみてみることに、


「なぬぅ!?それは一大事ですなぁ、助太刀いたす!何かトラブルでござるか?」


「はい。変質者にSNS上で絡まれてまして……」


「なにそれ、その依頼人ストーカーじゃん!」


「サナさん。ご依頼する立場として名乗りもせずにくるのは良好なコミュニケーションが取れる相手とは思えません。手間ですけど、断ったほうがいいのではと思います!」


「桜菜たんをいじめるヤツはおいらが許さん!そのストーカーを拡散して晒し首にしてやろうぜ?」


自身のフォロワー達に呼びかけて私を悪者扱いしている投稿をしていた。当然、依頼する前に名乗りもしたし、失礼にあたることはしてないはずだ。


私は、その事についてサナさん本人に確認してみることにした。

「しくつサナさんですか?」

「どなたでしょうか?このSNSは青鳥で繋がってるフォロワーさん達以外はブロックしてるので……」

「水瀬です!前に音声作品を依頼した」


「あぁ……あなたでしたか、すみませんがお取引はお断りさせていただきましたので今後一切関わってこないでください!」

「何故、私が嫌われたんですか?心当たりがないのですが……」

「はぁ!?あなたが個人情報を掲載して流出させたんでしょう。とぼけないで下さい!!」


そんなことはしていない。どうやら、私が音声作品の販売用に公開した個人情報が何らかの形式で流出して彼女の元にも届いていたようだ。


私はその事については否定をする。

しかし、彼女は聞く耳を持ってはくれない。

そして、桜菜さんはとんでもない事を言い始めるのだった……


「あなたがやったことの対応も含め、警察・弁護士に相談をマネージャーが始めております。貴方を訴えさせてもらいますから!」


「………」


彼女の発言に、私は言葉を失う。

身に覚えの無いことで関係各所に通報され、まるで犯罪者のような扱いをされて悪口まで言われたからだ。


最初は

お互いの理解を深めれば、より良い作品に仕上がると思いますよ!と嬉しそうに言っていた彼女がなんで………。



しかし、今は下手に動かないほうがいいだろう……

私は桜菜さんに謝罪と説明を求めるメールを送ることにした。それでも返事はもう連絡してくるな!だけだった。


こちらが悪者にされなくてはならないのだろう、なんで通報されて犯罪者扱いされなくてはいけないんだろう。



心が苦しくなって、耐えることが出来なくなった私は翌日の早朝、始発電車の駅から実を投げて

自ら命を絶って 死んだ。

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