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はぐれ影、令嬢になる~隠密一族の生き残り アイル・キングストン~  作者: 成若小意
第三章 宣戦布告

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19/21

宣戦布告

よろしくお願いします

 追放された王弟エンツォは復権をあきらめてはいなかった。隣国に流されながらもその優秀さを遺憾なく発揮し、隣国のウェザーランドでコネを作り、ジルフォードの弱みを握ろうとしていたのだ。


 隣国の者も新興国の内部情報に詳しいエンツォに積極的に協力した。彼らは、内部の事情をよく知るものを隣国に野放しにするなど甘いと笑っていた。


 そして警備のすきを突き、ジルフォードをさらおうとしたが全滅させられた。それが先のジルフォード、サブリナ、アイル三名誘拐未遂事件の真相。


 脚が付かないように破落戸を雇ったのがあだとなったのだとエンツォたちは考えたが、そもそも何をしても無駄な相手だったということには気が付かないまま。


 実はこの事件をきっかけに王家の影はアイルの配下になっていた。理由は簡単。統率の取れていないジルコニア王家の影たちの存在がうっとおしくなり、ならばと自分の元へ引き入れてまとめあげたのだ。


 国王主導のもと、議会連と貴族連はエンツォの企み及び隣国ウェザーランドの企みを阻止すべく、総力をあげて対応。戦争には至らず、特も損もない状況で政治的決着がついた。


 そんな隣国ウェザーランドとのごたごたが終わりほっと息をついたころ。まさかの祖国アラトニアから宣戦布告を受けたとの一報が入った。






 新興国ジルコニアの初代国王はもともと祖国アラトニアの公爵家だ。アラトニアにおいて重要な地位にいたわけであり、アラトニアの王家とも懇意にしていた。そのためたもとをわかった今でも尊敬の念を込めて祖国と冠してアラトニアを呼んでいるのである。


 そんな良好な関係を築けていると思っていたアラトニアからの宣戦布告は国会を大いに荒れさせた。


 一方アラトニアにとって新興国ジルコニアとは実は疎ましい存在だった。特に王家は嫌悪していたと言ってもいいだろう。


 確かにアラトニア王家はジルコニア初代国王が国にいた頃は信をおいていた。頼りにしていた。だからこそ国を去ったときの失望感は大きかった。表面上は友好的に分かれたように思われていたが、王家の思いはこじれ、み、恨みとなっていった。


 祖国を頼るまいと意地を張り国交をあまり持たなかったジルコニアは今は勢いのある国となった。方や派閥争いで疲弊したアラトニアは斜陽国家となり、弟分のようなジルコニアの財をうらやんだ。





「三代にわたって宝石を掘り出してくれてありがとう。軍を派遣して回収を手伝ってやろう。尚、高額納税者にあたるジルコニア領ミスリル氏には公爵位を叙爵しよう」


 アラトニアからの宣戦布告文書は意訳すると上記のようなものだった。ちなみにアラトニアはのちの歴史家から前代未聞のカツアゲ国家だと揶揄されることとなる。

読んでくださりありがとうございます。

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