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大嫌いなあなたを。

作者: 三九

 私はあなたが嫌い。

 私の妹はあなたを愛しているけれど、私はあなたが嫌いなの。

 あなたはいつも私に辛く当たるから。

 私はいつだって泣かされてきたわ。

 でも今日は違う。

 あなたは私の目の前に転がっているのよ。

 誰にも内緒。

 妹にも話していないの。

 私は包丁を握り締めたわ。

 あなたを美味しく料理するために。

 あなたの全身の皮を剥いであげる。

 日に焼けたあなた、でも本当は色白なの、私は知っているのよ。

 あら、まだ息があるの?

 でも無駄よ。絶対逃がさない。

 脚を切り落としてあげるわ。

 これでもう逃げられない。

 頭も切り落としてあげる。

 馬鹿なあなたには必要ないわよね。

 あなたの身体を真っ二つにして、もっと細かく切り刻んであげるの。

 ああ、なんて楽しいのかしら。

 あなたの身体の中身も全部細切れ。

 形もわからないくらい磨り潰してあげるわ。

 ああ、とっても楽しいわ。

 それなのにどうして、私は泣いているのかしら。

 悲しくなんかないのに、どうして涙が止まらないのかしら。

 私はあなたが大嫌いなのよ。

 あなたの顔も見たくないわ。

 そのはずなのに、どうしてこんなにもあなたが愛しいの。

 あなたのすべてが欲しくてたまらない。

 だから、私たち一つになりましょう?

 私があなたを食べてあげる。

 とっても美味しいハンバーグにしてあげる。

 そうだわ、妹にも食べさせてあげましょう。

 足りなくなったら、あなたのお友だちもハンバーグにしてあげるわ。


 私は俎板の上でみじん切りになった玉葱を見下ろして、とめどなく流れる涙を拭った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 通りすがりの者です。どうかお気を使わずに。 最後の一行で楽しいお話になり、ホッとしました。それでなければ、ハンバーグの原料が気になって眠れません。今後泣かされないためには、玉葱を冷蔵庫で冷や…
[一言] 初めまして! 三九サンの小説を拝見させて頂きました。 爆笑です。 大爆笑です。 あーお腹が・・腹筋明日筋肉痛かもしれません(笑 初めの文で、病んでる奥さんが夫と妹の不倫関係(?)見たいなのを…
2009/09/21 17:29 退会済み
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