大嫌いなあなたを。
私はあなたが嫌い。
私の妹はあなたを愛しているけれど、私はあなたが嫌いなの。
あなたはいつも私に辛く当たるから。
私はいつだって泣かされてきたわ。
でも今日は違う。
あなたは私の目の前に転がっているのよ。
誰にも内緒。
妹にも話していないの。
私は包丁を握り締めたわ。
あなたを美味しく料理するために。
あなたの全身の皮を剥いであげる。
日に焼けたあなた、でも本当は色白なの、私は知っているのよ。
あら、まだ息があるの?
でも無駄よ。絶対逃がさない。
脚を切り落としてあげるわ。
これでもう逃げられない。
頭も切り落としてあげる。
馬鹿なあなたには必要ないわよね。
あなたの身体を真っ二つにして、もっと細かく切り刻んであげるの。
ああ、なんて楽しいのかしら。
あなたの身体の中身も全部細切れ。
形もわからないくらい磨り潰してあげるわ。
ああ、とっても楽しいわ。
それなのにどうして、私は泣いているのかしら。
悲しくなんかないのに、どうして涙が止まらないのかしら。
私はあなたが大嫌いなのよ。
あなたの顔も見たくないわ。
そのはずなのに、どうしてこんなにもあなたが愛しいの。
あなたのすべてが欲しくてたまらない。
だから、私たち一つになりましょう?
私があなたを食べてあげる。
とっても美味しいハンバーグにしてあげる。
そうだわ、妹にも食べさせてあげましょう。
足りなくなったら、あなたのお友だちもハンバーグにしてあげるわ。
私は俎板の上でみじん切りになった玉葱を見下ろして、とめどなく流れる涙を拭った。