特二号級レリックの討伐
誤字脱字のご報告ありがとうございます
電子頭脳と主人公との会話ですが通信会話と区別できるように、『の前に>を付けるようにしました。
変なノリで書いてしまいましたm(_ _)m
ベイ大統領の旗艦から離れ、首都星から離れるときには、前大統領派の星域軍は全て撃破されるか、降伏していた。それによって止まっていた一般宇宙船の航行が再開されると、首都星のステーションから、レマの宇宙船が帆船を追ってやって来た。
『シンデンが倒したあの敵は一体何だったのですか、そしてベイ星域軍の旗艦に乗り込み、大統領と何を話したのですか?まさか貴方、ベイ星域軍に入るつもりですか?』
レマからは、矢継ぎ早に質問が飛んでくるが、一番気にかかっているのは最後の質問だろう。
『俺が倒したのは、高次元生命体だ。データを送るから見ておけ。後、大統領とは依頼の報酬について話しただけだ。俺はベイ星域軍に入るつもりなど無い』
シンデンは、レマの質問に端的に答えると、ベイ星域軍に対して送ったのと同じ情報を送りつけた。
『高次元生命体?ですか。これは…こんな情報をどうしてシンデンは知っていたのですか』
『俺が知っていた訳では無い。この船の詳しくはヒストンに戻るまでに話そう』
ヒストン恒星系に戻るまで、一週間の旅路である。その間に俺はレマに高次元生命体について、そしてベイ大統領メアリーとの会談の内容を話した。
「高次元生命体を呼び出すレリックが存在するのですか」
「ベイ大統領の話を信じるなら、存在するらしい。だが、もし高次元生命体を呼び出したとしても、願いをかなえるとしても割が合わないぞ。そして、最悪呼び出した者も殺されてしまう。もし長官に報告するなら、そこを強調して報告するんだ」
「…そうですね。危険性があるレリックが存在すると報告します。それに高次元生命体を倒すには、気功術や魔法使い、理力使いでなければ不可能という事も伝えますが、それの情報を報告しても問題はありませんよね」
「だから、いちいち俺に確認をするな。しっかり伝えてくれ。だが、高次元生命体は、キャリフォルニア星域軍の連中でも簡単に倒せるないだろう。もし暴れ出したら、星域軍の人型兵器部隊が全滅するぐらいの覚悟が必要だ。だから絶対に高次元生命体に係わるレリックは慎重に扱えといっておけ」
「高次元生命体との戦闘は記録してあります。これを見れば長官も分かってくれるでしょう。しかし、シンデンは星域軍がかなわないような相手を、一人で倒したんですよね。凄いじゃ無いですか」
「この船首像が無ければ、俺は死んでいただろうな。…だからといって、キャリフォルニア星域軍がレリックシップを探し回ような報告は出すなよ。レリックシップに係わると、この前の内戦みたいな事が起きるぞ。そこは長官も理解していると思うが…」
「そうですね。味方同士で殺し合う、そんなな戦いはもう二度としたくありません」
レマは、キャリフォルニア星域軍の穏健派と軍拡派が起こした内戦に参加していた。だからシンデンの言う通り、内戦が起こるような報告はしないつもりだった。
★☆★☆
ヒストン恒星系のステーションに戻り、三日ほどすると、雪風が戻ってきた。
「シンデン、会えなくて寂しかったよ~」
依頼の完了報告を終えたシオンが、シンデンに抱きついてくる。長い依頼を完了させたのだ、その程度の甘えは許してやる。
「海賊が多くて大変でした。海賊の始末は一緒に依頼を受けた傭兵さんに任せました」
シオンの頭を撫でている間に、スズカが依頼に付いて報告してくれた。ベイ星域軍が動けなかった間、海賊達は活発に行動していたようだ。
「お前達に捕まった海賊はましな方だろうな。今頃、残った海賊達は、ベイ星域軍の手によって全員あの世へ逝っているだろう」
シンデンは、喉をすぱっと切る仕草をしてそう言った。
「ほえ、シンデン、ベイ星域と何かあったの?噂じゃ、首都星で内戦があったみたいだけど、『レリックシップを駆る傭兵が、化け物を倒した』とか言う変な噂を聞いたけど…まさかシンデンの事じゃ無いよね」
「そうです。あの噂の傭兵って、シンデンさんですよね」
シオンとスズカは、キラキラして目でシンデンを見上げた。
「そうだ。内戦で馬鹿がレリックを使って高次元生命体を呼び出してしまった。ベイ星域軍じゃ勝てそうに無かった。だから俺が高次元生命体を倒したのだ」
シオンとスズカにも、高次元生命体の話をしておく。二人なら間違っても高次元生命体を呼び出すようなレリックを使わないと思うが、「絶対に使うなよ」と念を押しておいた。
こうして、シンデンのチームは全員そろったので、俺達はヒストンの傭兵ギルドに向かった。目的は、ここでしか受けられない依頼を受けるためだ。
傭兵ギルドでは、ギルド支部長がヤキモキしながらシンデンを待っていた。ギルド支部長には、「シオンが戻ったら依頼を受ける」と伝えてあった。だから彼は、今日俺が来るのを待っていた。
「待っていたぞ。もう時間が無い、直ぐに依頼を受けてくれ」
「分かった。そう慌てるな。もうしばらくしたら星域軍も戻ってくる。それまで待っても良いと思うぞ」
電子頭脳は、「もう少し放置しても大丈夫」と言っていた。つまり、シンデンが依頼を受けなくとも、星域軍が何とかするだろう。しかし、シンデンは元々その依頼を受けるつもりで、ベイ星域に来たのだ。
「いやもう限界だ。早くしないと、彼奴らがあふれ出して、このヒストン恒星系は壊滅する」
「分かった。依頼は受ける。今から向かうから、警備には俺達を通すように伝えてくれ」
「本当に受けてくれるのか。これでヒストンは助かる」
ギルド支部長は、涙を流して喜んでいるのを見て、シンデンは最初に断った事を少し可哀想に思ってしまった。しかし、あの時シンデンが依頼を断っていたからこそ、シンデンは首都星に向かい、高次元生命体を倒す事になった。もしあの高次元生命体を放置しておけば、ベイ星域が消え去っていたかもしれない。そう考えると、シンデンが、支部長の依頼をあの時断ったのは正解だったのだ。
「今から出発する。だから警備の連中には俺達を通すように連絡しておいてくれ」
「ああ、伝えておく。直ぐに向かってくれ」
こうしてシンデンは依頼を受け、シオンとレマを連れてステーションを出航した。
★☆★☆
ステーションから出発した帆船と雪風、レマの宇宙船は、ヒストン恒星系の外園部にあるオールトの雲に向かっていた。
「シンデン、それでこの『特二号級レリックの討伐依頼』って、どんな内容なの?レリックシップとか宇宙生物じゃなくて、レリックを討伐ってのが分からないわ」
「そうです。レリックを討伐ってのが不思議です。レリックの破壊じゃ無いんですか?」
シオンとスズカが、依頼の内容について質問してきた。何時もなら、シンデンは二人に内容について説明していただろう。しかし今回シンデンは、わざわざシオンやスズカに依頼の内容を話さなかった。
『まあ、行って見れば分かる』
「うーん、何かシンデンが企んでいる気がする」
「シオンさん、今回の依頼、何かあるのでしょうか?」
『シンデン、貴方趣味が悪いわよ。シオンとスズカに今回の依頼の内容を説明してあげなさいよ。何も知らない子をあんな依頼に連れて行くなんて、趣味が悪いわよ』
シンデンとシオン達との会話を聞いたレマが、シンデンを叱る。シオンは、『特二号級レリックの討伐依頼』について、きちんと情報を集めてその内容を知っていた。
『俺は、この依頼を受けさせることは、二人に良い教訓になると思った。レマはそう思わないか?』
『確かに、何も考えていない二人には、良い教訓になるでしょうね。私は今回は参加しないで、外で待っているわ』
レマは、やれやれという顔で通信を切った。
『レマは不参加か…』
「『シンデンを監視する』って何時も言っているレマさんが、不参加ですか。それに教訓って?」
「シンデンさん、特二号級レリックとは、一体どんなレリックですか?」
『シオン、スズカ、ステーションで「特二号級レリック」について調べれば、簡単に分かったはずだぞ。二人の悪い点は、俺の事を信頼しすぎていることだ。少しは俺の話を鵜呑みにせず、自分達で調べるんだ!』
「「…」」
シオンとスズカは、シンデンの厳しい言葉に黙り込んでしまった。二人は今まで受けた依頼は、シンデンが選んだ物で、彼の言葉を信じて盲目的に依頼を受けていた。勿論シンデンは、二人の為になる依頼を選んでいた。だが、それでは二人は何時までもシンデンに依存したままである。
そこで今回シンデンは、ヒストン恒星系にある特殊な依頼を受けさせることで、二人に心理的な衝撃を与え、シンデンへの依存体質から脱却させるつもりだった。
★☆★☆
ヒストン恒星系の外園部に存在するオールトの雲、そこにある直径二千キロメートル程の準惑星にそのレリックは存在した。帆船と雪風は、警備の宇宙船に『依頼を受けたシンデンだ、通してくれ』と通信を送り、準惑星の中心にある、直径一キロ程の洞窟に入っていった。レマは、依頼に不参加と言うことで、洞窟に入らなかった。
『ここからは、雪風を分離する、そして俺は極力、手を出さない。つまり、今回の依頼は二人でやり遂げるんだ』
『シンデン、私達、以前も二人で依頼をやり遂げたことあったよね?』
『そうです。二人だけで護衛依頼をやりましたよ』
シオンとスズカは顔を見合わせて首をかしげる。やはり、二人は自分達の精神状態に気付いていなかった。
洞窟は自然の岩肌がむき出しで、勿論内部は真っ暗である。雪風と帆船はサーチライトを照らしながら洞窟の中を進んで行く。しばらく洞窟を進むと、雪風の前に突如巨大な二本の柱が出現した。その二本の柱は、直径五十メートル全長五百メートル程の巨大かつ歪な形の柱だった。
『突然前に障害物が出てきたわ。あれは一体…』
『シオンさん、あれ…私には、人間の足に見えるんですけど』
『スズカ、馬鹿言わないで。あんな巨大な足が存在…いえ、確かにあれは人の足、それもすね毛まで生えてるじゃ無い!』
シオンが絶叫するが、それもその通りである。この二本の巨大な柱は、人類の男性の足の様に見える物体だった。妙にリアルで筋肉質な足だが、男のシンデンが見ても、かなり見苦しい…いや暑苦しい物体であった。
『シオン、あれが「特二号級レリック」が発生させる敵ドローンだ』
帆船と雪風が入った洞窟は、「特二号級レリック」と呼ばれるレリックが作る巣である。その巣では、人類の姿を模倣した形態の敵ドローンが出現し、侵入者に襲いかかってくる。
洞窟の直径は、一キロと狭い。つまり、星域軍のキロメートル級の戦艦では身動きどころか、入ることすら不可能だ。そうなると大量の戦闘ドローンを送り込んでも倒す事になるが、戦闘ドローンのAIが交戦を想定している敵の形状と、レリックが作り出す敵ドローンの形状は大きく異なるため、人類側の戦闘ドローンでは、効率的な戦いが出来ない。その為この洞窟の敵ドローンを星域軍が排除しようとすると、人類側の戦闘ドローンの被害も大きくなってしまうのだ。
そういった経緯から、「特二号級レリック」が作り出す敵ドローンを倒すために、凄腕の傭兵(小型宇宙船で連携を取って戦える、シンデンの様な単独で戦えるレリックシップを持っている)に依頼が出される事になったのだ。
そしてギルド支部長が「恒星系は壊滅する」と叫んでいたのは、「特二号級レリック」が厄介な能力を持っているからである。このレリックは洞窟のような巣を作り、その中で先ほどの足のようなドローンを作り出す。そして一定数以上のドローンを作り出すと、ドローンは巣から出て行く。巣から出てきたドローンは、集団で行動せずに各々がランダムな方向に向けて進んでいく。そしてドローンは一定以上の大きさの準惑星や惑星に辿り着くと、そこで新たな巣を作り出してしまう。
このレリック、行動パターンとして人類を襲ってくる宇宙生命体と似ているが、直接人類を狙って来ない点が厄介なのである。人を狙ってこないので、発見が遅れてしまうと、恒星系に多数の巣が発生してしまうことになる。そうなると、もう手が付けられない。巣からあふれ出すドローンを破壊し、巣の中のドローンも破壊するしか無い。そして人類は、「特二号級レリック」が作り出した巣を完全に破壊する手段を知らない。
かつてベイ星域のとある恒星系が、「特二号級レリック」の巣で溢れかえってしまった。ベイ星域は結局その恒星系を放棄することになってしまった。「特二号級レリック」の作り出すドローンは、超光速航法が出来ない。よって、数十年は巣の拡散が防げるとベイ星域は判断した。しかし、ヒストン恒星系に何処からかやって来たのか、巣を作っていることが発見されてしまった。幸い巣は一つだけだったので、ヒストン恒星系は、定期的に巣を掃除することで巣の拡散を防ぐ事になった。
足ドローン…腰の部分から生えた巨大な二本の足は、前後にその足を振り回しながら雪風に向かってきた。その足ドローンは、雪風を蹴り壊そうとしていた。
『イヤー、こんなのと、どうして戦わなきゃいけないの~』
『シオンさん、でもこれが依頼なのです。戦うしか無いのです』
雪風はレーザー砲で足を攻撃して破壊していく。唯一の救いは、敵は巨大な足の形をしているだけで、破壊しても血を流さず、股間に男性のシンボルが付いてないことだった。
『ふぅ、何とか倒せたわ』
『恐ろしい敵です』
巨大な足を倒した事で、シオンとスズカは安堵のため息をつく。しかしこれで「特二号級レリック」が作り出した敵ドローンは終わりでは無い。
『油断しないでください。次の敵が出てきます』
雪風が二人に注意を促す。雪風のレーダーには、次の敵ドローンが表示されていた。敵ドローンは、全長二十メートルほどの人型だったが、何故か褌を付けただけのマッチョ姿であった。にっこり微笑んだマッチョの男が複数人、頭の上から巨大なブラスターを発射しながら、突っ込んでくる。
>『「特二号級レリック」を作った異星人って…まさか、ボ帝ビル○ーなのか!』
>『ボ帝ビル○ーとは何でしょう。本船の記憶にはありません。「特二号級レリック」を作った異星人は、鍛え上げられた体だけで宇宙に進出した特殊な生命体でした。そして、自分達が滅ぶ前に、「他の生命体に体を鍛えることの素晴らしさを伝えたい」と、あのレリックを作り出しました。つまり、あの敵ドローンは、レリックを作り出した異星人を模した物なのです』
>『迷惑な異星人だ…』
横スクロール・シューティングゲームの様に、マッチョ男のブラスター攻撃を避けながら、雪風は敵を撃墜して前に進んでいく。そして、マッチョの男達を全て撃破した雪風の前に現れたのは、さらなる強敵だった。
『きゃー、今度は巨大なマッチョが襲ってくるわ~』
『どうして、ポージングするだけで何もしてこないの?ですが、このままでは先に進めません』
『レーザーじゃ破壊出来ないよ』
『困りました。放置して先に進もうにも、ポージングしてくるので邪魔ですよね』
横スクロール・シューティングゲームでは無いので、敵が立ち塞がっても強制的に前進させられる事は無い。しかし、全高七百メートルのマッチョがポージングしているだけで、雪風は先に進めなくなる。攻撃してこない敵ドローンだが、人類のAIを搭載した戦闘ドローンには、敵として認識されない。つまり、人間でなければこのタイプの敵ドローンは、破壊出来ない。
巨大なマッチョに対して、雪風のレーザー砲攻撃は通じなかった。どうやら、あの巨大ドローンは、レーザー砲を無効化する素材で作られている様だった。シオンはどうすれば敵を撃破出来るのか、分からず困っていた。
>『やっぱり臨機応変に戦えていないな。今は帆船と雪風しかいないんだぞ』
>『マスターが「迂闊に魔法格闘戦モードを他人に見せるな」と言った事が理由では?』
>『だから、臨機応変に戦えていないんだ。雪風、助言してやれ』
『マスター、レマさんの船はいません。本船を魔法格闘戦モードに変形させて、魔法による攻撃を提案します』
『あっ、そうね。魔法で倒せば良かったんだわ』
三週間傭兵達と護衛依頼をしていた、シオン達は攻撃魔法を使う程の危険に会わなかった。そして、シンデンに「迂闊に魔法格闘戦モードを他人に見せるな」と言われていたシオンは、シンデンから命令が無い限りは魔法を使わないという心理的な枷がかかっていた。
『エクスプロージョン!』
魔法格闘戦モードに変形した雪風が、シオンが唱えた「エクスプロージョン」で、全高七百メートルのマッチョの上半身を吹っ飛ばした。残った下半身が個別に襲ってくるかと思ったが、上半身を失った下半身は崩れていった。
>『なかなか豪快な敵だったな。あんなのが宇宙空間を漂っていたら、自分の目を疑っただろうな』
>『あのレリックを作った異星人の中には、あのサイズまで巨大化した個体もいたそうです』
>『その異星人って、光の巨人と人間食い殺す方、どっちだったの?』
>『光の巨人が何を意味するか不明ですが、異星人は人類とは接触してません。彼らが人を食料と見なしたかは本船にも判断出来ません』
それから次々と敵は出てきた。中には腕だけが空を飛んで雪風や帆船を握りつぶそうとしたり、足首だけが踏みつけ攻撃を仕掛けたり。そして洞窟の最後には、三百メートル級のマッチョが、腕を十字に組み合わせて謎な光線を放ってきた。そのレーザーともブラスタートも異なる光線に、危機感を覚えたシンデンは、とっさにシールドの魔弾で雪風を守った。
★☆★☆
最後の巨人を倒して、依頼は完了した。
『シンデン、敵は全部倒したよね。それなのに、また時間が経つと敵が復活しちゃうの?』
『ああ、そうだ。定期的に掃除する以外に方法は無い』
『面倒なのね~。もう私は二度とあの敵とは戦いたくないわ』
シオンが、そう言って肩をすくめた。
『あの…あの洞窟の入り口を塞ぐとか、準惑星を破壊しては駄目なのでしょうか?』
『入り口を塞いでも、掘って出てくるだろうな。それにあの敵が発生する原理は不明だ。あの巣のある惑星を破壊して、その欠片が何処かの惑星に落ちたら、巣になる可能性もある。だから星域軍もあの準惑星を破壊しない』
人類でも大型の対消滅爆弾を使えば、準惑星を破壊することは可能だ。しかし、準惑星を破壊するほどの対消滅爆弾を作るには金がかかる。そして対消滅爆弾でも、準惑星の全てを消し去ることは不可能である。そしてその欠片から巣が発生する恐れがあるのだ。それなら「定期的に傭兵に討伐依頼を出す方がまし」とベイ星域は判断した。今回は洞窟の奥、最後の敵を倒したので、後数年は討伐の必要はないだろう。
『お前達、俺が命じた依頼を何も調べずそのまま受けたら、今回のような酷い目に遭うと分かったな。それに、俺も完璧じゃ無い。受けた依頼に、どんな罠が潜んでいるか分からないのだ。今後は、俺が受けろと言った依頼に対しても、きちんと情報収集するんだ』
『『はーい』』
『もう、マッチョはこりごりだわ』
『今晩、夢に見そうです』
シオンとスズカは、そう言ってゲッソリとしていた。
>『これで少しは、二人のシンデン依存度が下がってくれれば助かるのだが』
>『そうですね。雪風にもう少し二人を厳しく鍛えるように伝えましょう』
ベイ星域にあった魔石の行方も判明した。シンデンがシオンとスズカに受けさせたかった依頼も終わった。シンデン達は、ベイ星域を出て次の星系を目指す事になった。
最初(去年末)はゾンビ退治任務予定でしたが、年末年始に、何故か超兄貴(漫画)を読んで、その後シン・ウルトラマンと進撃の巨人の最終章見た影響で、敵が変わってしまいました。
お読みいただきありがとうございます。面白いと思われたら評価・ブックマークをお願いします。