指名依頼
誤字脱字のご報告ありがとうございます
電子頭脳と主人公との会話ですが通信会話と区別できるように、『の前に>を付けるようにしました。
傭兵ギルドに入ると、大勢の傭兵達がいた。半数は魔石運搬の護衛依頼狙いで、残りは紛争へ参加する連中だろう。傭兵の中には、戦争が…いや戦いが好きでたまらないという連中がいるのだ。そんな奴らは、他の傭兵と雰囲気が全く違う。受付嬢に並んでいる列も二つに分かれている。
「シンデン、あの人達、何か怖い」
「あっちは紛争に参加する傭兵ですね~」
「シオン、あまりジロジロ見るな。喧嘩をふっかけられるぞ」
シオンに見るなと言うが、相手も俺達を見てきている。シンデンは有名だし、後ろに三人の美女を連れている。野郎だらけの傭兵が注目しないわけがない。
「ケッ。女連れかよ」
「女を侍らせやがって。傭兵はもっとストイックにやれ」
「彼奴がシンデンか。一度戦って見たいものだ。彼奴がこちらに付くなら、俺はロスアに参戦するのを辞めるか」
「最近派手な活躍をしているらしいが、レリックシップがあれば俺だって…」
冒険者と異なり、傭兵は九割以上が男性である。女性の傭兵はほとんど見かけない。傭兵ではない女性を連れている傭兵も存在するが、そんな奴はおおむね金持ちのお坊ちゃんがやっている、なんちゃって傭兵である。
お約束の呟きが聞こえてくるが、シンデンは無視して受付に向かう。
「シンデンだ。しばらくこちらに滞在する」
「シオンです。シンデンとチームを組んでます」
「レマです。同じくチームを組んでます」
受付嬢に三人でIDタグを見せて、傭兵ギルドに移動してきたことを告げる。ロスア星域にAAAランクのシンデンが移動してきた事に受付嬢は驚いたようで、チラチラとこちらを見ながら受付をしていた。
「受付は完了しました。それでですが、シンデンさんはロスア星域軍へ参戦依頼を受けられるのでしょうか?」
受付嬢が「紛争に参戦するのか」などと言うから、周りの傭兵が注目する。
「いきなりそれを聞くか。俺達はロスア星域の紛争に興味は無い」
シンデンがそう答えると、落胆する奴や安堵する奴がいる。俺のレリックシップが参戦すれば、ロスア星域が有利になるから、勝ち馬に乗ろうとする奴も出てくる。だから、シンデンは紛争に参加しないことを明言しておく。
「…そうですか。分かりました。今この傭兵ギルドで扱っている依頼のリストはこちらになります」
受付嬢が、依頼のリストを開く為のキーコードを個人端末に送ってきた。
「分かった。まあじっくりと依頼を選ばせて貰うつもりだ」
目的の物は受け取ったので、俺達は傭兵ギルドを後にする。シンデンに絡んでくる奴がいるかと思ったが、お約束な展開は無かった。まあ傭兵の質は悪くないようだ。
★☆★☆
帆船に戻ってきたら、依頼のリスト精査する。
>『うーん、魔石の方は普通の依頼ばかりだな。後は星域軍からの依頼だな』
>『貴重な魔石が何処に送られたかの調査ですが、こちらはもう少しかかりそうです。それでバックアップ霊子に相談があるのですが…』
>『電子頭脳さんが、俺に相談って何かな』
>『重要な魔石が何処に運ばれたのか、電子データに残されていない物があります。どうやらネットワークから隔離されたデータベースか、最悪電子化されてない可能性があります。それを探って欲しいのです』
>『それって、機密情報をネットワーク以外で取ってこいって事か。うーん、こんな場合は、情報屋に当たれば良いんだが、ロスア星域にいる情報屋は、シンデンも知らないか。ちなみに、俺は潜入調査はしないよ』
ステルススーツを使えば何とかなるかもしれないが、やばい橋はなるべく渡らない方が良い。
>『キャリフォルニア星域軍の諜報部なら知っていると思うのですが』
>『レマに聞けば分かるかな?それだと俺達が探っている内容がキャリフォルニア星域軍の諜報部に知られるけど、大丈夫かな。キャリフォルニア星域軍はヤマト級の封印を解いたんだから、魔石が必要な事は知っているよね』
>『ヤマト級を倒したのは、本船とマスターです。今更という気もします』
>『確かに今更だな。レマにお願いして、諜報部から情報を貰おう』
レマにお願いすることになったので、シンデンをレマの船に向かわせた。レマの船は中型の傭兵らしい宇宙船だが、理力を使う為のマニピュレータが巧妙に偽装されて搭載されている。
帆船にレマを呼び出して話をしても良かったが、諜報部経由で調べさせるのなら、帆船に呼び出すより俺がレマの船に向かった方が早い。
レマの宇宙船の前で、個人端末でレマを呼び出す。
『レマ、話がある。お前の船に乗船したいのだが、大丈夫か』
『シンデン、どうしてこちらの船に来るんですか、話なら貴方の船でしましょう』
『いや、お前に頼みたいことがあるのだ。だからこちらの船に来たんだ』
『私は呼び出されても問題無いのですが…』
『自分が頼み事をするのに、お前を呼び出すのか。俺はそこまで傲慢な人間じゃ無いぞ』
『…ちょっと待ってて下さい』
レマは、何か作業をしているようであったが、音声だけの通信だから詳細は分からない。
しばらく待つと宇宙船の扉が開いて、顔を赤くしたレマが顔を出した。
「どうぞ、通路を進んで最初のドアの部屋に入って下さい。それ以外の部屋に入っては駄目ですよ」
「俺は、他人の船を家捜しなどしないぞ」
レマに言われた通りに部屋に入ると、そこはリビングルームだった。まあ帆船で俺達が話をするのと同じような部屋である。
「シンデンが私に頼み事をするとは驚きました。それでどんな内容でしょうか」
レマがモジモジとしながら聞いてくる。
「いや、キャリフォルニア星域軍の諜報部なら、このステーションの情報屋について知っているだろ。それを聞きに来た」
「…それだけでしょうか」
「それだけだが。できるだけ早く知りたいからこの船に来たのだ。どうせこの船で通信を送るんだ、呼び出したらお前が大変だろ」
「ふぅ、分かりました。ええ、直ぐに聞いてきます。できればどうして情報屋が必要か理由を聞いても良いでしょうか」
モジモジしていたレマだが、シンデンの返答に何かを諦めた感じであった。いや、諜報部所属の船内でどんな展開を期待していたのかと俺は言いたい。まさかと思うが、諜報部は、レマにハニートラップしろと命じているのだろうか。もちろんシンデンはそんな物に引っかかるつもりは無い。
「魔石の行方を調査したいだけだ」
「魔石の行方ですか。また急にどうして。ここには貴重な魔石を運ぶ依頼を受けに来たんですよね?」
「お前が心配するような話ではない。とにかく調べてくれ」
「分かりました。お茶でも飲んで待っていて下さい」
そう言ってレマは部屋を出た。まあお茶ぐらいと思ったが、何が入っているか分からない。流石に成分分析をしてから飲むとか失礼だし、飲まないのが一番だろう。
五分ほどして、レマは戻ってきた。
「これがこのステーションにいる情報屋のリストです。この場で見て覚えて下さい」
レマは、情報屋の所在をわざわざ紙で印刷して持ってきた。まあ電子データでやり取りするのは不味い情報だ。シンデンは電子頭脳と直結しているのだから、覚えるのも一瞬だ。
「助かった」
「えっ、もう覚えちゃったんですか」
「当然だろ。そのリストは処分しておけよ」
レマが「分かってます」と言って、紙をゴミ箱(レーザーにてゴミを焼却処分する優れもの)に丸めて投げ込んだ。
「良い依頼が出るまで、俺は依頼は受けないつもりだが、レマはそれで大丈夫か?」
「お金の心配ですか?シオンとの遺跡の探索でそれなりに稼いだので、大丈夫です。それに大概の出費は経費で落ちますから」
「分かった。金に困るようなら、相談しろ」
シンデンはレマの船を後にする。「ついて行きます」と言い出すかと思ったが、レマは残念そうな顔でシンデンを見送った。
★☆★☆
薄汚れた作業着を着た、シンデンは、ステルススーツで姿を隠して、帆船から出て行く。向かった先は、ステーションの最下層の薄汚れた区画である。その区画にステーションで一番優秀な情報屋が店を開いていた。情報屋の名前はスミスと言うが、どう見ても偽名である。
監視カメラの無い所でステルススーツの光学迷彩を解除して、シンデンは歩き出した。その姿はどう見ても修理工場の作業員である。目的の情報屋は、掘削機の部品の販売店として店を出していた。売っている部品は中古品だが全て本物で、それだけでも商売として成り立っている。しかしスミスの本業は情報の売買である。
「済みません、G31掘削機の調子が悪いのですが、予備の部品は無いでしょうか」
俺は店番をしている男に、そう告げる。G31掘削機は旧式の掘削機で、下の惑星でもほとんど使われていない。
「生憎G31は扱ってないな~。G32ならありますよ」
「G32ですか…。そうですね、G32でも良いので見せて下さい」
G32という掘削機は、G31の改良型の型番だが、実は出荷されていない掘削機である。この一連の会話は、スミスに情報屋としての仕事を頼むための符丁である。
「…倉庫で現物を見てもらいます。私の後についてきて下さい」
「分かりました」
スミスの後を追って、シンデンは倉庫に向かった。そこには使い古された中古部品が並ぶ中、倉庫の片隅に在庫検索を行う為の端末があった。
「それで、凄腕傭兵と噂のシンデンさんは、どんな情報をお求めですか?」
「俺の事を知っていたか。まあ、情報屋ならそれぐらいは当然か」
「当たり前です。ロスア星域に入った時点で、情報屋はみんな貴方の行動に注目していました。何しろレリックシップの情報は高く売れますからね」
「…そうか。それで、俺が求めている情報は分かるか?」
「さて、最近は魔石の情報を検索している奴がいる事は掴んでいますよ。それが貴方であるなら、私は情報を持っていると答えますね」
>『電子頭脳さん、ハッキングしている事ばれているよ~』
>『現生人類に情報を掴まれているとは…。これは私の失態です』
「ふむ、俺はここにいるんだ。情報を調べている奴は別人だろう。それで魔石の情報は持っているならそれを貰いたい」
「その情報は高いですね。何せ貴重な魔石を持っているだけで狙われますから。だから取り扱いも極秘で行われます」
「分かっている。幾らだ?」
「これぐらいは頂きたいですね」
スミスが示した金額は、普通の人なら一生遊んで暮らせるだけの金額であった。もちろんシンデンにとっても高額ではある。しかし、要塞級レリックシップで得た金で払える金額だ。
「買おう」
「要塞級レリックシップを倒した凄腕ですね。値切りもしませんか」
「値切れるのか?」
「いえいえ、そんな客には情報は売りません」
厳重に暗号化されたデータチップが入ったG32掘削機の部品を、スミスはシンデンに手渡した。
「確かに受け取った。それで報酬は誰の口座に振り込むんだ。流石にこの金額をこの店の口座に振り込むわけにはいかないだろ?」
「いえいえ、お金は要求しません。ただ、シンデンさんには私の依頼を受けて欲しいのです。シンデンさんが依頼を達成したら、データチップの暗号キーを渡します」
「情報の対価が依頼か…」
>『さて、どうするかな』
>『人類が作った暗号など簡単に解除できます…と言いたいところですが、私のハッキングを見破る情報屋です。間違った暗号キーを入れたらデータが消える仕掛けでしょうね』
>『分かった。取りあえず依頼内容次第だな』
「それで、依頼内容は聞けるのか?犯罪行為には手を貸さないぞ」
「犯罪じゃありません。シンデンさんが受けたがっていた貴重品の運搬依頼です」
「ただの貴重品を送るだけなら、傭兵ギルドを通せば良かろう」
「それができないから困っていました。何せ星域軍や普通の傭兵に頼むのは危険ですので」
「俺も普通の傭兵だが?」
「レリックシップを所有し、要塞級レリックシップを破壊する。そして母艦級宇宙生物を一撃で消し去った傭兵を、普通の傭兵とは言いません」
「…分かった。それで運ぶ貴重品とは何だ?」
「依頼を受けてくれるなら教えます」
>『そんなこと言ってますけど』
>『まあ、良くある依頼ですね。犯罪行為で無ければ、マスターは受けてましたよ。何より、金が減らないのが良い』
>『会計処理プログラムの本音は金か。まあ分かったよ』
「分かった。しかし依頼を受けるかの判断は、仲間と相談だな」
「今は、キャリフォルニア星域軍の諜報部のお嬢さんが一緒ですね。彼所の諜報部に嗅ぎ回られるのは困るんですよ」
スミスは少し考え込んだ。どうやら運ぶ貴重品は、キャリフォルニア星域に知られるのは不味いらしい。
「送り先ぐらいは教えて貰えるか?」
「送り先は、イエル星域のエレム恒星系第三惑星です」
送り先は秘密ではないらしく、スミスは即答した。しかしその送り先を聞いて、シンデンは顔をしかめた。
イエル星域のエレム恒星系第三惑星は、十三番目の異星人の遺跡が発見された惑星で、遺跡調査の結果、その遺跡を聖地とした宗教が発生した惑星である。その宗教は、「聖なる星」という宗教だが、発生してから直ぐに複数の宗派に別れて宗派間で争っている。その宗派の争いは、聖地の所有権を巡っての戦いで有り、周囲の星域を巻き込んだ紛争にまでエスカレートしている。つまり、イエル星域はロスア星域の領土紛争より厄介な宗教問題での紛争が起きている地域なのだ。
「聖地か。また厄介な場所だな。俺みたいな傭兵がイエル星域に入れば、色々面倒な事になる。聖地の惑星まで傭兵ギルドの依頼無しに向かうのは難しいぞ」
「そうですね、運ぶ貴重品と一緒に『聖なる星』の信者を一人付けましょう。『聖なる星』の信者なら、聖地への巡礼を行うのは当然です。それで傭兵ギルドに依頼を出します。女性の信者を付けますので、女性のメンバーがいる傭兵チームと傭兵ギルドに言えば、シンデンさんを指名しても疑われないでしょう」
「女性信者を聖地に送り届ける依頼か。俺のランクに見合った人物が依頼を出さないと、逆に怪しまれるぞ」
「其方は何とかなります。準備ができ次第、傭兵ギルドに指名依頼をだしますので、お願いします」
>『どうする。この条件で問題はなさそうだが』
>『目的地が聖地というのが、嫌なのです。ですが、依頼は受けても問題は無いでしょう。後は傭兵ギルドの指名依頼内容を見て判断してください』
「指名依頼の内容を見て、内容によっては断るかもしれないぞ」
「大丈夫です。シンデンさんなら受けてくれるでしょう」
「分かった」
俺はスミスの依頼を一旦引き受けることにした。信者の巡礼の送迎依頼となるが、内容としては要人警護依頼に近い。あれだけシオンに気を付けろと言った要人警護の依頼を受けるのだ。俺はスミスの依頼に付いて、情報を収集する事になった。
俺はレマのリストにあった他の情報屋を周り、情報屋としてのスミスの評判を聞いてみた。結果、「スミスの背後には、問題となりそうな組織は付いていない」という情報しか集まらなかった。貴重な魔石の行方に関しても、スミス以外の情報屋は電子頭脳以下の情報しか持っていなかった。電子頭脳もネットで情報収集を頑張ったが、スミスが運んで欲しいという貴重品や信者については掴めなかった。
二日ほどして、傭兵ギルドから俺に対して指名依頼が送られてきた。
「依頼内容は、『聖女を聖地に送り届けて欲しい』と来たか…」
「聖女って、あの聖女なのよね。聖なる力を使える凄い人なんでしょ」
シオンが目をキラキラさせて嬉しそうだが、『聖なる星』信仰での聖女とは、ファンタジー世界の聖女と若干異なる。
「この聖女とは、レリックから聖なる力をもらえる人なんですよね。そんな人、この惑星にいたんだ」
「聖なる星」の聖女(聖人もいる)は、宗教ができる発端となった遺跡のレリックから、聖なる力を授けられる才能を持った、そして授けられた人を指す。
シンデンと電子頭脳の知識では、そのレリックが、特定の才能を持った人に、魔術や理力とも異なる聖なる力とやらを与える存在だという事だけだった。
聖地の遺跡は、帆船が封印されている時代に栄えた異星人の文明なので、帆船の電子頭脳も詳細は知らない。シンデンも聖女や聖人など出会ったことも無いので、レリックがどのような原理で、聖なる力とやらを人に与えているかも不明だ。聖なる力の効果も良く分からない。もし本物の聖女であるなら、レリックの力の解析を行う良い機会でもある。
「どうやらこの恒星系に、聖女の資格を持つ少女がいたらしい。それで俺に聖女を聖地まで連れて行って貰いたいようだ」
恐らくこの聖女は偽物だろう。どういう伝手か分からないが、その聖女様はこのロスア星域でも有数の資産家の娘(養女)であった。資産家は、聖女が巡礼に行きたいという願いを叶えるために、たまたまハサ恒星系に居た、高ランクで女性のチームメンバーがいる傭兵であるシンデンを指名した。スミスが立てたのはそういうストーリーであった。
なぜ聖女の護衛に高ランク傭兵が必要かというと、『聖なる星』信仰が複数の宗派に別れたために、聖女を自分の派閥に加えたい連中が聖女を奪いに襲ってくる可能性があるからである。もちろん海賊も狙ってくる。流石に星域軍は出張ってこないと思うが、可能性はゼロでは無い。星域軍ともやり合えると噂のシンデンにふさわしい依頼だろう。
「聖女様は見てみたいけど、『要人警護は大変』ってシンデンは言ってたよね。これって要人警護と同じだよね。大丈夫なの?」
「まあ、裏取りはするが、問題は無いだろう」
「この依頼、タイミングが良すぎですよね?」
レマがシンデンをじっと見るが、アヤモさんでも無いレマでは俺の演技は見抜けまい。
「貴重品の輸送の代わりに護衛依頼になっただけだ。シオンがやった事の無い依頼だ、しっかりやるぞ」
「うん、分かった。頑張るよ」
「…」
多分レマは諜報部に問い合わせるだろう。しかし帆船の電子頭脳のハッキングを見破ったスミスが諜報部に情報を漏らすようなミスをするとは思えない。
傭兵ギルドに「依頼を受ける」とメッセージを送り、シンデンはシオンとレマを連れて依頼主に会いに向かった。どうやら依頼主は早く聖地に物を送り届けたいらしく、「直ぐに会いに来て欲しい」と依頼に書かれていたからである。
お読みいただきありがとうございます。面白いと思われたら評価・ブックマークをお願いします。