お宝探索と星域軍との戦い
誤字脱字のご報告ありがとうございます
電子頭脳と主人公との会話ですが通信会話と区別できるように、『の前に>を付けるようにしました。
>『まさかラ○ドールがあんなに強いとは。科学技術の進歩って凄いな』
>『ピッ、否定。あの個体は平均的な人型ドローン以上の戦闘力を保持』
>『…そうか。しかし笑顔を崩さず「お掃除します」と襲ってくるのはホラーじみていたな』
>『ピッ、肯定』
俺が操る作業ドローンとお掃除ドローンとの戦いは、熾烈なものだった。掃除のための竹箒だが、実は高周波ブレード(頑固な汚れを落とすための機能)であり、ちりとりも宇宙戦艦の装甲材で作られていた。その二つを駆使して笑顔で襲いかかってきたお掃除ドローンは、俺が操る作業ドローンを圧倒するほどの戦闘力を持っていた。竹箒で作業ドローンの足が一つ切り裂かれた時は死んだと思ったぐらいだ。まあ、電子頭脳が作業ドローンに搭載されていた緊急気密修理用接着剤(某とりもちランチャーと酷似している)を使ってお掃除ドローンを捕縛することで、作業ドローンは何とか生き延びることができた。
>『ピッ、お掃除ドローンへの攻撃を躊躇った理由を求む』
>『人間…いや、人間ソックリなお掃除ドローンに攻撃するのが、嫌だったんだけど…(外見が好みのタイプだったとは言えない)』
>『ピッ、好みのタイプ…記録』
>『俺の好みを記録する意味は。…まあ後で彼女は船に持ち帰ろう』
>『ピッ、否定。マスターは人型ドローンを否認』
>『そのシンデンが要介護者だから、お掃除ドローンを再プログラミングして介護してもらうんだよ』
リビングデット状態のシンデンだが、体は生きているので食事や排泄、体の清掃が必要となる。しかし帆船のドローンは、その手の作業ができない。よって俺はシンデンのお世話にお掃除ドローンを使おうと考えたのだ。
>『ピッ、否定。船内工場でマスターを世話する新型ドローンの作成は可能』
電子頭脳が提示してきた小型ドローン(当然昆虫型)をみて、
>『おっさんが作業ドローンにお世話されるとか勘弁してくれ』
と言うと、
>『…ピッ、肯定』
電子頭脳は何故か肯定してくれた。
>『それより、目的の部屋に入るぞ。どこに航法装置があるかスキャンしてくれ』
>『ピッ、了解。スキャン開始』
踏み込んだ部屋は倉庫だったらしく、お掃除ドローンに整理整頓する機能が無かったのか、雑多に物が置かれていた。そこで電子頭脳に航法装置のありかをスキャンして貰う事になった。
>『ピッ、目的の航法装置を発見。回収します』
>『おう、壊さないようにしてくれよ』
>『ピッ、了解』
作業ドローンに仮設された小型のマニピュレータを使い、ロッカーのような場所に収められていた航法装置を取り出す。海賊達の航法装置に対する扱いは丁寧であり、二台とも生きた状態であった。
>『これで証拠はそろったかな?』
>『ピッ、否定。…海賊の巣の備品も回収予定』
>『ん?何か他にも証拠になる物があるのか』
>『ピッ、この設備は資源運搬船と同じ企業が建築した物と判明。航法装置以外の不法行為の証拠が残っている可能性大』
>『不法行為の証拠か。その辺は電子頭脳さんに任せます。回収をよろしく~』
>『ピッ、了解』
海賊の巣の何が証拠となるか俺には分からない為、その辺は電子頭脳に丸投げで回収を依頼する。
>『さて、こっちは回収したお掃除ドローンの再教育を行おう』
回収してきた彼女は、接着剤から引きはがす際に服が破れてあられもない姿となっていた。そんなお掃除ドローンを巨大蟻が咥えて電子頭脳をハッキングする姿は人には見せられない物だった。
とりあえずお掃除ドローンのマスターをこの帆船の電子頭脳とシンデンに書き換える。これでお掃除ドローンはシンデンの命令に従うようになったのだが、服がぼろぼろのままで船内を彷徨かれると、誰かの目に留まれば盛大に勘違いされてしまう。そこでお掃除ドローンの服を見繕うことになったのだが。
>『海賊の巣に着替えがあったのは助かるが、…未来になっても人の趣味は変わらないのかね~』
海賊の巣から彼女向けと思われる服…まあメイド服とかナース服が見つかったので、メイド服に着替えさせておいた。シンデンの世話をするならナースだろうと思われるが、シンデンが要介護者と思われるのが不味いと思った結果である。
>『後は、お掃除ドローンが名前無しだと困るな』
>『ピッ、否定。鹵獲した人型ドローンには「響シリーズ、シリアルナンバー00001」という識別IDが存在』
>『電子頭脳はそれでも良いんだろうけど、俺が困るんだよ』
>『ピッ、理解不能。マスターはドローンに名前を付ける事を否定』
>『だからお前にも名前が無いのか。それを肯定も否定もしないが、俺はお掃除ドローンに名前を付けるよ。そうだな、響きシリーズだから、響子で『ピッ、否定』』
>『いきなり否定かよ。うーんと、じゃあ、響音で』
>『ピッ、肯定』
名前を響音と決め、お掃除ドローンの電子頭脳を再起動さると、長い黒髪と黒目で涼しげな美人でメイド服がよく似合う女性の目が開く。
「マスター、お早うございます。本日の伽の予定はどういたしますか」
『いきなり何を言い出すのか。いや響音の製造目的からしたら、そうなるのかもしれないけど、俺には伽はいらない…と言うかできないから。君にはシンデンの世話をお願いするよ』
「伽以外のお世話とは?」
『伽はいらない、食事とか体の清掃だよ』
「残念です。では伽以外のお世話をして差し上げます」
響音は残念そうにため息をつくと、シンデンのお世話を始めた。美女に介護されるシンデンがうらやましいが、それを見ているほどの時間は俺には無かった。
>『ピッ、超光速航法から多数の艦艇が離脱するのを検知』
>『えっ、この星系に誰か来たのか。一体どこの宇宙船だ?』
>『ピッ、離脱時の反応から、先ほど小惑星帯に来た星域軍の艦隊と推測』
ちなみに超光速航法からの離脱に伴う空間の歪みは、電磁波とは異なるため惑星の地下にいる帆船でも検出することが可能である。その空間の歪みから艦船を特定できるのは、レリックシップである帆船のセンサーと電子頭脳が優秀だからである。
>『星域軍の艦隊は、どうしてこの場所を知っていたんだ?』
>『ピッ、この施設は企業が建設した物と報告』
>『そうか、企業は場所を知っているのか。いや、それなら海賊を自分達で始末すれば…って、シンデンをおびき寄せるための罠だったな』
>『ピッ、マスターなら、艦隊が来る前にその判断に辿り着いていたと推測』
>『俺はシンデンみたいな優秀な傭兵じゃないんだ。艦隊が来るのが予想できてたなら教えてくれよ!』
>『ピッ、以後、報告を行うように設定』
>『とにかく海賊の巣にいたら袋のネズミだ。証拠は集まったのか?』
>『ピッ、作業は完了し出港可能』
>『じゃあ、さっさと逃げ出すぞ』
慌てて海賊の巣から出港して、帆船は裂け目から宇宙空間に出たのだが、その鼻先を巨大なブラスターの火線が通り過ぎる。
裂け目から出たことでセンサーによる精密なスキャンができたので、帆船は艦隊によって完全に包囲されていることが判明する。艦隊の規模は二キロメートル級の戦艦が十隻に百メートル級の戦艦が四十隻。後は多数の戦闘ドローンが蟻も逃がさない包囲を敷いていた。
>『既に包囲されているな』
>『ピッ、キャリフォルニア星域軍、第一艦隊旗艦アルキメデスより入電』
>『こちらからは送信せずに受信だけ受け付けてくれ』
>『ピッ、了解』
『傭兵ギルド所属のシンデン。貴様には資源運搬船護衛契約の不履行および海賊と共謀しての企業パイロットの拉致と殺害の容疑がかけられている。速やかに投降せよ』
アルキメデスからの通信では、勲章を沢山付けた派手な軍服を着た五十代の軍人が、ありもしない罪状を並べ立て投降を迫ってきた。
>『酷いな。犯人に仕立て上げる気満々のだよ』
>『ピッ、肯定』
>『だが、あの状況だけを見れば、そう思われても仕方ないか。ところで、艦隊の全員が企業との取引…裏の情報を知っているとは思えない。恐らく指揮官クラスが、多分さっきのおっさんだけがその情報を知っていると思うが、どうだろう?』
>『ピッ、肯定』
>『こちらは証拠品の禁忌技術の航法装置は入手したし、スーツ男とのやり取りや戦闘時の画像を見せれば、傭兵ギルドに無実の説明は可能か?』
>『ピッ、肯定。ただし、超光速通信はジャミング中のため、現状は不可能』
>『じゃあ、現状の帆船の戦力で、星域軍の艦隊を撃破せずに逃げ出すことは可能か?』
>『ピッ、不可能』
レリックシップであるこの帆船を以てしても、艦隊の船を撃破せずに包囲を突破することは不可能だった。しかし俺はここで星域軍の艦隊構成のデータを見て考え直した。
>『…聞き直そう。人的被害を出さずに逃げ出すことは可能か?』
>『ピッ、肯定』
>『そういうことなら、言い訳も立ちそうだな』
星域軍とはいえ、全ての船に多数の軍人を乗せられるほど人材がいるわけではない。つまり人材不足なのである。そこで超光速航法が可能な巨大戦艦に人員を配置し、最前線にはAIを搭載した無人戦艦や戦闘ドローンを配置するというのが星域軍の艦隊構成であった。今ここにいるキャリフォルニア星域軍、第一艦隊も、旗艦を含めて十隻の二キロメートル級戦艦のブリッジ要員以外は、AIによって操られる無人戦艦と戦闘ドローンなのだ。つまり人を殺さずに包囲を抜けることなら可能と電子頭脳は判断してくれた。
>『軍隊とか警察は、仲間が死ぬことに対しては過敏なほど反応する。しかし逆に言えば、人が死なないのであれば何とかなると思う。それにこちらには動かぬ証拠もある。包囲を抜けてしまえば傭兵ギルドも味方になる』
>『ピッ、肯定』
>『後は、被害をどれだけ減らせるかだが、主犯以外の有人戦艦の連中が、裏の事情を知ったらどう判断するだろう』
>『ピッ、禁忌技術の使用は星間ルールにおいて重罪事項。事実の解明を求め混乱すると思われる』
>『じゃあ、連中に事実を送りつければ…』
>『ピッ、否定。星域軍の通信暗号強度は本船の能力を以てしても解読に数時間が必要』
>『そうか、無理そうか』
>『ピッ、直接船体に通信を送る事で、暗号化の問題は解決可能』
>『それは、シンデンみたいにこの船首像で戦艦一隻ごとに格闘戦を仕掛けるってことか?俺は気なんて使えないと思うが…』
>『ピッ、否定。格闘戦ではなく魔弾を使えば可能』
>『魔弾って、海賊船を撃破した危険兵器だろ。あんな物を撃ち込んだら戦艦でも沈みかねないぞ』
>『ピッ、魔弾の呪文を破壊ではなく通信を送るように変更可能』
>『なるほど、要は攻撃を当てれば通信を送りつけることが可能か。電子頭脳がそう言うなら、俺にはそれを信じるしかない。…シンデンの映像と音声を合成して裏の事情を伝えるメッセージを作成。海賊やスーツ男との通信・戦闘ログ、禁忌航法装置のデータも含めて、そのメッセージを魔弾に詰め込んで、連中に送りつけよう。それで艦隊が混乱すれば、包囲からの脱出も楽になるな』
>『ピッ、了解』
俺と電子頭脳のやり取りは、帆船の電子頭脳上で行われているため、これだけのやり取りとデータの作成、魔弾の準備には十数秒ほどしか掛からなかった。後はこの作戦を実行するだけである。
>『さて、魔弾を使った「俺の言い訳を聞きやがれ」作戦を始めるぞ』
>『ピッ、作戦のネーミングセンスは最悪』
>『俺と喋っている間に、電子頭脳も口が悪くなったな』
>『ピッ、肯定』
>『とにかく作戦開始だ!』
俺の作戦開始のかけ声と同時に、帆船は戦闘状態に入る。帆柱に薄青色に発光する光の帆が張られドクロマークの旗が掲げられ、上甲板には巨大な三連装の砲塔がせり上がってきた。
『シンデン、無駄な抵抗は止めたまえ。もし星域軍に被害が出れば、キャリフォルニア星域国家の全てが敵に回ることになるぞ。傭兵ギルドも貴様を除名するだろう。大人しく投降したまえ』
旗艦から再度の降伏勧告通信が来たが、当然俺は無視する。
>『人を罠にはめておいてよく言う』
>『ピッ、同意』
戦闘状態に入った帆船は、その古めかしい見た目から想像もできないほどの機動性を発揮して動き始めた。それに対して星域軍からも攻撃が始まった。
しかし星域軍の狙いはこの帆船の鹵獲であり、破壊ではない。戦艦からの攻撃は帆船が包囲から抜け出さないように、そして戦闘ドローンを帆船に取り付かせるための最低限の攻撃だけであった。
>『戦闘ドローンに取り付かれた場合、船内を制圧される可能性はあるか?』
>『ピッ、星域軍の船内制圧ドローンであれば、先に鹵獲した掃除ドローンより低性能。よって作業ドローンで排除可能』
>『星域軍の船内制圧ドローンは、掃除ドローンより性能が低いのかよ。なら、少し強引に行くぞ』
有人戦艦にたどり着くには、AI戦艦や戦闘ドローンの大群の中をくぐり抜ける必要がある。幾らレリックシップとはいえ、一万近い戦闘ドローン全てから逃げ切ることは不可能だ。しかし戦闘ドローンの攻撃が、帆船に船内の制圧さえ防げるなら、戦闘ドローンが船体に取り付くことを覚悟して、有人戦艦に向けて一直線に進んだほうが早く戦闘は終わる。
帆船の無謀な突進に、星域軍の有人戦艦は驚くが、AI戦艦や戦闘ドローンは命令された通り、帆船に対して攻撃を仕掛けてくる。特に戦闘ドローンは、帆船のブラスターに破壊され、対デブリシールドに弾き飛ばされながらも船体に取り付いてきた。
ワラワラと戦闘ドローンから船内制圧用のドローンがはき出されるが、作業ドローンが千切っては投げと次々と始末していく。
提督は、戦闘ドローンが取り付き船内制圧ドローンが入り込んだことで、帆船が無謀な行動に出たと喜んでいた。
「シンデンの奴め、包囲網が抜けられないと分かって自棄になったようだな」
「はっ。しかし、有人戦艦に向けて今だ突撃してきております。このままでは船内の制圧前に、レリックシップの射程に入り、直接攻撃を受ける可能性があります」
「ふむ、その可能性があるか。あの船からの射線をAI戦艦の壁で遮るように命じたまえ」
「はっ、了解しました」
提督の指示を受けて、アリゾナのオペレーターは各有人戦艦に通信を送る。有人戦艦は配下のAI戦艦に命じて、旗艦を含む有人戦艦を護る壁になるように移動していった。この艦隊行動によって、帆船からの直接攻撃は防がれた形となった。
>『このままだと射線が通らないか…』
>『ピッ、射撃可能』
>『いや、射線が通らないだろ。…って、そんな事もできるのか。よし魔弾発射だ』
俺の命令で、帆船の砲塔は有人戦艦から大きく外れた方向に魔弾を撃ち出した。もちろんそのままでは有人戦艦どころか、AI戦艦や戦闘ドローンにも命中しない射線で発射した。
宇宙戦闘では秒速数十キロと言った速度で戦艦や戦闘ドローンがすれ違う。そんな戦闘速度の中、音速以下の低速で打ち出された弾丸が命中するほど、AI戦艦や戦闘ドローンは間抜けではない。
AIは無誘導の魔弾の脅威度をデブリレベルとし、それに衝突しないように避けるだけの対応をした。ある意味それは正しい行動だが、魔弾は発射された速度と方向で突き進む兵器ではない。AI戦艦や戦闘ドローンの包囲をゆっくりとくぐり抜けた魔弾は、有人戦艦との間に障害物がなくなったのを見計らって表面の呪文を光らせた。その瞬間魔弾は飛び立つ方向を修正し、光にも近い速さで有人戦艦に突き刺さっていった。
「あんな兵器があるとは聞いておらんぞ」
「閣下、砲弾は命中しましたが被害は出ておりません。せいぜい外殻の一層目を貫通した程度です」
「ふう、そうか。シンデンの奴め驚かせおって。船内の制圧を急がせろ」
魔弾が命中したことに、星域軍の提督や有人戦艦のブリッジ要員は驚いたが、被害がほぼ無い状態であった事もあり、魔弾の真の威力を理解していなかった。
魔弾の性能は、命中から数秒後に旗艦を含め有人戦艦のパネルに「警告」表示が赤く表示されることで、彼等は思い知ることになった。
「提督、艦隊の通信ネットワークに何者かが侵入しました」
「AI戦艦と戦闘ドローンとの通信が途切れました」
「馬鹿な、砲弾サイズで通信を乗っ取る程の性能を持たせる事など不可能だ。いやこれはハッキングじゃない。電子回路に魔法をかけているのか…」
魔弾が命中した旗艦と有人戦艦の通信は、魔弾に刻まれた魅了魔法により乗っ取られた。そして魔弾は魅了した通信回線を通じて、戦艦のパネルにはシンデンとスーツ男との会話の映像が流し始めた。
クローン脳を使った禁忌技術の航法装置は、星間ルールでも一番重大な違反行為となっている。もし星域国家がそれを行ったとすれば、他の星域国家から非難どころか戦争を仕掛けられてもおかしくない。星域軍の将官ともなればそれは自分達が危うい立場であることも理解する。彼等にとって問題なのは、星域国家や軍がそれを理解して行動しているのかだった。そのためAIに戦闘指示を出すことも忘れて、旗艦への問い合わせが殺到した。高級士官ばかりで後はAI任せの軍隊のもろさがここで出たのだ。
「提督、各艦の艦長からこの情報は真実かと問い合わせが来ております。私には真実のように見えるのですが、どう回答しましょう」
「ば、馬鹿者。たかが傭兵から送られた偽データに騙されるとは。星域軍人として恥ずかしいと思え」
「しかし、禁忌の航法装置の実物もあると正規の証明書付きのデータが添付されております。これが事実であれば、キャリフォルニア星域軍は禁忌技術を使い、レリックシップ欲しさに無実の傭兵に攻撃を仕掛けたことになります」
「たかが傭兵ごときの虚言に踊らされ追って。見ろ、シンデンは逃げ出すぞ」
提督の言う通り、AI戦艦と戦闘ドローンへの戦闘指示が無くなったことで、帆船は動きの鈍った艦隊の包囲から抜けていた。そして超光速航法が可能な宙域に向けて加速していく姿がスクリーンには映っていた。
『全軍、あの傭兵を逃すな。追撃しろ』
軍において上官の命令は絶対ではあるが、重大な星間違反ルールを犯している事への返答が無いため、有人戦艦の艦長は判断を迷った。
結局、旗艦の指示に従ってシンデンの船を追ったのは二隻だけであった。
そして帆船が超光速航法に入ると、それを追いかけるように三隻の戦艦も超光速航法に突入することで、この宙域での戦闘は終了した。
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