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シオンの選択とギルドへの報告

誤字脱字のご報告ありがとうございます

電子頭脳と主人公バックアップとの会話ですが通信会話と区別できるように、『の前に>を付けるようにしました。

 休息を終えた船団は、ステーションを出発した。まあその前にボブが船団の責任者に謝罪するとか、彼の宇宙船から余計な装備を取り除くとか色々あったが、些細な事である。

 船団は超光速航法に入り、問題も無く目的のラーニカイ星系に到着した。ボブの船団護衛任務はこれで終わりである。


「今回の依頼を何とか無事終えることができたのは、シンデンさんのおかげです。ありがとうございます」


「うむ。今日の様にまじめに依頼をこなせば、傭兵としてやっていけるだろう」


「はい、シンデンさんの言葉を忘れず、頑張っていきたいと思います」


 俺達は、ラーニカイ星系で船団とボブと分かれ、折り返しでホルルに戻る。ギルドマスターに会って、ボブの教育の報告とキャリフォルニア星域の件の結果を聞かなければならない。嬉しいことに、海賊船から回収した物資の中に高級品の酒があり、ラー二カイで高値が付いたことだった。おかげでシオンをローサンジェル(首都星)へ向かわせる為の資金が調達できた。


 そしてホルルに戻る為に超光速航法に入ったのだが、その途中はシオンとアマモさんへ説明する内容について話し合った。まあ、アマモさんの身の安全を考えて、話してはいけない情報が何かという意識あわせである。


「私一人でローサンジェル(首都星)に行けるかな~。この船でシンデンと一緒に行きたい」


 シオンはそう言うのだが、俺は認めるわけにはいかない。


『お前が姉さんに会いに行くのに、密入国させるつもりは無い。お前は一般人として姉さんに逢いに行くべきだ』


「でも、私一人でアマモさんに事情を説明できないよ」


『それに関しては、一緒について行く人型ドローンから説明させる。その為の準備はもう整っている』


 海賊の巣に残してきた作業ドローンによって、帆船を運搬するためのコンテナは製作済みである。後はそのコンテナを前と同じような手続きでローサンジェル(首都星)まで運搬すれば良い。


「人型ドローンって、あれじゃないよね」


『あれとは響音(おとね)のことか。響音(おとね)はお前が嫌がるから、別な人型ドローンを付けるから安心しろ』


 シオンが響音(おとね)を嫌うので、別に人型ドローンを準備する必要があった。ドローンはラーニカイ星系のステーションで購入して、電子頭脳が改造中である。今回は準備に時間が取れるので、理力や魔力で検査されても問題無いレベルの偽装を施すつもりである。


「…ん、分かった。それで我慢する。それでだけどさ、新人傭兵回収の時にお願い聞いてくれるって言ったよね」


『ああ、覚えているぞ』


「それなんだけど、私はシンデンと一緒に傭兵をしたいんだけど。それって駄目かな」


『傭兵か…』


 俺はシオンを傭兵と登録した時にその可能性は考えていた。アマモさんにキャサリンがシオンという別人になった事を伝えた後、シオンの将来をどうすべきか、俺は色々なプランを考えていた。シオンは頭も良いし、超光速航法回路も駆動できるし、魔法使いでもある。そんな人材は、企業や星域軍など引く手数多だ。シオンを星域軍に入れるつもりは無いので、偽造情報の出身地であるアールランド星域の企業に就職させようと思っていた。


「やっぱり駄目?」


『…考えさせてくれ』


 ★☆★☆


>『さて、シオンを傭兵としてこの船に乗せるかどうするか。シンデンなら止めさせるはずだよな。施設でも魔法使いとして教育させないようにしていた。電子頭脳さんはどう思う?』


>『シオンを本船に乗船させる事は、本船の戦力アップになるため賛成です。またシオンはヤマト級との魔力的な繋がりは切れましたが、他のレリックシップ(遺物船)がその存在を知れば、狙われる可能性があります』


>『つまり、手元に置いておいた方が安全って事か』


>『その通りです。それにシオンも傭兵です。一人では受けられなかった依頼も受けることが可能となり、マスターの経済状況も改善します』


>『電子頭脳さんというか、会計処理プログラムはそっちの方が重要そうだな』


>『また、ヤマト級レリックシップ(遺物船)と同様の戦闘が起きる可能性もあります。その為には本船の戦力アップに資金は必要です』


 マスタープログラムが口を挟まないと言うことは、会計処理プログラムの主張は正しいのだろう。俺もそう思うが、傭兵の依頼は危険だし、凄惨な仕事もある。シンデンはAA+ランクであり、レリックシップ(遺物船)を持っているため、星域間戦争といった物騒な依頼を受けたりもする。AI戦艦や戦闘ドローンとの戦いだが、時には人を殺す事もある。


>『シオンにその覚悟があるかだな。いや俺も人を殺す覚悟はできてないけど…』


 実際問題、俺は既に人を殺している。クローン脳ユニットは人であるかは微妙だが、それを破壊している。そしてヤマト級レリックシップ(遺物船)に乗っていた人を殺したのは俺である。しかし、シンデンの記憶にあるような、自分の手を使った人殺しが出来るかと言われれば、無理だと答えるだろう。


>『電子頭脳では判断ができません。マスターがシオンに直接お聞き下さい』


>『だよな~』


 と言う事で、俺は超光速航法の間シオンと話をし続けた。結論として、シオンは「傭兵として帆船に乗る」という事に決まった。


 ★☆★☆


 ホルルの傭兵ギルドでギルドマスターに会って、新人傭兵(ボブ)の教育について報告を行う。ボブの失敗を責められると思ったが、逆にシンデン()が適切なフォローで依頼を達成させた事に感謝された。

 傭兵ギルドからすれば、依頼失敗とならず、新人傭兵も傭兵を続けてくれるのだ、大成功と言うことなのだろう。更にシオンが傭兵として仕事をしたことになったので、その分依頼料も追加で貰うことができた。これは会計処理プログラムが俺に変わってギルドマスターと交渉した結果である。


>『シンデンも会計処理プログラムに交渉を任せておけば良かったんじゃ無いのか?』


>『人類は電子頭脳と交渉はしません。今回はマスターの肉体をコントロールできたからです』


>『たしかに、電子頭脳に報酬アップとか値切りとかされたら、人なら怒ってしまうだろうな。まあ、そういった場面では会計処理プログラムさんにお願いするが、せめて口調はシンデンに合わせてくれ。いきなり口調が変わって報酬交渉し始めたんで、ギルドマスターの顔が引きつっていたぞ』


>『了解しました』


 新人傭兵教育の報告の後は、キャリフォルニア星域の状況について説明された。


「キャリフォルニア星域軍の内戦は、穏健派の勝利で終わった。軍拡派の連中は、リーダであった提督とレリックシップ(遺物船)を失ったことで、禁忌技術を使う事を諦めたようだ。まあハーウィ星域としては穏健派が勝利して助かったという思いだ。禁忌技術を使ったドローンを開発していた企業は、開発部門の閉鎖と残ったドローンや開発データの抹消を穏健派の星域軍によって行われた。これはキャリフォルニア星域の傭兵ギルドや周囲星域国の査察団も同行して確認している」


「そうか。それで俺の扱いはどうなっている」


「まあ、お前は未だキャリフォルニア星域では指名手配されている。しかし傭兵ギルドや、他の星域にシンデンの引き渡しを要求はしないという事になっている。お前が入れない星域が又増えたって事だな」


「しかた有るまい」


 シンデンは、傭兵として星域間戦争に参加している。そういった経緯から、彼の入国を拒否している星域国が幾つか存在する。それにキャリフォルニア星域国が加わっただけである。


>『シンデンも故郷に帰れなくなってしまったか。俺は…まあ、地球に行ってももう故郷とは呼べないよな』


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