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レリックシップ船内制圧戦

誤字脱字のご報告ありがとうございます

電子頭脳と主人公バックアップとの会話ですが通信会話と区別できるように、『の前に>を付けるようにしました。

 レリックシップ(遺物船)の内部に入ってまず目に付いたのは、戦艦らしい外見と裏腹な生物的な構造だった。まるで生き物の体内に踏み込んでしまったような感じを受ける内装だった。人型ドローンが二体ほど歩いて動けるだけのスペースはあるが、帆船の内部(内壁が発光し、明るい木材家屋のような通路や部屋)とは異なり薄暗く明かりは所々に点在する赤色灯だけである。


>『エイリアンの巣にでも踏み込んだみたいだな。このレリックシップ(遺物船)を設計した奴は趣味が悪い』


>『同意。戦艦を製作した勢力と本船を製作した勢力は異質な感性を所持』


>『もしかして、感性の違いとかで仲違いして戦い合ってたんじゃないだろうな?』


>『…精神的な見解の相違が原因』


>『異星人もくだらない事が原因で戦争したんだなあ。まあ人類も同じようなもんだけどさ。まあそんな事はどうでも良い響音(おとね)はどこに向かっている。まさかもう破壊されたとか…』


>『掃除ドローンは健在。敵艦内の清掃(・・)を行いながら不規則に移動中』


>『なるほどね、掃除ドローンらしく壁に当たると移動方向を変えて掃除しているのか。この船の船内案内図は出せるか?響音(おとね)がどこにいるかと、操縦室の位置を出してくれ』


>『響音(おとね)が移動した通路以外の表示は不可能。戦艦の全体図に魔石の位置を表示。その近くに操縦席が存在』


>『魔石までマッピングしながら進むしかないか。敵のドローンが集まる前に移動するぞ』


 俺の視界にレリックシップ(遺物船)の全体図と魔石の位置、そして響音(おとね)の移動が表示される。魔石は突入口の真下にあるが、都合良く下に降りる階段やエレベータは見当たらない。非人型ドローンを偵察に飛ばすと、俺は人型ドローンを引き連れて歩き始めた。


 ★☆★☆


 -レリックシップ(遺物船)操縦室-


 水面下からの帆船によるラムアタックにより、砲撃を中断させられた電子頭脳は混乱していた。


『何者かが水面下より衝突してきたのである』


『本海域に潜んでいた潜水艦(・・・)の奇襲ではと推測するのである』


『本艦に潜水艦の索敵機能は搭載してないのである。潜水艦の索敵はシマカゼ級の担当である』


『シマカゼ級は大戦にて全滅したのである。本艦は光学センサーによる潜望鏡と気泡の発見に努めるのである』


 電子頭脳は新たな敵勢力が現れたと判断し、全周囲の索敵を行う。しかしヤマト級レリックシップ(遺物船)は水面下への索敵手段を持たないため、潜水艦を発見するためには潜望鏡や気泡を見つけるしかない。電子頭脳は光学センサーを総動員して周囲の監視を行った。


 そして右舷に浮上してきた帆船を発見した電子頭脳は、想定外の状況に更に混乱してしまった。


『浮上した船体の形状から、破損したキャラック級と判断するのである』


『キャラック級は戦略級魔法砲撃で破壊したはずである。キャラック級には潜水機能は無いのである。光学センサーが故障していないかチェックするのである』


『光学センサーは正常である。やはりキャラック級が潜水してラムアタックをしてきたのである』


『理解不能である……』


 帆船が潜水して攻撃を仕掛けてきた現実を理解することができず、電子頭脳は人間の様にパニック状態(無限ループ)に陥ってしまった。何も行動を起こせない電子頭脳のパニック状態(無限ループ)は、帆船がレリックシップ(遺物船)の砲塔を破壊することで発せられた、船体損傷警告で解除された。


『現実を受け入れるのである。このままでは武装が破壊されてしまうのである』


『敵の排除を行うのである』


『操縦者は意識不明である。魔法の行使は不可能である。砲撃による排除を実行するのである』


『キャラック級は至近にいるのである、早急に照準を合わせて発射するのである』


『照準固定、発射である』


『残存砲塔は二基による発射を確認したのである』


『キャラック級は船首像による格闘戦を行うのである。本艦に格闘戦装備は搭載されていないのである。格闘戦の間合い外まで本船は待避するのである』


 砲撃の開始と共にレリックシップ(遺物船)は、帆船の格闘戦の間合いから離れるために前進を始めた。しかし、帆船が弾き飛ばした砲弾が残った砲塔に命中してしまうという不幸な偶然と、帆船の巧みな操船によって、左舷の武装を破壊されてしまう状況になってしまう。


『艦上の武装、全て沈黙したのである』


『キャラック級が移乗攻撃を行ってくるのである』


『全ドローンにて迎撃を準備するのである』


『作業ドローンは武装して敵を迎え撃つのである』


 帆船からのドローンの突入に対して、慌てて迎撃準備を開始する電子頭脳だが、全てが後手に回っていた。艦上に武装した作業ドローンを展開する前に、船内に帆船のドローンの侵入を許してしまう。電子頭脳は侵入者への対応で処理が追いつかなくなっていった。


 ★☆★☆


 真っ先に船内に駆け込んだ響音(おとね)だが、インストールされたお掃除プログラムの命じるまま通路を清掃していった。


 船内通路は薄気味悪く視界も悪いが、人型ドローンである響音(おとね)には関係がない。竹箒とちりとりで彼女とトカゲ人型ドローンの激しい戦いが繰り広げられた。


『テキハッケン、コウゲキスル』


 トカゲ人型ドローンは、響音(おとね)を発見すると、生物的な目からレーザーを発射する生体パーツで作られた銃で攻撃を仕掛ける。武装を持っていない響音(おとね)など、簡単に始末できると思っていたトカゲ人型ドローンだが、それは間違いであった。


『そんな見え見えのレーザー攻撃なんて、簡単に防げますよ』


しかし、響音(おとね)はレーザーをちりとりで防御すると、トカゲ人型ドローンに接近して竹箒で細切れに粉砕する。残された残骸をちりとりに集めると、ちりとりの機能で塵も残さず焼却消滅させてしまった。


『艦内のお掃除ですが、邪魔者()が多いですね~』


 途中で襲ってくるトカゲ人型ドローンだが、響音(おとね)にとってドローンは掃除を邪魔する黒い昆虫型生命体(G)と同レベルの存在として認識されていた。(地球にいる奴の英語頭文字はCです)

 響音(おとね)が掃除を行っていた海賊の巣に出現するそれは、赤色巨星のプロミネンスの直撃にも耐えて生き残った強敵であった。響音(おとね)が何故あれほどの戦闘力を持っていたのか、それはGを撃滅するためにプログラムが自己学習した結果であった。


『人型のGを駆除するのは久しぶりです。腕が鳴ります』


 そう呟くと、響音(おとね)は通路に現れるトカゲ人型ドローンを掃除しながら進んでいった。


 ★☆★☆


 そんな響音(おとね)の活躍など知らず、操縦室への通路を探して進んでいた俺が指揮するドローン集団だが。


>『電子頭脳さん、敵ドローンにレーザー砲が通じないぞ』


 人型ドローンの所持するレーザー砲の攻撃がトカゲ人型ドローンに効果が無く、通路の探索に苦労を強いられていた。


>『敵ドローンは表面に対レーザー皮膜を構築。同じ箇所への同時攻撃を行う事で対応』


 電子頭脳が操る複数の人型ドローンが、トカゲ人型ドローンへ同時にレーザーを発射して敵を破壊していた。しかし、敵も反撃をしてくるため、味方の人型ドローンが一体破壊される。


>『そんな戦い方じゃ、操縦室に辿り着く前に全滅する。電子頭脳さんは敵の攻撃を牽制してくれ。進路は俺が斬り開く』


 俺はシンデンの刀を手に取ると駆け出した。刀を持って飛び出した俺を狙うトカゲ人型ドローンだが、電子頭脳が操る人型ドローンがレーザー砲によって援護射撃を行う。トカゲ人型ドローンの対レーザー皮膜だが、蒸発することでレーザーを防ぐが、その蒸発した皮膜は自分の武器であるレーザーをも拡散させてしまう。


「どうっ」


 生身だった頃の動きを人型ドローンで再現できるか分からなかったが、かけ声と共に振り切った刀によって、トカゲ人型ドローンは胴体を切り裂かれ、上半身がずり落ちた。




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