星域連合緊急総会(6)ルフラン星域
誤字脱字のご報告ありがとうございます
電子頭脳と主人公との会話ですが通信会話と区別できるように、『の前に>を付けるようにしました。
ステーションが準エーテル空間に移動した事をステーション内の全員が感じ取っていた。
「ミクロンさん、今一体何をされたのですか」
「今ステーションは超光速空間にいます。ああ、超光速空間と言っても貴方達の知る超光速空間とは違う空間です。つまり、この空間にベイ星域軍は来られません」
メアリーが隣に立つミクロンを問い詰めると、ミクロンは正直に状況を語った。
「惑星の近傍で超光速航法が可能だと?」
「ベイ星域軍は来られないと言うことは、これはルフラン星域軍の罠なのか?」
ベイ星域のSPは「星域軍が救援に来られない」と聞いて、この状況がルフラン星域の罠だと思っていた。
「ミクロン大統領、一体どうしたんですか?」
「私達は、大統領は会談するだけかと。こんな事をなされるとは聞いておりません」
「大統領が会談を持ちかけて、その相手を罠にはめるなど、ルフラン星域の名誉が…」
しかし、ルフラン星域側SPも大統領の行動は予想外だったのか、全員動揺してた。
「ベイ星域という事は、ルフラン星域軍はこの空間に来られると言うことですか?」
「いえ、ルフラン星域軍もこの空間に来ることは出来ません」
「…ミクロンさん、貴方は何をするつもりなのですか?」
「そうですね…ああ、その前に先ほどの貴方の質問に答えましょう。私は人間を辞めてなどいませんよ。人間より優れた、そう進化した人類となったのですよ。時期は…確か大統領になる直前でしたっけ?…ああ、その時期で間違っていません」
ミクロンはメアリーの「貴方は何時から人間を辞めたのですか?」に対して答えを返した。ミクロンはその会話の最中に、誰かに確認を取っているようにシンデンには感じられた。
「(ミクロンは誰かと通信を使っているのか?シンデンの様に体内に通信チップを埋め込んでいるのか?)」
シンデンは、ミクロンが誰と通信しているかを探るため、タクティカルスーツの機能を使って電波の傍受を行ったが、ミクロンからは通常の通信電波は出ていなかった。超光速通信器を体内に埋め込む事は、帆船の技術でも不可能である。つまり、ミクロンが通信に使っているのは、霊子力通信しか考えられなかった。
>『ミクロンは霊子力通信を使っている。レリックかレリックシップなのか分からないが、ミクロンは霊子力を知っている』
シンデンは電子頭脳に霊子力通信を送るが、返答は返ってこなかった。
>『電子頭脳さん、バックアップ霊子、どうしたんだ。もしかして、ミクロンは霊子力通信を妨害出来るのか』
最初は通じていた霊子力通信だったが、今は妨害されていることにシンデンは気づいた。霊子力通信を使えるなら、妨害も可能だろう。
「(帆船と通信ができないか。これはかなり危険な状態だな)」
シンデンがそう感じている中、メアリーは毅然としてミクロンと話を続けていた。
「進化した人類?頭の中をそんな物に置き換えることが進化ですか…」
「メアリーさん、貴方はどうしてこれの事を知っているのですか?」
どうやらメアリーはミクロンが普通の人と異なる事を知っていたらしい。どうやらミクロンは頭部に何らかの処置をしているのだろう、彼は自分の頭を指さしていた。
「私が情報源を話すと思いますか?」
「まあ良いです、それについては後でじっくり聞きましょう。何しろ貴方はここで私の仲間になるのですから。よし、全員拘束しろ!」
ミクロンがそう言うと同時に、部屋の中に船内制圧ドローンがなだれ込んできた。
「大統領、危険です」
ここでようやくメアリーに危険が迫っている事を理解したベイ星域のSPが、彼女を守ろうと動き出すがその反応は遅かった。メアリーに船内制圧ドローンのマニピュレータが襲いかかり、それは彼女を捕まえようとしていた。
「俺の依頼は大統領の警護だからな。…早く理力フィールドを張って護るんだ」
メアリーを襲った船内制圧ドローンは、シンデンによって真っ二つに切り裂かれていた。
シンデンは大統領との握手で違和感を持ったときから用心のために気を練っていた。一度に大量の気を練ると他の気功術士に気付かれため、少しずつ気を練り昇華させて蓄えていた。その気使って徐々に肉体を強化していたとお陰で、シンデンはメアリーを船内制圧ドローンから守る事に成功したのだ。
「シンデンさん、貴方はやはり厄介な方ですね。キャラック級帆船と離しておいて正解でした」
ミクロンはメアリーからシンデンに視線を移した。ミクロンの目には人間らしい感情がこもっていなかった。
「おい、どうして星域軍の船内制圧ドローンが俺達を襲ってくるんだ!」
「大統領、何故ドローンが私達に襲いかかってくるのですか」
「おい、俺は大統領のSPだぞ。俺を拘束するな」
「大統領、貴方は報道を敵に回すつもりですか…」
ミクロンの後ろでは、ルフラン星域側のSPやマスコミ関係者が船内制圧ドローンに襲われていた。まさか味方のドローンに襲われるとは思っていなかったのか、ルフラン側の人間はあっという間に船内制圧ドローンによって拘束され、何処かに運び去られていった。
「ルフラン星域の人達まで拘束するとは、国民に知られたら大問題になるぞ」
「問題ですか。彼らはまだ処置が済んでいません。だからこの機会に処置をするつもりだったのですよ。そうなれば問題など起きません」
シンデンは襲ってくる船内制圧ドローンを斬り捨てながら、ミクロンに問いかけたが、彼から返ってくる答えは意味不明な物だった。
「処置?お前は彼らに何をするつもりだ?」
「シンデンさん、早くこちらに来てください。ここから脱出します」
理力使いの女性SPが、シンデンを呼んだ。後ろを見ると、SPの気功術士が部屋の壁を破壊して出口を作り、そこからメアリーは旗艦に向けて逃げだそうとしていた。
「メアリーさん、たとえ旗艦に戻っても、この空間からは逃げられませんよ」
ミクロンの姿は船内制圧ドローンの影に隠れて見えなかったが、声だけはシンデンの耳に届いた。
「(この空間から逃げられないだと。この空間には何か仕掛けがあるのか?)」
シンデンはメアリー達を逃がすために、殿で船内制圧ドローンを切り伏せながら、ミクロンの言葉の意味を考えた。
★☆★☆
『良いかこれは演習では無い、実戦である。敵はルフラン星域に攻め込んできたベイ星域軍である。各艦隊は全力を持って敵を殲滅せよ』
ロヌア恒星系外周に出現したルフラン星域軍、第一艦隊の将兵は皆戸惑っていた。彼らは皆、演習だと言われてロヌア恒星系にやって来たのだが、到着するなり、提督から「ベイ星域を殲滅せよ」と命令が下ったからだ。
「提督今の命令は本当ですか?この恒星系にいるベイ星域軍は、星域連合の総会に出席する大統領を護衛してきた艦隊です。大統領同士の会談のためにロヌア恒星系に立ち寄っただけで、我が星域に攻め込んできたのではありません。本当に攻撃を行うのですか?」
ルフラン星域軍第一艦隊の副官も提督がベイ正規軍への攻撃を言い出したことに驚き、提督の命令が本気であるのか確認を取った。
今回第一艦隊がロヌア恒星系にくるに当たって、提督は「ロヌア恒星系にて演習を行い、ベイ星域軍にルフラン星域軍の精悍さを見せる」と言っていたのだ。それが突然「演習では無くベイ星域軍へ攻撃しろ」と命令されれば、驚いて当然である。
「馬鹿者!よくロヌア恒星系を見ろ。大統領の会談の場であるステーションは既に失われいるではないか。あそこにいるベイ星域軍がステーションを破壊したに違いない。奴らは我が星域のステーション、いや大統領を殺した敵である」
「…確かにステーションが消えております。ですが、つい先ほどまでミクロン大統領とメアリー大統領がステーションで会談を行っていると報道があったばかりです。それではベイ星域軍は護衛してきた自国の大統領ごとステーションを破壊したことになります」
「ベイ星域はついこの前まで前大統領と今の大統領が内戦をしておった。恐らく前大統領派の連中が艦隊に紛れ込んでいて、メアリー大統領を殺すために、ステーションを破壊しおったのだ!」
「そんな馬鹿な事が起こるとは思えません。提督、とにかくベイ星域軍に通信を、いえ、大統領を護衛していた艦隊に事情を聞きましょう」
「ステーションを破壊されるのを見ていた連中に聞くことは無い。さっさとベイ星域軍を殲滅するのだ。全艦、AI戦艦と戦闘ドローンを発進させよ」
副官の言うことを無視して、提督は艦隊に戦闘の号令を発した。提督が命令を出してしまったからには、各艦隊は動き出さざるを得ない。軍は上からの命令に従って動く組織なのだ。提督が味方の艦隊への攻撃を命じたのであれば反論も出来るが、攻撃目標は仮想敵国としてきたベイ星域軍である。そしてステーションが消失している事は事実であった
『アルファ、目標はベイ星域軍としてAI戦艦、戦闘ドローンを発進させます』
『ベータ、目標はベイ星域軍としてAI戦艦、戦闘ドローンを発進させます』
『ガンマ、目標はベイ星域軍としてAI戦艦、戦闘ドローンを発進させます』
次々と有人艦艇からAI戦艦、戦闘ドローンが発進し、ベイ星域艦隊を攻撃するためにロヌア恒星系の内部に向かっていった。こうしてベイ星域軍とルフラン星域軍第一艦隊は戦闘状態に入っていった。
★☆★☆
>『シンデンと通信が繋がらなくなったぞ』
>『どうやらルフラン星域は、霊子力通信を妨害する術を持っているようですね』
>『ルフランが霊子力通信を妨害している。電子頭脳さん、それは本当か?』
>『ルフランが霊子力通信を妨害しているのは確実です。それが霊子力技術を開発したからなのか、それともレリックによる物なのか…確かめる必要があります』
>『霊子力通信の妨害技術はともかく、シンデンとメアリーを助けに行かないとな。それで、ステーションが存在する準何たら空間に入るには、専用の超光速航法回路が必要なんだろ。それって直ぐに準備できるのか?』
>『準エーテル空間です。専用の超光速航法回路ですが、本船のレリックの中に存在します。今の超光速回路の代わりに接続すればステーションがいる空間に入れます。ですが本船がこの場を離れた場合、ベイ星域軍は全滅するでしょう』
>『現れたルフラン星域軍が襲いかかってくるなら、ベイ星域軍と傭兵達だけでは勝ち目は無いな。帆船と雪風の両方がいないとベイ星域軍を護るのは難しいか。…そうなるとシンデンの救助は、レマに頼むしか無くなるな。電子頭脳さん、そのレリックはレマの船で専用の超光速航法回路は駆動することは可能か?後、彼女の船で船首像を運ぶことも出来るのか?』
>『レマの船でも専用の超光速航法回路は駆動可能です。彼女の船には理力を使う為のマニピュレータが装備されています。それを使えば、迅速に船首像をステーションのいる亜空間に運ぶことが可能です』
>『よし、シオンとスズカには「この場に残ってベイ星域軍を護れ」と雪風に伝えろ、レマには俺がシンデンの元へ船首像を運ぶように伝える。電子頭脳さんはレリックの準備を頼む』
>『了解しました』
★☆★☆
シオンとスズカは、帆船のリビングで大統領がステーションに到着したという報道を見た後、雪風に移動して待機していた。そこで二人はステーションが消えるのを目撃した。
「雪風、ステーションが消えちゃったよ。もしかしてカメラが壊れちゃった?」
『いいえ、本当にステーションが消えてしまいました。…帆船から連絡がありました。どうやらステーションは超光速航法に入ったようです』
「ええっ、こんな惑星の近くで超光速航法に入るなんて、自殺行為だよ…」
シオンは雪風の返答に驚いて絶句してしまった。
「雪風さん、本当にステーションは超光速航法に入ったのですか?それなら直ぐに私達も追いかけましょう」
『帆船からの情報では、ステーションは通常の超光速航法に入った訳ではないようです。どうやら通常とは異なる超光速航法を使い、通常の超光速空間とは異なる空間に入ったようです。その為、本船と帆船が超光速航法に入ってもステーションが存在する空間には入れません』
「雪風、その異なる空間とやらに行く方法はあるの?」
『帆船はその空間に入るためのレリックを所持しております』
「じゃあ、早速それを使ってシンデンを助けに向かいましょう」
『待ってください。帆船から情報が来ました。いまルフラン星域軍がロヌア恒星系外周に出現したようです。どうやらルフラン星域軍はベイ星域軍を攻撃するつもりのようです。このままではベイ星域軍と傭兵達には勝ち目がありません。帆船からの情報では、シンデンさんはこの様な状況を想定していていました。この場合「マスターが帆船と本船の指揮を取ってベイ星域軍を守れ」と指示を残しておられました。これを御覧ください』
もちろんシンデンはそんな指示を出してはいない。これはバックアップ霊子が出した指示だ。シオンはシンデンの言うことで無ければ聞き分けないと思って、雪風にそう伝えるように言ったのだ。まあ、念の為にシンデンが帆船にその指示を出している動画をシオンに見せる事で、シオンは不承不承という感じで動画を見て頷いていた。
「シンデンはどうして自分よりベイ星域軍を護れなんて命令するのよ。私はベイ星域軍よりシンデンの方が心配だよ!」
シオンはシンデンが心配だったので、その為シンデンからの指示であっても納得がいかない様子だった。
「シオンさん、貴方はシンデンさんに帆船のコントロールを任されたのです。私達はシンデンさんがいない今、落ち着いて行動する必要があります。シンデンさんの指示通り、まずはベイ正規軍とルフラン星域軍の戦いを何とかしましょう」
『帆船と本船は、シンデンさんと大統領を追いかけるのをレマさんに依頼しようと思っています。本船では船首像を牽引してシンデンさんを追いかけることは不可能ですが、レマさんの船にはマニピュレータが搭載されています。彼女の船なら船首像をシンデンさんの所に運搬可能です。マスターはシンデンさんの指示通り、帆船と本船でベイ星域軍を守ってください。そうしなければベイ星域軍はルフラン星域軍の攻撃で壊滅するでしょう。そうなれば多くの人が死にます。マスターはシンデンさんがそれを見過ごすとお思いでしょうか?」
「うっ、分かったわよ。私も人が死ぬのは嫌だわ。雪風と帆船の判断通り、今回はレマに任せるわ」
シオンはレマがシンデンの元に行くことに納得は出来なかったが、雪風の言っている事は理解した。シオンがベイ星域軍を見捨ててシンデンを追いかけたら、シンデンはシオンに対してどんな感情を懐くか、彼女には分からなかった。シオンはシンデンに嫌われる様な事はしたくなかった。
「雪風、ベイ星域軍と傭兵のおじさん達と通信回線を開いて、ステーションが消えた理由と、今からシンデンのチーム一人が、大統領を助けに行く事を伝えて。それと恒星系の外に現れたルフラン星域軍が、ベイ星域軍に攻撃を仕掛けてくる事も伝えて」
『了解しました』
「スズカ、今回はシンデンもレマもいないから私達二人で頑張る必要があるわ。とにかくシンデンが戻ってくるまで、なんとしても守り切るわよ」
「はい、どうやってベイ星域軍と傭兵さん達を護るか、作戦を考えましょう」
シオンはベイ星域軍をどうやって護るか、スズカと作戦を考え始めた。
★☆★☆
レマはシオン達が雪風に移動した後、帆船のリビングで大統領の会見が終わるのを待っていた。自分の船に戻っていても良かったが、シンデンが戻ってくるまで何も起きないだろうとレマは思っていた。しかし、そのレマの甘い予想を裏切りステーションは彼女の目の前で消え去った。
「ステーションが消えた?」
レマがその光景に驚き慌てる。レマは個人端末を起動してシンデンに通信を送ったが繋がらなかった。シンデンと連絡が付かず、困っているレマの目の前に突然ホロディスプレイが表示された。
『レマ、緊急事態だ』
ホロディスプレイにはシンデンが映っていた。もちろんこれはバックアップ霊子が作った偽の通信画面である。
「し、シンデン。緊急事態って、ステーションが消えたことだよね。どうして消えちゃったの?」
『ステーションが消えた理由だが、今ステーションは特殊な亜空間に移動しているんだ。それをやったのはルフラン星域大統領だ。もうしばらくすると俺との通信もできなくなる。だから要点だけ言うぞ。帆船と雪風はルフラン星域軍の攻撃からベイ星域軍を護れと命令して在る。だから今自由に動けるのはレマだけだ。そこで帆船からレリックを受け取って、それを使って船首像を俺の所…特殊な亜空間まで運んで欲しい』
「えっえっ?特殊な亜空間って、それにレリックって…シンデンもっと詳しく教えてよ」
『駄目だ、もう通信が切れる。帆船からレリックを受け取って、支持通りに亜空間まで船首像を持ってきてくれ!』
「ちょっと、シンデン!」
レマは訳が分からないという顔でシンデンに呼びかけるが、ホロディスプレイは消えてしまった。
俺は、「レマには考えさせず行動させた方が良い」と思って、一方的な命令を伝えて通信が切断されたように見せかけた。実際詳しく説明している時間も勿体ないのだ。
ホロディスプレイが消えると、直ぐに響音がレリックを持ってリビングに入ってきた。
「レマ様、マスターよりレリックを預かってきました」
「お掃除ドローン、さっきシンデンから来た通信は本当の事なの?」
「はい。通信にあった通り、マスターとベイ星域大統領が滞在しているステーションは、特殊な亜空間に移動しました。その特殊な亜空間に行くには、このレリックを超光速航法回路に接続して駆動する必要があります」
「本当に、シンデンはそんな状況になっているのね…分かったわ。でも私の船の超光速航法回路にこのレリックを接続しろって言うけど、私には出来ないわよ」
「回路への接続は、私が行います。それと、マスターを助けるために私を含め戦闘ドローンをレマ様の船に搭乗させて頂きたいのですが、大丈夫でしょうか」
「回路の接続は任せたわ。戦闘ドローンの搭載は直ぐに始めて!」
レマは響音と共に急いで彼女の船に戻ると、響音はレリックの設定に向かった。レマは雪風と通信を繋げてシオンと状況を確認した。
『シンデンからの通信通りの状況なのね。シオンちゃん、スズカちゃん、私はシンデンに船首像を届けに行くわ』
『本当は私がシンデンを助けに行きたかったけど、シンデンにベイ星域軍を護れって言われたの。だから今回はレマさんにシンデンを助ける役目をお願いするわ。レマさん絶対シンデンを連れて戻ってきてね』
『レマさんお願いします』
『大丈夫、必ずシンデンを助けて戻るわよ!』
レマもシンデンを絶対助けるつもりである。雪風との通信を切ると、レマは帆船から戦闘ドローンが全て搭載完了している事を確認して、帆船から船を切断した。そして宇宙船に隠されていたマニピュレータの偽装を解除した。帆船から船首像は既に解放されて、宇宙空間に漂っていた。
『レマ様、レリックの回路への接続は完了しました。後は今まで通り超光速航法回路を駆動すれば、マスターのいる亜空間にたどり着けます』
レマがマニピュレータで船首像をお姫様抱っこ状態で回収したところで、響音から「接続が終わった」と通信が入った。
「分かったわ、じゃあ駆動してみるわ。…シンデン今行くからね」
レマが超光速航法回路を起動させると、彼女の宇宙船は準エーテル空間に移動していった。
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