キミに一つ贈り物をあげよう
小さな小さな何気ない『不具合』。
別に何もしなくても何の支障もないほどの小さな『不具合』。
たまにはそこに目が向く時があります。
そんな時は……。
こんな風に思うこともあるんじゃないですか。
【第一贈】
ぼくの名前はたろう。
ぼくはおさんぽが大すきなんだ。
ぼくの住んでるところはね、家から出て道に出ると見えてくるのはずーーっと田んぼ、向こうのお山までずーーっと田んぼ。
ソヨソヨふいてる風がとっても気持ちいいんだ。
その道をおさんぽするのが大すきなんだ。
ぼくはおさんぽが大すきなんだ。
でもね……。
何もない道なのに、よくゴミがおちてるの。
こんなところ、住んでる人しかいないはずなのに、なぜかゴミがおちてるんだ。
なんでかっておかあさんに聞いたらね。
このへんは"ひしょち"だから夏になったら人がよく来るんだよ。
って言ってた。
"ひしょち"ってなんなのかわかんないけど、ゴミをすてられるのはちょっとイヤかな。
だってさ、おさんぽのじゃまになるし、見ていてイヤなものだよ。
こんな時にはいつもこう思うんだ。
かみさまがぼくに一つだけとくべつな力をくれるって言ったらね、『ゴミを落とした人のところにもどす力』をくださいっておねがいするんだ。
ゴミを見つけるでしょ?
ぼくが、えいっ!ってしたら、ゴミがフワフワ〜ってとんでいって、落とした人のところに行くの。
これでゴミをすてちゃう人のところにゴミがかえってきちゃうから、もうゴミはすてないよね。
そこにある、コンビニのふくろだって、タバコのすいがらだって、ビールの空きカンだってもどっていくよ。
ゴミをよく見るとさ、これ、ぜんぶオトナの人がおとしてるよね?
子どもには、ちゃんとゴミはゴミばこにすてなさい!っておこるのにね。
オトナってフシギね。
あ、そうだ!
この力のちがう使いみちもあるぞ。
何かをおとしてこまってる人のところにおとどけすることもできるんだね。
ステキな力だ。
ぼくも「セッケンジャー」のおにんぎょうさんおとしてなくしちゃった時かなしかったもの。
はー、でも、そんなことおこらないよね。
かみさまにもあったことないし。
すれちがってても、だれがかみさまかわかんないもんね。
ん〜、じゃあさ、ぼくが大きくなったら、道にゴミばこをおくしごとをしたらいいんじゃない?
だって、ゴミばこがあればそこにすてるもんね。
ゴミがたまっちゃったらさ、みんなであつめたらいいよ。
だって、なんて言うんだっけあの人たち…お休みの日に道のゴミひろいしてる人……いるじゃない?
ひろうのはたいへんだけど、あつめるのはラクだもんね。だって、ゴミばこが、あるところに行けばいいんだからさ。
そしたら道もキレイだし、お休みの日にあつまってゴミひろいしなくていいしね。
大はつめいだ。うん。
あ、かんがえごとしてたらとおくまできちゃった!
かえったらすぐごはんだなー。
今日はおかあさんがぼくのすきなハンバーグしてくれるって言ってた。
早くかえろーっと。
あ!チョウチョ!
まてー!!!