2 父上よもう少し大人になりなさいな
さて、そんな感じでチートを持て余しているのだが、問題はそれだけではない。
我がホステス子爵家の家族仲は絵に書いたように非常に悪い。というか、転生してから父上には1度しか会ってないし、母上は毎日俺をいびりに来るのを楽しみにしてる節がある。
「はぁ…これって、俺がなんとかしないといけないのかな?」
別に母上にいびられるのは耐えられるけど…使用人にまで当たりがキツイから放ってはおけないだろう。現に俺の侍女のアリエラが被害にあってるし。
そんなわけで、俺は現在父上の書斎に出向いていた。本来なら寝てる時間に使用人の目を盗んで来たのだが、やはりというか、在宅しているようなので、ノックをしてから入る。
「父上、失礼します」
「…ダルキア。何故起きている?」
鋭い目付きで強面な父上。ちょっと怯みそうになるけど、思いきって言った。
「単刀直入に言います。母上は父上のこと世界で1番愛してますよ」
ガタンと、躓きそうになりながら立ち上がる父上。あ、これ怒ってるんじゃなくて、びっくりしたのか。
「…なんなんだ急に」
「母上が父上に構って欲しいと無言のアピールをしてくるので、ご報告をしたかったのです」
「…いや、ありえない。アイツとは政略結婚なんだ。俺なんかを好きになるわけがない」
あー、予想通り面倒な性格をしてる。まあ、そうじゃなきゃここまで悪化しないよな。
「事実ですよ。ちなみに父上は母上のことどう思ってるのでしょう?」
「それは…好きに決まってるが」
ドコンと、外で物音がする。あ、丁度呼び出しておいた母上が聞いたのか。まあ、そんなことには気づかずに父上は続けた。
「美人で、器量がよく、私にはもったいないほどに素敵な女性だと思っている。だが…アイツには私は嫌われてるはずだ。現に1度も私に笑みを向けてはくれてないからな」
「それは母上がツンデーーーいえ、少しだけ素直でないだけですよ」
そう言ってから俺はドアを開けて外で聞いていた母上に笑みを浮かべて言った。
「聞いてましたよね。では、後はお2人でご自由に」
「…旦那様」
「なんでここに…聞いてたのか?」
こくりと頷いてから、顔を赤くしている母上をみて多分大丈夫だろうと思い邪魔者は退散する。
部屋に帰ると、侍女のアリエラがえらく心配してくれていたので、精一杯謝ってからその日は眠りについたが…翌日から、母上からの風当たりが若干弱まり、父上も帰ってるく回数が増えたのは言うまでもないだろう。
あと、今朝同じ部屋から出てきたのを確認したので、多分ゆうべはお楽しみでしたね状態だろう。






