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プロローグ

「・・・にい・・おきて」

「おにいてっば‼」

その諧謔とは大きく離れた棘を含んだ声は約4.5帖の俺の部屋に広く響き渡り、俺を虚無の空間である睡眠の世界から現実に引き戻すには十分過ぎた。

「あ、彩矢。いつもありがとう」

その十分過ぎる声の持ち主は俺こと矢倉昭隆の妹の矢倉彩矢である。

毎朝俺が寝坊気味なのでこうして良く起こしにきてくれる兄思いな妹なのである。

「あ、彩矢。じゃないよもっと早くに起きてよ。」

ため息をつきながら彩矢は苦り切った顔でありながら布にくるんだように柔らかな声でそう言った。

「ごめんごめん。明日は頑張るよ。」

「明日は土曜日だから好きなだけ寝ていていいよ。」

あそうだった。と笑いながら答えた。

休みの日って好きなだけ寝れるからいいよなと彩矢に言うといつも寝てるじゃないと言われそうだったのでそっと胸の内に潜めることにした

そうした会話をしていると意識が徐々に覚醒していくにつれある二つの異変に気が付いた。

まずひとつ体が重たく何やら柔らかい物が感じること。。

そして仰向けに寝ていた俺の目の前に彩矢の顔が目の前にあること。

そこから導かれる答えは一つ!

「なんで俺の上で寝転んでんだよ!」

彩矢は兄である俺の布団に潜り込み俺の体の上で寝転んでいたのだ。

こういったらあれだが上に乗られていると分かることがある。

彩矢が華奢な体躯であること。慎ましやかな胸であること。そしてゆるふわウェーブのショートカットの茶色の髪が揺れるたびにいい香りがする事。など他は割愛するが色々知れた。うん。

自分で言ってて思ったがシスコンぽっいな俺。

そんなことを考えていたら彩矢の顔がさらに接近してきた。

「なんでっておにいが喜ぶと思って彩矢の寝起きサービスだよ」

満面の笑みで最後にはウィインクと言う妹でなければ胸キュン間違いなしの行為。

少なくとも妹大好きな俺にとっては胸キュンだった。

思ったより動揺している自分がいることを確認したおれだった。

だが、兄としての威厳は守りたいので名残惜しいがやめさせよう。

「確かに俺得サービスだな。だけどそろそろ朝ごはん食べて学校いこうな」

完璧だ。これならクールかつ兄としての対応が取れている。

「彩矢・・おにいとぎゅうしたい」

それと同時に彩矢は腕を俺の後ろに回し女の子の秘奥義上目使いをしてきた。

それは不意だった。本来ならば彩矢が「そうだね。それじゃご飯できてるから食べよっか」となると思っていたがまさかの継続されるとは思いもしなかった。

クソ。可愛いな我が妹ながら。

妹じゃなかったら抱き返すところだった。

だが、あまりにも羞恥心が大きかった為、彩矢を振りほどいた。

「おにい照れてるならそう言ったらよかったのに」

とクスクスと小悪魔的笑みを浮かべてそう言った。

「違う違う。暑かったんだよね。結構密着されたから。うん。そういう事。」

どういうことだよ。自分で突っ込みたくなった。

人は焦ると思考が落ち着かないんだな。それはもう東京の人混みの様に。

「ふーん。彩矢優しいからそういう事にしてあげる。さ、早くご飯食べよ」

そう言うと彩矢は部屋を出てリビングに向かっていった。

それはもう嵐が来たみたいな感じだった。

普段は普通の可愛い妹なのに今日は本当に何だったんだろうか。

考えても分からないと思ったので考える事止めて今日は朝から疲れたなと思いながら

制服に身を包みリビングに向かった。




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