とあるなろう作家の末路
なろう作家の活動報告(非公開)
――Dec.9,2017
文芸部のスズキとタナカ、演劇部の脚本家ヤマダがなろうに小説を投稿しやがった。
ヤマダの奴、なろうなんかには絶対投稿しないと誓ってたのに、評価されるとこのザマだ。
クソッ、俺の事を置いていきやがって。
――Dec.10,2017
今日、ヤマダから諭されて異世界転生小説をなろうに投稿することになった。
皮をひんむいたゴリラのような奴が美青年に転生し、チートとハーレムを繰り返す内容だ。
やけくそで書いた為、内容も文章もぶっ飛んでいるが、不思議とポイントの入りが良い。
感想には誠心誠意の返信をしよう。
――Dec.11,2017
今朝5時頃、酸欠の鯉みたいな顔をしたスズキからメールがあり、日間ランキングのスクショが送られてきた。なんでも俺の小説がランクインしたらしい。
部活の連中ときたら、夜も寝ないで小説を連投していたのに適当に書いた俺の小説に負けるなんて。
正直笑いが止まらない。
――Dec.12,2017
昨日から小説を更新しているが、ブックマークしか付かず順位が段々落ちてきやがった。背中がむずむずして妙にかゆい。
いらいらしたので、腹いせにポイントが全く入らないタナカの小説を酷評してやった。
いい気味だ。
――Dec.13,2017
あまりに順位が落ちるので他のなろう作家に相談したら、相互評価サイトのURLを貼られた。
それから、レビューが付き俺はもうポイントの事を気にしなくていいと作家がいった。
おかげで今夜はよく眠れそうだ。
――Dec.14,2017
朝起きたら、コメント欄がアンチによって荒らされていやがった。
信者どものコメがやけに静かなので、小説情報を見に行ったらブクマの数が全然たりねえ。
更新を一日抜いたぐらいで逃げやがって。
運営に見つかったら大変だ。
――Dec.16,2017
昨日、この評かサイトから逃げ出そうとした作かが一人、BAンされた、て はなしだ。
夜、ついった^ あんちだらけ。
ぶくま催そく おねがいしたら ブロックされやがた。
いったいおれ 小せつ どうな て
――Dec.19,2017
やと あnち ひいた も ぶくまほしい
今日 はらへったの、さぶ のアカ つくる
――Dec.21,2017
ほしい ほしい すずきーきた
ひどいかおなんで ぶくま
うまかっ です。
4
ほしい
ぶく
読んでいただきありがとうございました。
以上がポイント評価主義という感染症にかかってしまったなろう作家のお話でした。
ポイント評価はモチベーションの維持・向上に繋がる一方で、ポイントが絶対視されやすく、必要以上に欲してしまうと思い、今作を執筆しました。
作品に対してのご意見やご指摘がありましたら、コメントにて教えていただけると幸いです。
ちなみに今作の元ネタは【バイオハザード】の飼育係の日記でございます。