すねこすり族のネネコ
キガシマの一部、その極一角にすねこすり族の村がある
すねこすり族はキガシマのその村にしかいない希少な種族で、非常に弱い
かつてすねこすり族は多量にいたのだが、血に強力な治癒作用があったため襲われ、誘拐され
殺され、その血を奪われて数が激減
見かねたその頃の鬼人族の王がすねこすり族を種族ごとかくまって隠した
それから百余年絶った
すねこすり族は少しづつ増えてはいたが、いまだ絶滅の危機にあるのは変わらない
今や世間ではすねこすりは幻獣や伝説扱い
その姿はキガシマに代々かくまわれ、大切に保護されてきた
そんな中、一人のすねこすりの少女がハクラの後をついて行っていた
ハクラは気づいていない
彼女の名前はネネコ
好奇心旺盛で、キガシマを出て旅をしてみたいと常々思っていた
当然他のすねこすりたちは反対していた
だから、内緒で出た
ちょろちょろとハクラの後をついて行く
全く気付かれていなかったのに
好奇心が勝ってしまい、とうとうハクラたちが野営しているキャンプの寝床に入っていってしまった
朝起きたハクラはなぜか濡れている足元に違和感を覚えて飛び起きた
「ぬ!?」
「ま、まさかわらわが、この歳で粗相、だと?」
ガバッと布団をめくると、そこに一人の少女がムニャムニャと言いながら眠っていた
足元を濡らしていたのはその娘の粗相したものだった
「こ、これは、すねこすり?」
「なぜこんなところに?」
その時横にいたキリサメが目を覚ました
「どうされました?姫さっが!」
「ひ、姫様、その歳でおねしょはちょっと...」
「違う違う違う!」
「わらわではない!」
「よく見ろ!これ!」
まだのんきに眠っているネネコ
「あら、すねこすり族ですね」
「連れてこられてたのですか?」
「いや知らんぞ、起きたらここに寝てた」
「...」
「起こしますか」
「これ、あなた、ここで何をしているのですか?」
揺さぶってみるがなかなか起きない
「こら!起きなさい!」
大声を出してやっと起きた
「む~、気持ちよく寝てたですのに」
「なんで..す、か...」
「...」
「あ、あぁああ」
「やっと起きましたか」
「ひぃ!」
「ごっ、ごめんなさいです!」
「一度布団に寝てみたかっただけです!」
「悪気はなかったです!」
「だ、だから殺さないでくださいです!」
「殺しません!あなたは私たちを何だと思ってるんですか!」
「怖いお姉さん?」
「ぐ!」
「ま、まぁいいです」
「どうしましょう姫様?」
「このままこの娘だけを国に帰すのはあまりに危険かと思われますが」
ハクラは考え込む
「ふ~む」
「アカネ、頼めぬか?」
「だめですね、私はクラハ師匠からハクラ様を見守るよう仰せつかってますので」
「ぬ~、融通が利かぬの」
仕方なくハクラはネネコを連れていくことにした
一人で帰らせるより自分たちと一緒にいた方が安全だと判断する
ネネコは喜んでいた
とりあえず汚れた下着と服を着替えさせ(持っていた布をちぎって下着にしたもの)
出発した
ネネコと旅を始めてすぐに分かった
ネネコは落ち着きがない
常にせわしなく動き続け、いろいろなものに触ってしまう
そのため危険な毒草を触りそうになってキリサメが慌てて止める
そのたびに怒られるのだが
目を潤ませてハクラの足にしがみついて助けを乞うようにハクラを見上げるので
ハクラは仕方なくキリサメを止める
というのが一連の流れになってきていた
これから向かうのは妖精の国なのだが、ネネコを連れて無事に着けるのか心配になって来た
この子もいずれ出そうと考えてた娘です
ハクラとはセットにしたかったのですが、出すタイミングがつかめませんでした