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10 旅の終わり、旅の始まり2

 ユグドラシル、世界樹は標高9483m頂上付近には雲がかかる

それでも空気は地上と変わらず、頂上でも凍ることはなく温かい

それはユグドラシル自身の加護によるもの

生命の樹と呼ばれるだけあり、世界樹に様々な生物が暮らす理由でもある


 そんな世界樹を登る三人の冒険者

ユグドラシオンに住むエルフの女王セムディアに借りたマジックアイテムのロープでスイスイと上に向かう


「明るいから見えにくいけど、やっぱり上、光ってるよね?」


「えぇ、太陽は反対側ですし、反射でもないみたいです」


光目指してロープを伸ばし、登り続ける

その中途でユグドラシルに巣くう特殊なゴブリンに出会ったが、危険度はEランクと低いため

労なく倒せた


「先ほどのゴブリン、討伐対象みたいですよ?」

「確かギルドで依頼を見た気がします」


「そっか、もし受ける人がいたんなら悪いことしちゃったね」


討伐依頼は依頼を受けなければ討伐しても報酬は入らないが

一応報告することでギルドの判断により支払われることもある

ギルドからの依頼ならばその可能性は高い


登るうちに気づいたが、ここでは体力の回復が早い

恐らくユグドラシルの加護によるものなのだろう

擦り傷程度ならものの数分で治ってしまう


それと、異常に昆虫、魔昆虫種が多い

これらはユグドラシルの葉を喰う種類が多いのだが

それを狙って肉食性の魔昆虫も出るので厄介だ


まぁ、強くてもDランク程度なので問題はないが

大量にかかってこられるとミューたちでは苦戦するだろう


ようやく上層部

マジックアイテムを使っているがそれでも時間はかかる

結局ここまで二日ほどかかってしまった


「だいぶ頂上が見えてきたね~」

「それにしても、シェイナちゃんの故郷ってこんなにきれいなんだね」


地平線を見れば、大きく美しい夕日が輝いていた


夕日に照らされた世界樹はエメラルド色に光る


「そろそろ頂上だけど、暗くなったし休もっか?」


「はい」


リモットは持っている簡易式テントを張る

買ってきた食料を広げ、食べ始める

干し肉を含めてマシニアで作られた缶詰と言われる食物の詰まった鉄の箱を取り出す

パキリと取っ手を折って開け、たき火にくべて温めなおすと、おいしそうなシチューができた


野菜と鶏肉の簡単なスープだが、味はかなりおいしい

正直干し肉よりおいしい


「ふぅ~、おいしかった」

「マシニアの技術ってすごいね」


「そうですね、あそこまでの技術がはるかな昔にあったことに驚きます」


ハノラは悠久の昔に思いをはせた


その日はそれで就寝

次の日また登ることにした


そして翌朝

続きを登り始めた

頂上まではあと少し

こんにち中には昇り切れるだろう


光もだいぶ見えてきた

やはり頂上が輝いている

頂上には一体何があるのか

女王セムディアが言うには新しい世界樹の花か守護者が誕生しているとのこと


新しい守護者

それはそれで複雑だ

その新しい守護者はシェイナではない

全く違うものに今までのシェイナがいた居場所をとられる気がするのだ


それでも、黙々と光を目指す

そこに向かうにつれて魔物や魔昆虫も増えてきた


その対処に追われ、なかなか進まない

しかし、ゆっくり、ゆっくりと登り続け

ようやく頂上にたどり着いた


頂上には少し開けた空間があり、その中心で何かが輝いている


「なに?あれ?」

「人?」


ミューが近づくと、その光はまるで女神のように美しい女性だとわかった


その女性がゆっくりと目を開く


「ようやく会えましたね」

「勇者」


女性が口を開いて話始めた


「え?だ、誰?」


ミューの疑問に答えるように女性は羽を開く

その羽はシェイナの羽に似ていた


「わたくしは、モルガナ」

「かつて守護者、妖精女王と呼ばれていました」


衝撃の言葉

絵本、物語の世界でしか語られなかった話

誰もがおとぎ話だと思っていた

しかし、妖精女王は実在していた

長い長い時をユグドラシルと同化することで生きてきた


彼女は語った

その口から発せられる希望

希望はミューたちの顔を輝かせた


最後に、モルガナは言った


「あなたたちには私から加護を」


モルガナはミューたちにユグドラシルの加護を与えた


「さぁ、行きなさい」

「あの子が待っていますよ」


「「「はい!」」」


三人は意気揚々とその場を後にした


「頼みます、私たちができなかったこと」

「あなたたちに、たくします」


モルガナは、妖精女王は、今度こそ完全に、ユグドラシルと融合した


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