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闇と監視者

 闇の一人であるセプテリル

彼は今この世界にいた

彼らは世界を渡ることができる

狭間に存在し、世界を見、闇に染め上げ、崩滅させる

自らこの世界で集め、解き放った狂乱たち

先の攻防戦で4人が死んだ


 戦場跡地、元グランドルの街

瓦礫に埋まったその街に立つセプテリル

まるで地上に降りた天使のようなその姿は非常に絵になった


彼は狂乱達の死体を並べる


「全員やられるとは思ってもみませんでしたよ」

「クイニー、マカン、リコルコ、オウロウ」

「あなたたちはよくやってくれました」

「特にクイニー、あなたは転生者を屠ってくれました」

「感謝します」

「これは私からのご褒美ですよ」


ボロボロに焼け、炭化し、一部しか残っていないものもいる

そんな彼らに手をかざすと、まるで何事もなかったかのように元の姿に戻った

リコルコに至っては右半身と左半身が分かれ、元のリコリスとルコリアという双子にまで戻っていた


目を覚ました彼らは驚いた

死んだことは覚えている

それが今、ぴんぴんして元の、いや、それ以上に力が満ちている


リコリスとルコリアはお互いの姿を見て涙を流して喜んだ


「あなたたちはいい働きをしてくれました」

「世界が終わるまでの束の間ですが、自由に暮らしてください」

「まぁ手伝ってくれればうれしいのですが」

「第二の生、あなたたちの自由に使ってください」


そういわれて彼のもとを去るものはいなかった

それだけ彼に感謝し、恩義を感じていたから


「そうですか、では、またよろしくお願いします」


セプテリルは狂乱を引き連れ戻っていった




――――――――――


上も下もない空間

監視者たちは慌てている


「デュオリム、あの子はどうなったのです?」

一番目のアンリは取り乱していた


「姉さん、わからない、生きてるのか、死んでるのかも」

二番目のデュオリムが淡々と言う


「そんな、ではこの世界はもう」


「あきらめんのかよ姉貴」

「死んでんのか分かんねぇってことは生きてるかもしんねぇってことだろ?」

五番目のファイはまだあきらめていなかった

シェイナの魂を捕捉するために世界のかけらをいろんな視点から観察する


観察をしている中、あることに気づいた

シェイナの死体その奥底にかすかな光

本当に、ごくわずかなか細い光が見える


「あ、姉貴!これ見てみろよ!」


ファイに促され、欠片をのぞき込むアンリとデュオリム

確かに、消え入りそうな魂の輝きがそこにはあった


「彼女はまだ、あきらめていないということなのですね」


「姉さん、行こう」


その提案は創造主に逆らうとんでもないものだった


「それは、できません」

「お父様を裏切ることに」


「今彼女が死ねば、もっと、もっとダメになる」

「それは、お父さんも、望まない」


「...」

アンリは言い返せない


「わかりました」

「異例なことではありますが」

「デュオリム、ファイ、そして、シエティ」

「あなたたち三人に行ってもらいます」

「危険だと思ったら戻ってきなさい」


「はい」

「あぁ!」


後からシエティも合流し、三人の監視者は世界へと降り立った




三人が降り立ったのは誰もいないマシニア国王族の眠る墓

そこにいまだむき出しの棺があった

中にいるのはシェイナ

デュオリムがその棺を開ける

シェイナの遺体は驚くほどきれいで、その胸には大きな穴が開いていた


「あなたは、前の世界でも、死力を尽くしてくれた」


「前の世界は残念だったけど、これは俺たちからのプレゼントだ」


「あなたにまたこんなことを頼むのは酷だけど、それでも、お願い...」


三人が棺を取り囲む


彼女たちの中心

棺の中に

世界が震えるほどの力が集結する


役目を終えた彼女たちは監視に戻った


突如起こった地震に驚いたマーキナは慌てて棺を確認する


蓋は外れていたがそこには安らかな顔で眠るシェイナの姿があった

ほっとしたマーキナはシェイナの頬にそっと触れ、棺のふたを閉めた


頬に赤みが差し、生気の戻ったその顔に少し疑問を感じた

触れたときも体温を感じた気がする

もう一度棺を開け、確認するが、シェイナは呼吸していない

またそっと蓋を閉じると、祈りをささげ、その場を後にした






あれ?

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