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ハクラ姫童子立つ2

 白霧はハクラの姿を完全に隠し、その気配すらも絶つ

二人には全く認識できていない

気づいたら真後ろにいて斬りつけられている

幾度も幾度も斬られるが、二人の方が戦闘経験も実力も上

澄んでのところでかわし、薄皮一枚でとどめていた


「グルrr、見えぬ」

「リコルコ、捕捉はできぬか?」


「あ、あ、あ、」


「そうか、やっかいだな」


白霧は探知系スキルまで完全に遮断するため、ルコリコの捕捉も効かない

二人にとってはやりにくい相手である

しかし


「グラァ!!」


オウロウの大剣の一振りで白霧は霧散した


「な!」

「これを破るか」

「ならば、白影!」


自分の分身を複数体召喚するスキル


「行け!」


白影たちは一斉に攻撃を開始する

それぞれがハクラと同程度の力を持つ分身

これは鬼人族の力ではなく白霧と同じく仙力

進化し、童子となったハクラはさらに仙力に磨きがかかっていた


「グルrr、分身だと」

「本体は分かるか?」


「あ、あう」

首を横に振るリコルコ


分身は12体

それが連携をなして二人を襲う

先ほどよりも鋭く速い一撃一撃

オウロウにもリコルコにも傷が増え始めた

一掃しようにも次から次へと襲い来る攻撃に翻弄され、動くことができない


「グルrrrrrr」

「鬼人族の姫の力がこれほどとはな」

「魔王に近い力ではないのか?これは」


「あ、う、ううあぅ」


「なに!?」

「童子だと?」

「なるほど、鬼人族より強いわけだ」

「かつてのイバラキやシュテンと並ぶ伝説の力か」


イバラキ童子、シュテン童子

それらはかつて鬼人族を率いた王の名前

英雄たちに倒されるまでは世界中にその名をとどろかせた武王だ


「まさか鬼人族の進化の果てをこのようなところで見れるとはな」


オウロウは笑っている

それが彼の戦闘狂たるゆえんだろう


「少し本気を出そう」

「いいな?リコルコ」


「あぐあ、う、あう」


「あぁ、下がっていろ」


リコルコはすっと後ろに飛びのいた


オウロウが大剣を構え、力を解放する

すると周囲の瓦礫が振動し始め、オウロウを中心に割れた


まるでクレーターのように地面がくぼみ、ハクラの分身が巻き込まれ消滅する


「く!白雷!」

指を点に向けるとその指をオウロウに振り下ろした

天から降り注ぐ白い雷

オウロウは雷に打たれた


しかし、何事もなかったかのように少し煙を上げるだけのオウロウ


「ふむ、少し痺れたな」


「化け物め」

「仙流戦術!白波!」

流線のように、流れるようにオウロウに斬撃を加える

その攻撃を、大剣の一薙ぎで止め、ハクラを撃ち飛ばした


「ぐあ!」


瓦礫に叩きつけられるハクラ

相当衝撃が強かったのか、意識が朦朧とする


「まだ、だ」


頭を振ると再び立ち上がる


「一閃!白光しかり!」


光のような速さでオウロウの首、胴を横一文字に斬る

それを大剣で防ぐオウロウ


「なかなかに鋭いが、対応できぬほどではないな」

「グルrrr、お前の本気を持った見せてみろ」


ハクラは刀を構えなおし、白雷を刀と自身に纏わせる


「モード、雷神」


オウロウの目の前から消えた

消えたと見まがうほどに速い


オウロウの後ろに現れると、大剣を頭に振り下ろす

その一撃がオウロウの頭蓋を砕く


「グルrrrrあああ!!!」

ぐしゃりと潰れたオウロウの頭

それをさらに小太刀で突き刺し、また大剣で撃つ

それを繰り返す

煙を上げるほどに回転し、やがて纏った雷によりオウロウの体は炎を上げ始めた

ハクラが回転をやめると、黒焦げになったオウロウの死体が崩れていく


「あ、あう、あぁああ」


濁った左目から涙を流すリコルコ

リコルコにオウロウは心の支えだった

それを断ち切られ、リコリスの怒りがルコリアを染める

リコルコは仮面を外した

仮面の下から出る怒りに満ちたリコリスの顔

それに呼応するように怒り狂うルコリアの顔


リコルコは怒りの化身と化す

リコルコが手をハクラに向ける

慌てて転がると、すぐ後ろの瓦礫がはじけた

もし避けていなければハクラの体が爆散していただろう


「よくもぉおおお!オウロウをっおっお!!」

リコルコはリコリスの意志を得たことで話せるようになる

しかし、感情が怒りのみなのでまともに会話はできない


「死ね!お前はぁ!砕け散ってぇ!死ねぇ!!」


手を振り上げてハクラを捕縛せんと能力をふるう

かろうじてかわしてはいるが、一撃でも喰らえばそれイコール死

いつの間にか袋小路に追いつめられてしまった


「殺してやる!」

「お前も!!」

「私たちをこんな姿にした奴らも!」

「全部壊す!!」


「ぐぬ、逃げれない」

「どうすれば」


上を見上げると、ところどころに足場になりそうな突起がある

そこに向けて飛び上がった

その直後に襲い来るリコルコの見えない腕

ハクラは間一髪で逃げ切れた


「あれには分が悪い」

「でも、それでも、キリサメ達をあんな目に合わせた奴らが、憎い」


ハクラではリコルコには勝てない

逃亡の果てに捕まり、惨殺される未来しか見えない

それは分かっている

それでもハクラは逃げなかった


主人公交代(嘘二回目)

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