獣人国ガルードラ防衛戦線2
ガルードラから少し離れた森
この森には開拓村がある
その村には今人はいない
いや、正確にはいたのだが、首を刈り取られ、めった刺しにされ、全員が死んでいた
開拓村の住人はみな一様に腕の立つ元冒険者だった
それでも、突如来訪したたった二人になすすべなく殺された
来訪したのは狂乱葬送、虐葬のアスティレットと狩葬のフォロソス
これからガルードラを壊滅させるため、この村からは一人も逃がさず殺し切った
その時間たったの10分
大抵の村人は初手で首が飛んでいた
ミューのことを大切にしていた村人たち
彼らはもう動くことはない
「なんか弱かったね~」
「凄腕がいるって言ってたからちょっと期待してたのにこのざまだし」
アスティレットがその手に持っているのは村長の首
一瞬で刈り取られた為、驚愕の表情のまま固まっていた
「あの方曰く、その首は勇者に関連するものの首だそうだ」
「一応とって置け、役に立つかもしれん」
「は~い」
アスティレットは首を無造作に異空間へ放り込んだ
「では行くぞ」
「気を引き締めろよ」
「ガルードラにはあの魔王に匹敵する力を持つものが3人いるという」
「ガルードラの王ライオニル二世、軍の大隊長リボルデロー、魔導戦士アナフィア」
「この三人に出会ったら本気を出せ」
「手を抜けば僕らが死ぬからな」
「わかった」
「最初っから本気で行ってもいいけど?」
「いや、なるべく力を温存しておけ」
「魔王が介入してコントも限らんからな」
「はいはい」
血まみれの村を後にし、ガルードラへ向けて侵攻し始める二人
ガルードラは森を抜けてすぐ
本当にすぐそばまで二人の狂人が迫ってきている
そのことにガルードラの住人は誰一人として気づいていない
ガルードラ王宮
一人の男が豪華な椅子に座っている
ガルードラの王ライオニル二世
立派なたてがみに筋肉隆々の体
飾りの一切を排除した実益のみの鎧を着こむ
雄々しいその姿はまさに王の風格だった
その王のもとにグランドルの訃報がもたらされた
「陛下!グランドルが!ヒュームの国が落とされました!」
「ほぉ...自業自得というやつだな」
「あの国は恨みを買いすぎた」
「滅んでも文句は言えまい」
「それが、別の国が攻めてきたというわけではないのです」
「ん?どういうことだ?」
「はい、たった二人の得体のしれない者たちに滅ぼされたとか」
「ふん、面白いではないか」
「ここまで来るというのなら相手になるまでよ」
「返り討ちにしてくれるわ」
「では、警戒しておきます」
「あぁ、そうせよ」
「リボルデローとアナフィアにも伝えておけ」
「ハッ!」
一応は警戒をし始めたものおの、ライオニル二世はいまだその危険性に気づいていなかった
ガルードラ入り口
入り口の門には十数人の兵士が固まっていた
軽かいせよとの命を受けたからだ
しかし、兵士たちもまた大した警戒心もなかった
異様の二人を見るまでは
その二人に気づいたのは一番若い兵士
軍に入りたての新米、兵隊は高給取りのため、両親を食べさせるために志願した
その最初の任務だった
「止まれ!現在入国を制限している」
「何用でここに来られた?」
二人の前に飛び出した新兵
明らかに何かがおかしい二人に警戒心を強める
それを見ていた他の兵たちも手に槍、剣を構えた
「用?」
「う~ん、用ってほどじゃないんだけどね~」
盲目の少女が語る
「しいて言うならば、僕らは死を届けに来た」
「な!」
「総員!せんとうじゅんb」
隊長がそう言いかけたところで、兵たちはあるものは首を刈り取られ
またある者は額を貫かれた
恐らく自分たちが死んだことにすら気づかぬほどに
難なく突破される門
扉を開き、街へと侵入した
ひとまず、手当たり次第に街を蹂躙した
フォロソスは鎌をただ一振りする
それだけで数十人単位の首が飛ぶ
アスティレットは特殊なレイピアで一突きする
その瞬間伸びて自在に動き、先端は額を貫き続ける
たった3分ほどで数百人の命が消えた
騒ぎを聞きつけた兵も、冒険者も、同様になすすべなく一瞬で死んでいく
ライオニル二世たちに侵入者二人のことが知らされたのは、街がほぼ壊滅させられたころだった
その間たったの10分、その10分で街が一つ滅ぼされた
ライオニル二世は焦った
相手を見誤っていた
所詮弱小のヒューム達を落とした程度
そのくらいならば自分一人でもできると高をくくっていた
「リボルデロー!アナフィア!われらも出るぞ!」
「「はっ!」」
二人を携え、戦っている兵たちのもとへ急いだ
戦場へたどり着いた3人が見た光景は
なにもできず、ただただ殺される兵たちの姿だった
防衛できてないじゃん...




