狂乱葬送 滅葬のリコルコ
ヒュームの国、その辺境の村に才ある美しい双子がいた
名をリコリスとルコリア
リコリスは重力を操る固有スキルとたぐいまれなる魔法の才能を持ち
ルコリアは一度見た相手をどこまでも捕捉できる固有スキルを持っていた
二人は仲が良く、その美貌と才能は他国にまで知れ渡っていた
二人は村で貧しいながらも両親と平和に暮らしていたのだが
ある日、二人ともどもとある研究機関からスカウトが来た
スキルや魔法を研究し、さらなる発展をさせるための機関“最果て”
当時グランドルで最高の英知と言われた機関である
両親は喜んだ
優秀な娘二人を誇らしく思い、機関へと送り出した
それから立った数日後、二人は変わり果てた姿となって帰って来た
実験の失敗
そう機関から聞かされた
両親のもとにはリコリスの左半身とルコリアの右半身のみが戻って来た
何か鋭利なもので一瞬のうちに切断されたかのようなきれいな切り口
二人はもはや動くことはなかった
時を同じくして“最果て”は壊滅することとなる
実験で生まれた怪物によって
機関がリコリスとルコリアに施した実験は
およそ人の仕業とは思えないような非道なものだった
リコリスの右半身とルコリアの左半身を
生きたまま切り裂き
張り付けた
当然、二人は死ぬはずだった
しかし、機関の研究によってその状態でも生きながらえていた
半身は動かなくなったが、もう半身は絶叫していた
その半身同士をつなぎ、特殊な回復魔法によってつなげた
右半身のリコリスはそれにより、感情が怒りのみとなり、白い仮面によって感情を封じられた
左半身のルコリアは目が白く濁り、言葉と人間としての思考を失った
それから二人は機関を徹底的に壊滅させる
自分たちをこんな姿にした機関、その復讐のために
二人は故郷には帰らなかった
リコリスの怒りは仮面でもすべてを抑えきれず、ルコリアにも影響し
その怒りは世界を滅ぼすという欲求に変わっていった
二人は自らを、リコルコと名乗り始める
そんな中、一人の男に出会った
髪の長い翼人族らしき男
リコルコは一目見て気づく
この男に逆らってはいけないと
むしろ、従うことで自らの目的を果たせることを
男に従い、心を読むオウロウという男と出会い
彼女は自らのよりどころを見つけた
痛い痛い