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9 復活、マキナ族の国1

 遠くの方で声が聞こえる


ありがとう、ございました

我ら一族の悲願は果たされます


あなたは?


私は、マキナ族をまとめる者です


マキナ族?


はい、あなた方が来られた場所に眠る一族です

こう見えて遥かな昔、世界中で栄華を誇っていた一族なのですよ?


それは、すごいですね


これから、わたくしたちの一族、1億5千7百82万6251人が復活します

あなたに、彼らのことをお願いしたいのです


え?僕?


はい

あなたと私はとても波長が合うんです

だからこそ、こうして私の意識をあなたにインストールできたのです


インストール?それじゃぁまるで、コンピュータみたいじゃない


はい、私は体を捨て、気たるべき種族の復活のため、意識のみの生命となりました

しかしながら、あなたに入り込んだことでそのバランスは崩れ、私は消滅します


それじゃぁあなたは、死ぬってことじゃ・・・


ええ、そうですね

でも、これでいいのですよ

私の願いは彼らが平和な時を迎えること

それが達成される今、私の役目ももう終わりです

長い、長い時をずっとずっとここで見てきました

私たちが愚かな判断で一度は滅ぼしてしまったこの世界には、様々な種族が生まれました

そして、今、種族は手を取り合おうとしています

その中に、私たちも置いてくださいな

だからこそ、あなたに彼らの導き手になってもらいたい


僕にそんな大役、務まらないと思うけど?


そんなことはありませんよ

守護者、というのですね

私の生きた時代に守り手などいませんでした

世界の守り手、守護者様、あなたに、我らのすべてを託します

それではいつの日かまた、どこかでお会いできたらその時は...


待って!僕はどうすれば!




気づいたらミューが顔をのぞき込んでいた


「あ、気が付いた」

「シェイナちゃん、大丈夫?」


「う、うぅうん」

「僕は、なんで...」


「シェイナちゃん、あれ見てよ」


ミューが指さす方向

そこには、開かれた大量のカプセルと、そこから出てきたと思しき大量の裸の人々

ヒュームに似ているが、額にもうひとつ目があった


「おはようございます、マスター」

「あなたのしもべ、デウス・エクス・マーキナです」


「はい!?」

目の前にいるのはハノラが貸したと思われるローブを着た少女

他のマキナ族と違って第三の目はなかったが、耳の位置にアンテナのようなものを携え

手首と足首に黒い丸いものがついていた


「マスター、あなたはこの種族の女王として設定されました」

「この国の王はあなたです」


「は?へ?何を?」


疑問がいっぱいすぎる

そういえば、夢の中で女の人に導いてくださいと言われた

それって、そういうことだったの?


混乱していると思われるマキナ族たち

彼らは一様にシェイナを見ていた


「彼らにはあなたが女王だという情報がダウンロードされています」

「彼らはみなあなたの思うがままに従うことでしょう」


「ちょ、ちょっと待って!」

「何言ってるの?」

「君は、何?」

「彼らの女王ってどういうことなの?」


「落ち着いてください、シェイナさん」

「とりあえず、彼らの今後のことを考えましょう」

「今日はまさに、歴史的日ですよ」

クラベルが少し興奮気味に言った


クラベルに聞いたことだが、どうやらこの遺跡は海上に浮上し

さらには海上を移動しているらしい

現在地はホビットの国領から数百キロ離れた海上


「まずは、彼らに状況説明ですね」

「シェイナさん、どうやらあなたはこの国の王になったようですよ?」

「彼らに言葉をかけて安心させてあげてください」


シェイナは戸惑った

ただの遺跡調査だったはずが、なぜかその遺跡の王になったのだから

思考停止

何も考えれない


僭越せんえつながらマスター」

「私から彼らに説明いたしますが?」


渡りに船だ


「あ、うん、お願いするよ」


「かしこまりました」


マーキナが彼らのもとへ向かっていく


「はいは~~~い!みっなさ~~~ん」

「ごっちゅうも~~~く!」


その場にいた全員が凍り付いた


「おっひさっしぶっりで~~っす」

「みんなのアイドル、マーキナちゃんでぇええっす!」


「...クラベルさん」

「彼女に任せてよかったのでしょうか?」


「ま、まぁ、恐らくあれが彼らの一般的な話し方なのだと思...」

「あ、違いますね、彼らも引いてますね」


マキナ族はもれなく引きつった顔を浮かべている


「いいですか~~?」

「こちらにおわすお方こそ!」

「我らが新女王!シェイナ様です!」

「その情報はダウンロードされてますね?」


コクコクうなずくマキナ族


「はい!それでは!」

「インストールされている資料をご覧くっださ~~~い!」


マキナ族は一斉にこめかみをトントンと指で叩いた

すると、第三の目からホログラムのスクリーンが飛び出した


「では説明しますね~!」

「まず、あなたたちは平和の世界を求めてコールドスリープに入りましたよね」

「その後、争いを繰り返す野蛮なマキナ族は全て!滅んじゃったのです!」

「安心ですね~」

「そしてそれから約50万年ほど経ちました!」

マキナ族がざわつく

恐らく思ってもみないほど時が経っていたのだろう

「その間、この世界の人類はガラッと様変わり!」

「様々な種族が闊歩するスンバらしい世界になりました!」

「ここにいる彼らもそうです!」


マーキナが手を広げ、シェイナたちを指し示す

それにこたえて一斉にこちらを見るマキナ族


「どうです?見たこともない種族の方たちでしょう?」

「これからは彼らとともに暮らすのです!」

「新たなる女王とともに!」

「平和の名のもとに!!」


ウオオオオオオ!と1億5千7百82万6251人の声が響いた


「どうしよう...これ...」


「ま、まぁ、なるようになりますよ」

「女王様」


「ちょ、からかわないでくださいよ」


まさか女王という職業がこういう形で役に立つとは思わなかった


古代の種族復活です

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