小さな二人の研究者
あれから、親友の笑顔は戻らないです
コニアン、もう一度、笑ってです
コニアンは元気良く駆け回るのが好きだった
頭はいいのだが、時折馬鹿みたくはしゃぎたくなる
そう本人が言っていた
しかし、彼女は今や歩くことができない
黒い魔物に襲われ、フルヒールでも回復できないほど脊髄神経を破壊されたためだ
人懐っこい笑顔は戻らない
トイレに行くことすら一人ではできないため
全てを親友であるニューミャが世話している
「コニアン、今日は星がきれいです」
「見に行きましょうか」
ニューミャの問いかけにコニアンは答えない
「すごいんですよ、キラキラで、手で取れそうなんです」
コニアンの目は、ただただ周りを映すだけのガラス玉のようだ
そこから読み取れる表情すらない
「あ、そうだコニアン、キードット様も呼ぶです」
「きっと楽しいですよ」
大好きな主人の名前にも反応しない
「コニアン、実はですね、お花がいっぱい咲いてるとこを見つけたんです」
「こんどみんなでハイキングするです。ハイキングですよハイキング」
「コニアン、お花好きですもんね」
「一緒に摘みましょう」
「ねぇ・・・ニューミャ・・・」
「なんですか!コニアン」
コニアンが答えたことにニューミャは喜んだ
「私、もう歩けないんだよね?」
「!」
「き、きっとよくなるです」
「必ずまた歩けるようになるですよ」
「嘘、なんでしょ?」
「わかってるもん、フルヒールでも治らないって」
「で、でも!きっと原初魔法を持つ方をナズミが見つけてくr」
「そんなわけないじゃない!」
「原初魔法なんて...お話の中だけだもん」
コニアンは声を荒げた
「ねぇ、ニューミャ」
「コニアン...」
「私、あの時死んでればよかった」
「ニューミャに迷惑かけてまで生きたくないよ」
「ねぇニューミャ、このまま、私を、その窓から突き落としてよ」
「死にたい...よ」
「そんなこと、そんなこと言わないでです」
「言っちゃダメです!!」
「迷惑なんかじゃないです!」
「ずっと一緒にいるって決めたです!」
「言わないで...お願い、です」
ニューミャはコニアンを深く抱きしめる
コニアンもずっと我慢していた涙があふれ出した
ニューミャは思った
このままではコニアンの心が壊れてしまう
何かしてあげたい
できることはほぼすべてしたつもりだ
今できることは慰めてあげることだけ
今は、ナズミだけが頼りだ
彼女がその原初魔法の使い手を見つけてくれれば
治る可能性がある
ナズミ頑張れ




