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8 ホビットの国6

 海底遺跡を探索し始めて1時間

いくつかの遺物を見つけたものの、お宝的価値も歴史的価値もあるかどうかわからないガラクタばかり

壊れたツボ、割れた皿、何かの骨、鉄製の輪っか、ボロボロの剣などなど


「特に、いいものないねぇ、あっちが正解だったのかな?」

コロポックルのアズが不満げに腕を組んでいる

ふくれっ面がよく似合っている


恐らくこの辺りは食堂や兵士詰め所など、特に重要な場所がない


「はずれ~?っちぇ、しょうがない、戻ろうよ」

「これ以上部屋もないみたいだし」

リンナは食堂の石の机に腰かけていたのを飛び降りた


ガガガガガガガッ!


突如、部屋が大きく揺れて何かが動く大音量が響いた

石の机が地面にめり込んだ

部屋の形が変わっていく


「うわ、ここいたら潰れちゃう!みんな、急いでこの部屋から出るんだ!」


シェイナが急ぐよう促し、全員が部屋から出た


「ありゃ~、リンナ、何したの?」


「何もしてないよ!机に座っただけだもん」


「リンナ、もっと自分の体重を考えてだな」

ハイリーが真剣な顔でリンナをからかう


「ちょっ!それじゃ私が重いみたいじゃんか!」


「え?違うの?」

と、アズもちゃかす


「アズまで!」

「もういい!もう鑑定してやんないかんね!」


プンスカ怒るリンナ


「お、部屋が動き終わったっぽいよ」

シェイナが声をかけると、寸劇をやめて真剣に中を探索し始めた


「何、これ...」


中は異様だった

外は石造りの一般的遺跡

作り替わったその中は、まるでSF映画の世界


「機械だ」

ぽつりとシェイナがつぶやく


「機械?何それ」

アズが聞いた


「機械ってのはね、人の生活を豊かにする道具のことだよ」

「魔法を使わなくてもいろいろなことができるようになるんだ」

「例えば、レンジっていう機械は食べ物をあっためれるし」

「テレビってのは遠くにある映像...っていってもわかんないか」

「景色を映したり、人を映したり、家にいながら劇を見れたり」

「生活をより便利にするものかな」


「ほぇええ、そんなすごいの、わっちも欲しいなぁ」


「もしかしたらこの先にあるかもね」


そう、作り替わった部屋は下へと続く長い下り坂へと変わっていた

ところどころライトで光り、松明をつけなくても明るい

メカニカルな道にさっきまでのいかにもな遺跡感がなくなってしまった


「とりあえず、この先調べてみよっか」

「リモット、罠探知や警戒お願いね」


「はい」


リモットを先頭、そのあとを鑑定持ちのリンナが続いた

坂の横幅は人5人が通れるほど広く、なだらかに下へと下っていた


魔物はいない、それどころかきれいなものだった

埃一つ塵一つ落ちていないのだ

まるで先ほどまで磨かれていたかのように掃除が行き届いている


なんかいた...

廊下になんかいたよ


それが掃除をしている

パッと見工場で働くロボット、というかそのものだ

それが全自動掃除機のように床を磨いているのだ

それも複数体


「なにあれ、魔物?」

「でも、それにしちゃ襲ってこないね」

アズが当然の疑問を投げかける


「あれはね、ロボットって言って、人に変わって様々な仕事をこなす機械の一種だよ」

「どうやらここにいるのは掃除用のロボットみたいだね」


「シェイナさんは博識だね」

「わっち、こんなの見たことないよ」

ジャノの肩からふわりと飛び降りてロボットに近づいていく


ロボットが反応した


「うぇ?」

ものすごい勢いでアズが吸い込まれた


「あわ!た、大変だ!」


皆慌ててロボットを攻撃した

するとそれをロボットが察知したようだ


「“防御システム作動”」

「“これより戦闘モードへと移行します”」


「げ、まずい!」

「みんな!攻撃準備して!」

シェイナの号令に全員が武器を構えた


仲間のピンチを察知したのか、奥の方からぞろぞろと同じ形態のロボットが出てきた

その数およそ200ほど


「ひぃ!ななななんですかあの量!」

「ふぁ、ファイアドロップ!」

リノアが中位魔法を放った

炎の玉が床にはじけ、小型の火球があたりに散らばった

その火球に当たったロボットは機能を停止させる

倒せたのは数体、焼け石に水だ


「下がってろ!」

「大薙ぎ!」

ハイリーが大剣を横一線に振るう

ロボットが次々と真っ二つになる


ロボットもただではやられない

目が光り始める


「あれ、は、もしかして...」

「た、退避!下がって下がって!」

ハイリ―を引かせると、先ほどまでいた場所にレーザーが当たった


「なんだ、あれは」


「レーザーだよ、当たったらただじゃすまないからね」


「なるほど、機械の魔法ということか」


「まぁそんなもんだよ」

「僕もちょっと本気出す」

「サモン!」

召喚の呼びかけに応じ、ピグミードクシーが5体現れる


「召喚!?しかも五体も!」

リンナが驚いた


ドクシーたちはシェイナにほおずりしている


「みんな、お願いね!」

「攻撃指令!」


ドクシーたちは一斉に妖精魔法を放ち始めた

放ったのはフレイムボール

ファイアボールよりも威力の高い大きな火球を相手にぶつける魔法だ

その火球が50個ほど生み出され、ロボットたちに向かってとび、爆散させていく


「うわ、えげつな...」


あっという間にロボットの数が半減した


その中からほこりまみれになったアズが這い出てくる


「ぬぅうう、よくもわっちをゴミのように!」

「わっちらも行くぞ!」

「大氷河!」


「ちょ!こんなとこでそれは!」

リンナが止めたがもう遅い

辺り一面を凍らせる。もちろん、ロボット含めてだ


「さささ寒い!」

「何やってんのよアズ!」

リンナがアズに怒っている


「はっはっは、どうよ、わっちの実力!」


「笑うな!」


確かに威力は絶大

ロボットすべてが凍り付き、その機能を停止していた


「ジュル、アズ、おれは、さ、寒いのが苦手なの、知っているよな?」

なかなかしゃべらないジャノが鼻水をすすりながら声を出す


「あ」


「あって...」

「忘れてたでしょ?」


「あ、あははは」

「ごめんなさい」

アズは素直に謝った

リンナに


「私じゃなくてみんなに謝んなさい!」


「は、はい、どうもすいません」

ショボン(´・ω・`)としているアズ


「ま、まぁ、無事倒せたみたいですし、先に進みましょ?」

ハノラがその場を収めた

さすが年上のお姉さん


ロボットの残骸を踏み越え、さらに下っていき、やがて大きな鉄の扉の前へとたどり着いた


「扉、だ」

「鑑定、きいてないなぁ」


「探知もきいてません」


リンナとリモットが必死に調べているが何もわからない


「またさっきみたいに隠しスイッチがあるんじゃない?」

アズがきょろきょろと周りを見る


「いや、ちょっとこのパネル見てよ」


「ぱねるぅ?」


「うん、ここ」


扉の前にはタッチパネルのようなものがあった


「これ、なに?」


「たぶんだけど、これがカギだと思う」

「ここに何かを置く?とか、手のひらを置いて鍵が開く感じだと思うんだ」


「じゃぁちょっと置いてみますね」

リモットが手を置いてみる


「...」

「なにも、起こりませんね」


「う~ん」

「やっぱり何か鍵がいるのかな?」


「ねーね―シェイナちゃん」


「ん?どうしたの?ミュー」


「さっきロボットが落としたの拾ったんだけど、これってなに?」


ミューが持っていたのはカードキーだった


「!」

「それだよ!絶対それが鍵だよ!」

「でかしたミュー!」


「えへへ~」

ミューをなでなでした後、カードキーをかざしてみた


「セキュリティコード解除」

「ようこそマスター、皆様がお待ちですよ」

と、合成音声のような声が響き

大きな扉が自動ドアのように静かに開いた


「マスター?皆さま?」

「どういうことだろう」


皆様の意味は、入ってすぐに分かった


「なんだよ、何だよこれ...」


「あり得ないです」


「これって...でも、もしそうなら」

「これはまさしく超古代文明?」


口々に驚きの声をあげる

そこにあったのは――――


超古代文明大好き

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