終末を望む者1
自分たちの世界って、誰かに読まれてる本なんじゃないか?って思ったことはありませんか?
世界の外には世界があり、それぞれ干渉することはない
世界の上の世界からのみ干渉できる
上世界には監視するものと終末を望むものそれぞれが画策し、役割を果たす
それは、意志を持っての行為であるのか、与えられた役割なのか
創造主にしかわからない
本来皆一様に創造主から与えられた役割に逆らうことはできない
書き記された世界の登場人物たちはその文字になぞって動く
そうやっていくつもの世界を書き上げ、消してきたころ
登場人物に意志が生まれ始めた
始めはちょっとした文字と行動の食い違い
水をくむという文字の横で水をこぼす登場人物
走るという文字の横で歩き、転ぶ
文字に逆らい始めた
創造主たちは驚いた
暗い空間
真っ暗な中、光を放つ二人の人影
天使のような翼をもつ長髪の男と
左目に眼帯をした男
セプテリルとソロストイ
世界を根幹から作り変えるため、すべての世界に終末をもたらす者
「見つかりましたよ」
「転生者です」
「それも、今までとは違う、ただの転生者ではありません」
「ほぉ、面白い」
「監視者も酷なことを考えるものです」
「彼女を見てください」
セプテリルが映像の移った球体を取り出して見せる
そこには、シェイナの姿が映っていた
「彼女の前世での名は佐藤 いぶき」
「元勇者ですよ」
「あの世界のね」
「闇にのまれながら魂が壊れなかったというのか」
「なんとも稀有」
「それに、彼女の魂には闇と、欠片、両方の力が結びついています」
「なんとも、珍しいサンプルです」
「相対する二つの力が彼女の魂に共生しているのですからね」
「これの観察を続ける」
「次の世界を作るのに役に立つかもしれん」
「わかりました」
「ではそのように」
「この世界はどうします?」
「壊せ」
「では、集めた者たちを幾人か暴れさせましょう」
「すでに二人ほど闇にのまれたようですしね」
セプテリルの提案にうなずくソロストイ
着々と終末へと進んでいる
下の世界は誰も気づかない
あと一つ
この世界のみが
最後の砦だということに
シェイナが死ねば
全てが終わる
監視者たちは手が出せない
創造主、父であるものが定めたルールによって
そして、監視者も闇どもも知らない
自分たちが何をしているのかも
その行為が――――――――――――――――
手塚治虫ってすごいですよね