ラバーズ1
お久しぶりです。アルラウネのコープライであります
現在ラブラブというものです
マーローいい人、わたくしの大事大切のものです
一緒に旅します。ドライアド探すのは目的です
「コープライ、そのドライアドたちはどこに行ったのか分かるのかい?」
「わかるます。植物が教えるくれます」
「植物と話せるの?すごいね」
「それほどでもない、よ、ウフフ」
コープライは緑色の頬を赤く染めて照れた
息を吸い込む
そして、口から霧を吐き出した
霧がかかった植物はまるで動物のように動き出す
種族スキル“植物の躍動”
「ドライアドいった?どこ?場所、教えてほしい下さい」
木々、草花は一斉に東の方を指した
「あっち、わかりました。ありがとうます!」
植物は再び静けさをとりもどした
「東か、ここから東ってことは、神秘の森辺りか」
神秘の森、自然とともに生き、薬草術を得意とするドルイドたちの聖地だ
他者を治療し、癒すことを目的としたドルイドが修行をする森である
ここでは治療効果が高まるので、傷を治しにやってくる者が後を絶たない
ドルイドたちが作った薬湯もあるという
「そこ、向かうます?」
「あぁ、そうだね」
「もしかしたらドライアドたちも傷ついているのかも」
「行ってみる価値はあると思うよ」
「わかるました。早速行きますます」
コープライはすっかり傷の治った足でしっかり大地を踏みしめながらマーローとともに歩き始めた
神秘の森までは一応舗装されていない街道が伸びている
森自体に自然を壊さないような形で村のようなものも形成されている
舗装はされていないため、体力がそこまでないコープライにとっては少しつらい道だった
マーローに支えられ、ゆっくり道中を行く
街道にはもちろん魔物も多数出る
一応戦闘に関してはマーローもコープライも並みの冒険者より少しは上と言ったところ
Eランク、Fランクの魔物は難なく倒せた
街道に出る魔物は弱いものの、距離が遠い
「ハァ、ハァ、疲れます」
「もう、歩けないのであります」
コープライは本当につらそうだ
頭の葉っぱが枯れてきている
「ここらでちょっと休もうか」
「今日は休んで、明日また進もう」
「助かるでます」
コープライはその場にどさりと倒れた
よっぽどつらかったのだろう
本来アルラウネは長距離を歩くことに適していない
それでもこの任務に就いたのは、警戒心が非常に強いドライアドたちに
同じ植物と心を通わせられるコープライが選ばれたためである
魔王直々のこの依頼に戸惑ったものの、敬愛するアドライトと魔王に頼まれたとあれば
断る理由などなかった
野営を設置する
簡易式のテント(布と木々を組んだもの)を組み、その中で休んだ
マーローは干し肉を食しているが、コープライに食物は不要
水と太陽光があれば光合成で栄養素を作り出す器官があるからだ
二人はそのまま抱き合うようにして睡眠をとった
コープライの花の香りが鼻腔を優しく刺激する
コープライによる癒しのアロマだ
翌朝、すがすがしい気持ちでまた街道を歩き始めた
現在ようやく半分ほど進んだところ
その道すがら、一人のドルイドと思しき翼のある男がうずくまっていた
「どうしました?」
マーローが近づいて話しかけてみる
「魔物に襲われて足をやられてしまいました」
「神秘の森へ戻る途中でしたが、こんなところにガストーが出るとは思いませんでしたよ」
ガストーは霧状の魔物で、攻撃するとき実体化するのだが、その時を狙わないと攻撃が当たらないという厄介な相手だ
「治療は自分で出来るんですがまだガストーが漂っているみたいです」
「気を付けてください」
辺りを見回せば、なるほど、確かに霧のような靄が周囲を漂っていた
その靄はこちらに向かって突進してくる
コープライを狙っているようだった
目の前まで来ると実体化し、鋭い爪でコープライを切り裂こうとした
しかし、マーローとコープライの同時攻撃によってあっさりガストーは倒された
「おお、ありがとうございます」
「助かりましたよ」
男はキールという翼人族のドルイドだった
翼があるのに飛ばなかったのは修行のためらしい
目的地も同じだったので三人は連れ立って神秘の森へ行くことにする
キールはまだ新人のドルイドで
薬草から調合したポーションを数十キロ離れた村に届けに行った帰りにガストーに襲われた
ドルイドは薬術や治療術といった癒しの術のほかに
棒術や、メイスによる攻撃術を学ぶ
実は高火力前衛もこなせる強さを持つこともできる職だ
(キールはまあ戦闘基礎を習っている途中のため弱い)
いろいろとドルイドのことを聞き、こちらも二人の出会いなどを語らい
無事に目的地、神秘の森へたどり着いた
森の中に集落があるのだが
木を傷つけないよう
大地を汚さないよう
最新の注意が払われながら集落は築かれていた
キールとはここで別れる
お礼にと、特製ポーションをいくつかもらった
コープライたちは目的であるドライアドたちのことを聞いて回った
ドルイドたちの情報によると
確かに一か月ほど前まではここで湯治をしていたようだ
どのドライアドも一様に傷ついていて、大やけどを負ったものや
手足を失っているもの、その痛々しい姿から、ドルイドたちは必死に治療したらしい
ドライアドたちはみなドルイドに感謝し、木々に恵みをわけてくれたという
ドライアドたちは数ヵ月前、何者かに襲われたそうだ
それもたった二人に
集落は壊滅、ドライアドたちも半数以上が死んでしまった
それでも生き残りたちは必死にここまで逃げのびたんだそうだ
幸い追手はなかった
それを聞くと、マーローは拳を握って怒りをあらわにした
「何の、罪もない、平和に暮らしていた種族を、なぜ!」
「コープライ、必ずドライアドたちを保護しよう!」
「こんな理不尽、許せない!」
コープライはしっかりとうなずいた
同じ植物を愛するものであるため、その思いも一入である
次の日、二人は思いも新たに次にドライアドたちが向かったと思われる場所へ旅立った
コープライの言葉がおかしいのは仕様です
二人が夜にイチャラブしてたのかはご想像にお任せします