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2 世界樹の花2

 有益な魔法を手に入れてホクホクしながら世界樹の葉を貪る

ここのところ葉っぱからスキルが得れていなかった


まれにって書いてあったし

前に獲得できたのも単に運がよかっただけなんだろうなぁ

モンスターを倒しても獲得できるっぽいけど

危険すぎる

魔法も欲しいけど

欲はあまり出さない方がいいか


 常に張っている警戒

相手に警戒を張っていることはばれるみたいだが

こっちも相手を察知できるのは大きい

今のところ警戒にかかるものはないのでこの場は安全といえる


上を見上げてもいまだ頂上は見えず

途方もない大きさ、高さを誇る木なのは明らかだった

幹の太さにしても自分の視界で全容はつかめないほど

何もかもが巨大すぎて目が回る


さて、ご飯も食べたし、上を目指すか


 枝を少しかじって口にくわえる

もちろん攻撃を受けてもすぐに回復できるようにだ

数を持っていくなら葉っぱの方が軽くて運びやすいのだが

葉っぱには失った部分まで元に戻すほどの効果はなかった

しかし、枝は切り裂かれた胴体、失った足までも再生させるだけの治癒力がある

たとえ多くは運べなくても持っていく(咥えていく)価値はあると判断した


 警戒しつつ上へ登り始める


僕の速度じゃ速度アップを発動させていてもやっぱり遅いなぁ

人間の歩く速度くらいかな

まぁそれでもこのスキルが手に入る前よりましか


 幹を登っている途中、幹のところどころに穴が開いているのが見えた


穴?何の穴だろう

確かめ...

やめとこう

強い魔物の作った穴だったら危ないし


そんなことを考えていたせいか

悪い予想はすぐに当たる


穴から不気味な木の仮面をつけた化け物が出てきた

なぜか警戒に引っかからない


その化け物と目がばっちり合う


見つめあう二匹


その化け物はこっちに弓を構えてつがえた


あわわわわ

やば


弓が飛んでくる


しかし、どうやら化け物は弓が下手なようだった

あっさり外れて弓は弧を描いて下へと落ちていく


次が来たらまずい

今のうちに!


一気に歩速をあげると上へ上へと必死に上った

相手が弓を撃ってくる気配はないが、振り返ることはなかった


すると、後ろで

「ぎぎゃぁああ!」

と、声がした


驚いて振り返ると

先ほどの化け物が穴の中へと戻るところが見えた


ふぅ、あきらめてくれたか

あんなとこじゃまともに戦えないもんね


しばらく上ると枝が見えた

その枝から葉へと移動した


今日はここまで

明日また続きを登ろう


日はすでに傾き、美しい夕焼けを作っていた

葉っぱを食べて眠りにつこうとしたとき

警戒を張っていたにもかかわらず

目の前におどろおどろしい仮面をかぶった化け物がこちらをのぞき込んできた


うぶwbgjsん!!


声にもならない悲鳴をあげ

いや、声は出ないから心で悲鳴を上げて飛び起きた


回りをすでに化け物たちに囲まれている

その化け物は手に手に武器を持っている


あああ

まずいまずいまずい

これはまずい!

なにこいつら!


みるを発動させ、相手の情報を確認した


 ユグドラシルゴブリン


ゴブリン族がユグドラシルに住み着き、力を得たもの

醜悪さに磨きがかかり、知能も上がっている

ユグドラシルの幹を掘って巣を作るため、駆除対象となっている

魔法を使う個体、武器を使う個体などがいるが、連携は下手なため

仲間を攻撃してしまうこともある


 数は十体

一匹だけの自分には絶望的な戦力差だった

数は暴力とはよく言ったもので

彼らの仮面から見えるその目は明らかにこちらを獲物として見る目だった


すると、一匹がこちらに攻撃しろと言わんばかりに指をさして

他のゴブリンたちに指示を出していた


取り囲まれていては逃げるに逃げられない

なら、戦うまでだと腹をくくった


もうやけくそだ!

ニードルランス!!


突然の攻撃に驚いたのか、あっさりと三体のゴブリンを打ち抜いて倒した


あれ?弱い?

ニードルランス!


どうやらゴブリンたちはこちらが攻撃できるとは思いもしなかったようだ


まぁ、当然か、このユグドラシルの中でも僕は群を抜いて最底辺だもんなぁ

持っててよかった攻撃手段


再びニードルランスを撃ち込む

すでに半数以上のゴブリンがその場に倒れていた


じりじりと後ずさりするゴブリン

いつもこの種を餌にしているゴブリンとしてはそのエサが攻撃し

さらに自分たちを殺す存在だということに驚いたのだろう


「あぎゃぎゃぎゃ!」


一番大きなゴブリンが先ほどと同じように指令を出している

その指令を聞き、ゴブリンたちは慌てて逃げだしていった


ポーン


た、助かった

死ぬかと思った今回は、わりと


— 成長を確認しました


あ、やった、今ので成長したんだ


— 進化が可能です


んえあ!?

進化!?

まだできるの!?


— 現在、ウルユグドラシルクリサリスへと進化可能です


なに?クリサリス...

うーんと、たしか、さなぎ

蛹になるってことはもしかしたらその先も?

それに、ユグドラシルの前にウルって言葉がついてる...

何だろうウル、ウル...

わかんない

何にせよ、蛹は動けないんだろうなぁ

どこか安全なところを見つけないと進化なんてできない


 遠目を使って上下左右を見渡す

すると、上の方に葉っぱがくるくると丸まっているところがあった


なんだろうあれ

ちょっと行ってみるかな


日は沈んでいたが、ゆっくりと昇り、そこまでたどり着いた

回りは糸で固められ、その糸によって丸められているようだ

中は、何もいない

ただ、中央に蛹の抜け殻のようなものがあった


ここは、前に何かいたみたいだね

この蛹の持ち主がここで無事抜け出てるってことは

ここは安全なのかも

よし、ここで進化しよう

一応入り口はふさいどいたほうがいいね

この蛹の抜け殻、つかえそう


抜け殻を口で咥える

まるで金属のような硬さだった


うわ、固!、重!


ゆっくりゆっくり運び、抜け殻を入り口に詰めた


よし、蓋はオッケー

これで、進化してみよう


— 現在、ウルユグドラシルクリサリスへと進化できます

— 進化しますか?


はい、します


そのとたん、体の皮がむけ始め、中から光沢のあるネイビーブルーの表皮が見えた

ボロボロと崩れはがれる皮

そして以前より硬そうな表皮へとすべてが変わる


動け...る?

あれ、這って動けるぞ

脚もあるみたいだし

なんだろう、蛹じゃなくて固い芋虫になったみたい


そう思った通りだったようだ


 ウルユグドラシルクリサリス


ブルーユグドラシルワームが多量の魔素を取り込むことでごくまれに進化する希少な魔昆虫

蛹という名はついているものの、超硬質の表皮を纏ったワーム

動きもより機敏になる

その表皮は鋼鉄の硬さを持つ


— スキル、超硬化を獲得しました

— スキル、アームドを獲得しました


進化したことで新しいスキルを獲得する


 超硬化


発動することで最高の防御力を得る

ただし、その間は動くことができない


 アームド


自らの硬い表皮を剣のような鋭利な武器っとして扱うことができる



おおお!すごいすごい!

防御手段と攻撃手段を一気に手に入れた!

すごいぞ僕!

しかも、なんか僕は希少っぽい

うっれしいなぁ~♪

うっれしいなぁ~♪


希少という言葉にワクワクする

ちなみに、蛹は動けなくなると思って

お世話になった葉っぱの家はそのまま睡眠用の小屋へと変わった

はい、まだ芋虫です

タイトル通りに芋虫時期は長いかもね

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