ちっちゃなイズナの大冒険1
私はナズミ、イズナ族のナズミです
先日、親友の一人が大けがをして、歩けなくなりました
とても、とても悲しいことです
研究者だった親友のコニアンは研究のさなか、黒い魔物に襲われました
何とか命は助かったものの、歩くことができなくなりました
コニアンは、泣いていました
私も、泣きました
もう一人の親友、ニューミャも泣いていました
たくさん、たくさん泣いてしまいました
今は、ニューミャがコニアンのお世話をしています
歩くときは車輪のついた椅子に乗せていろいろな場所に行っています
コニアンが好きなお花畑や、私たちの大好きなキードット様のところ
それでも、コニアンは笑ってくれません
怪我が回復して目を覚まして、いっぱい泣いたあの日から、コニアンから笑顔が消えてしまいました
コニアンは、いつも笑っていたのに、今はずっと、泣いたり、ふさぎ込んだり
ニューミャも笑ってくれません
三人一緒だったのに
私はある日、とあるうわさを聞きました
どんな怪我でもすべて治してしまうという治療師さんのことです
聖王女様と言われる癒しの最上位魔法フルヒールを使える方と
フェニックス族の治療師、伝説と呼ばれる原初魔法、パーフェクトヒールを使える方です
神経を失っているコニアンでは、聖王女様のフルヒールでは治せません
それなら、フェニックスの治療師、ミナテトさんです
この方を探しに行きます
私は、元のコニアンに戻ってほしい
三人で笑いあってたあの時に戻りたいんです
さっそく旅に出るため、魔王様に直談判しました
魔王様は反対されました
私は確かに子供です
魔王様はお優しいため、私たちのような子供を危険な目に合わせることを嫌います
でも、それでも、私は行くと訴えました
魔王様はしぶしぶとお許しくださいました
でも、心配だからと付き添いの方をよこしてくれました
アドライト様のとこのシャーズロットさんとバニエイラさんです
正直私の苦手な人?たちです
シャーズロットさんはまだいいですが、バニエイラさんは話が通じません
何を考えているかわかりませんし、ヒュームや亜人族を食べると聞いたことがあります
私、怖いです
怖いけど、コニアンに、笑顔を戻すために
頑張ります!
「ちっびっこ、久しぶりだな」
シャーズロットさんです
影が動いてるみたいで怖いです
「あ、あの、私」
「もう~、なんで私たちがちびちゃんの子守なのよ~」
「ヒュームとの戦争は?戦争はどうなったのよ~!」
びっくりしました
いつの間にかバニエイラさんが背後にいました
やっぱりこの方も怖いです
「お前なぁ...また聞いてなかったのか?」
「ヒュームとは同盟が組まれたってアドライト様が言ってたろう」
「あ~、そういえば~言ってた気がする~」
シャーズロットが頭を叩く
「いたいな~もう~、シャーズロットちゃんは暴力に訴えすぎ~」
「痛いわけないだろう!スライムだろうがお前は!」
「ん~、そりゃそうだけど~」
「わたしだって~、痛覚くらいはあるんです~」
痛覚があるのは確かだ
物理無効のはずのスライムを唯一物理で殺しうる存在が上司なのだから
それはアドライトのスキル、無効破壊によるものだが
「で~、どこいくの?ちびちゃん?」
「は、はい、フェニックス族の住むエルベルリトロ山へ行きたいんです」
「なに!?」
「おい、ちびっこ、そこがどれだけ危険な山かわかっているのか?」
「はい、わかっています」
「でも、コニアンを、コニアンを助けたいんです」
ナズミは泣き始めた
「あぁ~、何泣かしてんの~シャーズロットちゃん」
「いや違、これはいきなり」
「わ、私は悪くないぞ」
「いけないんだ~シャーズロットちゃん」
「子供を泣かすのはね~、重罪なんだよ~」
「アドライト様にお尻ぺんぺんしてもらわなきゃ~」
「ああもう!泣き止めちびっ子!」
「うう、グスっ、ごめん、なさい」
「わかったわかった、行ってやるから」
「ただ、あそこは私らでも相当きつい」
「というか無理だ」
「全滅する」
また泣きそうになるナズミ
「ま、待て、泣くな」
「当てがないわけじゃないんだ」
「あの山の近くに私の知り合いのクスクって悪霊がいるんだが」
「そいつなら山の隅々まで知り尽くしているはずだ」
「なんせ奴は何百年もそこに住んでるんだからな」
「いや、とりついていると言った方がいいな」
「げ、クスクってあの性悪の?」
「私会いたくないな~」
「ちょっと黙ってろ!」
「は~い、すいませんでした~」
「そいつに私が言えば案内位してくれるはずだ」
「それなら安心だろう?」
「は、はい、ありがとうございます」
ナズミは涙をぬぐうと輝く笑顔でシャーズロットにお礼を言った
「く、あ、や、やめろ!」
「そんな笑顔を私に向けるな!」
「浄化されるだろうが!」
シャドーであるシャーズロットは輝くものが苦手だった
「よし、では旅立つとするか」
「はぁ、なるべくやつとは会いたくなかったんだが...」
シャーズロットはため息をついたが、覚悟を決め
ナズミ、バニエイラとともにエルベルリトロ山へ旅立った
こまめに幕間とかいろいろ書いてるのは
本編だけずっと書いてると飽きるからです
わたしが!飽きるからです!