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7 世界を見て回ろう リザードマンの国4

 書かれた地図に従って歩く

アッチェマインの地図は相当正確で、迷うことなく洞窟へたどり着いた

ケルティというギルドの調査隊の女性の名前を呼びながら中へ入っていく


「おーい、ケルティさーん」


その声はむなしく響くだけで返事は返ってこなかった


う~ん、だいぶ潜ってるのかなこれは


「ミュー、リモット、警戒しながら進むよ」


 二人に声をかけて、リモットを先頭に洞窟内を探索し始めた

巨大な岩山にできた隙間のような洞窟は人ひとりがやっと通れるような狭さだ

それでもリモットはレンジャーとして的確に進んでいく

罠などは一切仕掛けられていないが、この前の洞窟より暗く、一寸先はまさに闇だった

松明はつけているがそれでも暗い

リモットの夜目というスキルがなければ進むのに苦労していただろう

夜目は暗闇でもかすかな光で暗闇を見通すというスキルだ

レンジャーには必須のスキルなのかもしれない


「この先、二手に分かれてます」

「右に何か生物の気配があるのでそっちに進みますね」


リモットは分かれ道を右に進んだ

そっちにいたのは巨大なローパーだった

その大きさゆえに洞窟内から出られなくなっているのだろう

それほどに大きい

その大きさでも動けているのはいた場所が大きく開けた空間だったからだ


触手をうねうねと動かしながらこちらに向かってくる

その触手を鋭くとがらせると、こちらに突き出した

慌てて回避すると、自分たちのいた場所に大きな穴が開いた

鋭く、強力で素早い攻撃

それが幾重にも襲ってくる


「ストーンウォール!」

シェイナが二人に防御魔法をかけた

「超硬化!ヴァンプアップ!」

身体強化スキルによって自身を強化する


「ここは僕が魔法で応戦するから二人は援助をお願い!」


「うん!」

「はい!」


ローパーに物理攻撃は効果が薄い

倒せないわけではないが、これほど巨大なものだと物理によるダメージは見込めないだろう


「魔法合成、フレイム、トルネード、スパーク!」

「フレアドライブ!」


渦巻く炎と雷の巨大な塊が周囲を照らす

それをいっきにローパーの上に落した

一瞬で焼き付き、ローパーの丸焼きが出来上がった


正直、やりすぎた

二人とも口をあんぐりと開けて目を丸くしている

そりゃそうだ

僕も同じ顔をしているからね

まさか一撃とは思わないもん


ローパーはプスプスとどことなくおいしそうなにおいをあげていた


「さ、先に進もうか」


「は、はい」

「うん...」


二人とも、引いてる?

あ、違う、あれヒーローとかに向ける類いの目だ


「すごいですシェイナさん!」

「あんな魔法見たことないですよ!」

リモットが興奮気味に言う


「ぼ、僕も驚いてるんだけど」

「これ、危ないから今度から合成する魔法は二つまでにしとくよ」


「合成?魔法を合成してるんですか!?」


「あ、うん、そうだけど?」

「この前も見たよね?」


「え?あれもそうだったんですか?」

「てっきり見たことないだけかと」

「私、魔法には詳しくないんですが」

「合成なんて技術聞いたことないですよ」


知らなかった、そこまでの技術だと思わなかったもん

今度ユグドラシオンの魔術師のオールスさんに聞いてみよう

テュポルはなんか頼りないし

そう思った時を同じくして魔王国で一人のダークエルフがくしゃみをしたが

それはシェイナのおよび知るところではない


広間を抜け、先ほどのローパーがぎりぎり通れるくらいの道を進んでいく


「また成体反応です」

「この先です、非常に弱弱しいです」


「ケルティさんかもしれない」

「急ごう」


走りだし、その生体反応がある場所まで行くと、女性が何かに囚われ、飲み込まれていくところだった

その周りには数人のギルドの調査員と思われる人が倒れている

女性をとらえているのは緑色のスライムだった

すでに半分ほど飲み込まれている

スライムから出ている上半身、胸の動きから呼吸をしているのがわかるが、危険な状態だ


「僕の魔法だと巻き込んじゃう」

「リモット、どうしよう!」


「おちついてください、スライムには核があるはずです!」

「そこを私が狙うので一番弱い魔法で牽制してください!」


「わ、わかった」

「ファイアボール!」

タクトで制御された火球が5個ほどスライムに飛んでいった

何とか女性を避けてあてることができた


「ミューさんいきますよ!」


「うん!」

「瞬身!」

スピードアップするミュー


「ラピットショット!」

高速で矢を撃ちだすリモット


「雷撃一閃!」

スライムの下部を切り落とすミュー

そこから女性が流れ落ちてきた


「レイアロー!」

ビームのような一直線の光の矢がスライムの中心を打ち抜く

そのとたん、スライムはどろどろと溶けだした

見事に核を砕いたようだ


「ふ、ふぅ、何とかなりました」

リモットは汗をぬぐっている

相当集中していたのだろう


「怪我人を見よう」

「リモットとミューはそっちの人達をお願い」

「僕は一番怪我のひどいこの人を見るから」


スライムに取り込まれそうになっていた女性は飲まれていた下半身の服と足の一部が溶けていた

シェイナは空間収納から布の服とハイポーション(一本銀貨10枚)を取り出す

どちらも街で買ったものだ


え?なんで布の服を着もせずに買っていたかって?

可愛かったからだよ

僕だっておしゃれくらいしたいの!

もちろんミューとリモットの分も買ってある


ハイポーションを女性にのませると、傷ついた足や体は治っていった

この世界の薬剤の技術ってすごい


気絶していて確認は取れないが恐らくこの女性がケルティで間違いない

アッチェマインが書いた人相画にそっくりだ

エルフに似た容姿、しかし、エルフの特徴である長い耳がふさふさの毛でおおわれていた

それは、彼女がエルフと獣人のハーフだかららしい

よく見ると下半身に虎のような尻尾まであった

倒れていた怪我人たちはミューとリモットにポーションをもらって目を覚ました


やはり、ギルドの調査員だった

先ほどのローパーと戦って怪我を負いながらも何とか逃げたが、ここでスライムに捕まり

飲み込まれそうになったケルティを助けようとして全滅したらしい


巨大ローパーも緑のスライムもランクはCランクだった

最近この辺りの岩山でグリーンスライムが確認されたのでどの程度の危険度か調べるために調査しに来たら

ローパーまでいた。ということらしかった


「いやぁ、助かりましたよ」

「しかし、あんな化け物二体を難なく倒すとは、とてもランクE以下の冒険者には見えませんな」

「あとでギルドにランクアップを進言しておきますよ」


そういうとケルティを抱えた一行はギルドへ戻っていった


「さて、死体を収納したら僕たちも戻ろっか」


ローパーの死体はこの見た目にもかかわらず高級料理の食材になるし

グリーンスライムの核はマジックアイテムの材料になるらしい

持って帰って損はない

空間収納に死体を入れると、三人はギルドへ戻った

ローパーと言ってもシンディの方じゃないよ

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