監視者たち
これはストーリーにあまり関係ない話です
要するに、誰が主人公を転生させたのかっていう裏の話です
ここは上も下もない空間
浮かぶ鏡の破片に様々な世界が映る
ここに座すは7人の女神、もとい監視者、または創造主の娘たち
本来八人であるはずの彼女たちは一人が行方不明となっていた
長女にしてリーダー、零番目のノルである
今はその代理に1番目のアンリがリーダーを務める
「シエティ、気を落とさないでください」
「まだ魂の輝きは感じられるのでしょう?」
「トレーシャの方もまだ感じると言っています」
シエティと呼ばれた魔法少女のような格好の少女
末妹の七番目のシエティ、一つの世界に創造主の魂のかけらを持つ転生者を送り、救わせた
しかし、その肝心の転生者が世界を救ったと同時に消えた
今感じられるのはその魂の輝きのみ
トレーシャ、三番目のトレーシャと呼ばれるドレスを着た女性
彼女もまた魂のかけらを持つ転生者たちを別世界に送り、世界の終末を防いだ
その転生者たちも魂の気配だけを残し、消えてしまった
気配は近くに感じる
それも、この監視者たちの世界の近くに
「アンリねえ、他の姉さんたちはどうしてるの?」
「彼女たちが監視していた魂は消されました」
「お父様の魂のかけらを抜き取られて」
「ただ一人、ディオリムの監視していた子だけはなんとか助けることができました」
「しかし、お父様の魂のかけら以外の大半」
「自らの魂をほとんど失っています」
「ディオリムが何とか他の器に転生させ、今は徐々に再生しつつあります」
ディオリムは今、その転生者の監視をし続けている
彼女たち監視者はその名の通り監視以外でほぼ手が出せない
そういう制約を想像種によって課せられていた
その世界のなすがままに
それが創造主の意向だったからだ
二人の監視者が話しているところに4人の女性がどこからともなく現れた
三番目のトレーシャ
四番目のフィーア
五番目のファイ
六番目のロクシア
トレーシャ以外は監視していた転生者を魂ごと破壊されていた
「姉貴、俺はどうすればいい」
「もう、何も分かんねぇんだ」
「こんな時、ノルの姉貴はどこ行っちまったんだよ」
ボーイッシュな顔立ちにショートの赤髪
スカート付きの鎧を着たファイが吠える
「ファイ、ノル姉さまは必ず帰ってきます」
「お父様に次いであの方ほど世界を愛している方はいないのですよ?」
「それは、わかってるさ...」
「ファイ、気持ちはわかる」
「私も同じだ」
「姉上に早く帰ってきてほしいさ」
深い青色のポニーテールにクレバーなメガネ
軍服のようないで立ちの少女、四番目のフィーアがファイに優しく語り掛ける
「アンリお姉さま、わたくしはもう一度彼女たちの魂を探しに行ってきます」
「とても、近くに彼女たちを感じるんです」
そう言ったのは縦ロールのオレンジ色の髪型にドレスないで立ちの女性トレーシャ
「えぇ、そうしてください」
「姉上、私はディオリム姉上の補助に向かいます」
「監視を増やして敵の尻尾を掴もうと思います」
ストレートの黒髪に巫女服の女性、六番目のロクシアだ
末妹のシエティを最も可愛がっているシエティの一つ上の姉である
「ディオリムはどんな様子です?」
「気が張っています」
「またあのこを闇にのまれるのではないかと」
「今まで闇があそこまで明確に意思をもって世界を飲み込むことはなかった」
「何者かの意志が絡んでいるのは確実なはず」
「ファイ、私と来い」
「ディオリム姉上のところに行くぞ」
「我らも監視を手伝う」
「あぁ、わかったよ姉貴」
「俺にもできることがあるなら、手伝うぜ」
それぞれの監視者は自らの新たな任のために戻っていった
「シエティ、貴方には天の門の監視をお願いします」
「あと一つが開けば、我らのもとへと敵が来ることでしょう」
「そうなる前に、何らかの手を打たなければなりません」
「うん、アンリねえも大変だけど頑張ってね」
暗い顔のシエティは天の門がうつる破片を引き寄せて、監視し始めた
すでに他の六門は開かれ、監視できない状況にある
門の守護者もすでに消されている
もはや、時間はない
最後の門が開けば、すべてが終わる
そして、全ての世界の、終末が始まる
彼女たちの戦闘力は闇に劣る、それは明らかだとわかっている
それでも抗うだろう
自らを犠牲にしようとも
彼女たちが死ねば世界が終わると思ってもらえればいい感じです